佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 僕は竜堂神邪くん!

<<   作成日時 : 2015/04/01 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



放課後の家庭科室で、女顔の少年と、男らしい顔の少年が、カードを手にして向かい合っていた。
2人がプレイしているのは、デュエルモンスターズ。モンスター、魔法、罠を駆使して、ライフを削るゲーム。

「俺のターン! 《不意打ち又佐》の召喚、カードを1枚伏せて、ターンエンドだ!」
「僕のターン、ドロー。《キラー・トマト》を召喚して、攻撃!」
「おっと、伏せカードは《突進》だ、又佐の攻撃力を700アップして返り討ちだぜ!」
「だけどトマトにはリクルート効果がある。《レジェンド・デビル》を特殊召喚。ターンエンド。」

このとき、女顔の手札は、全てモンスターカードだった。
そうでなければ、結果は違っていたのかもしれない。



◆ ◆ ◆



(今日も負けちゃった。惜しいところだったのにな。)

傷だらけのランドセルを背負い、竜堂神邪は下校する。小学校の校舎が夕陽を帯びる。
赤いボールペンを貸したのが切欠で、デュエルする仲になった少年、大河柾。彼とのデュエルは常に僅差だ。

僅差であっても、負け続けていることに劣等感を覚えないわけではない。
しかし、それよりも、デュエルが出来る友達がいるという喜びの方が、ずっと大きかった。

実母からの指示で、神邪には日曜日ごとに400円の小遣いが支給される。それ以外は一切ない。
限られた金額で自分の望みを満たそうとすれば、自然と思考力が身に付いていく。
ねだれば欲しいものを買ってもらえるのでは、果たしてカネの有難味など理解できるだろうか?

カードの情報を集め、欲しいカードが入っているパックを買う為に、お菓子を買うのを我慢した。
パックの内容はランダムだが、限定されている。レアカードを狙わないならば、難しくない。
また、その店ではシングル販売も行っており、やや高いが、ピンポイントでカードを手に入れることも出来た。

(あのカードがあれば、マサキに勝てるかも。)

以前から目を付けていたカードがあった。その名も《ダーク・アームド・ドラゴン》!
シングル販売されている、高額の1枚だ。レプリカだが、大人でも買うのは躊躇してしまう値段となっている。
もちろんデュエルで使う分には、レプリカであろうが効果は同じなので、問題は無い。

《ダーク・アームド・ドラゴン》を見つけて、お小遣いを溜め続けてから1年あまり。
もうじき買えるだけの貯金が溜まる。

武者震いしながら家に帰ると、警察が来ていた。

「・・・?」

何かあったのだろうかと、神邪は大きな目を見開いた。



◆ ◆ ◆



「クリムゾン・ドラグーンは、お前の母親はどこにいる!?」

強面の刑事が怒鳴りつける。
殺風景な部屋の中。警官が3人、神邪は1人。

「わ、わかりません。」

そう答えるなり、拳骨が飛んできた。

「がぐっ・・」

理解が追いつかない。どうして殴られているのか。
まず何よりも、どうして自分は警察署へ連行されているのか。

「わからないはずがあるか!」

そう言われても、知らないものは知らないのだ。
もちろん養父母も知らないだろうし、生まれて1年の義弟も知らないだろう。

「その歳で嘘を覚えると、ろくな大人にならんぞ!」
「まあ、ちょっと・・」

激昂する強面の刑事を遮って、若い刑事が優しげな声で問いかける。

「あのね、君は小さいからわからないだろうけど、君のお母さんは、とっても悪い人なんだ。“カンサー”って知ってるかな。デュエルモンスターズを悪いことに使ってる人たちだ。君のお母さんは、“カンサー”のトップなんだよ。」

優しげな語り口だったが、どこか人を馬鹿にした響きがあった。
そして強面の刑事は、苛々した様子で、机をバンと叩いた。

「そんなことは知っているはずだ! 知らないはずがあるか! 知らないとは言わせんぞ!」

しかし知らないものは知らないのだ。
知っていたら、自分から会いに行くだろう。



- - - - - -



「なあ坊や、お母さんを庇いたい気持ちはわかるけど、知らんぷりは人間として良くないぞ。」

やや年輩の刑事が、穏やかな口調で諭すように言う。
強面の刑事と、若い刑事は、いったん退室していた。

「ひり・・まへん・・・・」

ぱんぱんに腫れあがった頬を動かして、神邪は「知りません」と言おうとした。
年輩の刑事は溜息を吐いて、仕方ないという口調で話し始めた。

「・・・君に暴力を振るった彼ね、“カンサー”に奥さんを殺されているんだ。小学校にあがる前の娘がいてね、それは幸せな一家だった。それを“カンサー”に踏み躙られたんだ。“カンサー”を野放しにしておけば、もっとたくさんの犠牲者が出てしまうだろうね。このことを知っても、まだ君は知らんぷりを続けるかい?」

しかし知らないものを知ってるとは言えない。当て推量で場所を言ったところで、そこにいるはずがない。
0.001パーセントの確率で的中したとしても、そもそも固定的な所在を持っている保証など無いではないか。

「ひら・・なひ・・・」

それでも答えてしまえば良かったのだ。
嘘でも何でも、とにかく答えれば、解放されるかもしれないのだから。

「そうか・・・。」

強面の刑事が再び入ってきた。

「だから無駄だと言ったんだ。こいつはクズだ。数多くの犯罪者を見てきたからわかる。クズの目だ!」

彼は警棒で神邪を殴った。

「かっ・・」

それは尋問、拷問というものではなく、ただの暴力だった。憂さ晴らしだった。
集中的に頭を殴り、頭が下がると素手のアッパーが炸裂した。顎を打たれて、嫌な眩暈がした。吐きそうだ。

「クズめ! クズめ! クズめっ!」

強面の刑事は、妻を殺された怨みを晴らさんとばかりに、神邪を滅多打ちした。
そうすることで、少しでも妻の無念が晴れると思っていた。

彼の妻を殺したのは“カンサー”のデュエリストだ。それは事実と相違ない。
“カンサー”の首領は竜堂眸で、その子供は竜堂神邪。“カンサー”が非合法活動で得たカネで暮らしている。
ゆえに彼の怒りは当然である。正しい。まったく正しい。実に正しい。正しすぎる。もはや正しい。正しい。正しい。

神邪が10歳の子供であろうが、そんなことは関係ない。関係ないのだ。
たとえ子供だろうが、凶悪な犯罪者の子供だ。それを痛めつけることは、とてつもなく正しいことだ。本当だ。
悪人を惨たらしく殺すのが正義の味方だし、神邪に侮蔑の言葉を吐きつける者は、世界を守ろうとしている。

心ある人間ならば、この刑事を応援せずにはいられない。心ある人間ならば。
惨たらしく妻を殺され、警察上層部に伸びている“カンサー”の魔手が、捜査を妨害する。打ち切らそうとする。
そんな権力の腐敗にも負けず、彼は信頼できる仲間と共に、悪の組織に立ち向かう。立派だ、とても立派だ。

平和を愛し、人間らしい温かな気持ちを持っているならば、いかなることをしても悪を倒さねばと思うだろう。
この刑事たちは、“カンサー”という悪い奴らを倒す為ならば、どんな手段でも使う。その姿勢は正しいことだ。
警察官としての規律に反することであっても、正義の為なら踏み越える。保身などは考えない。実に立派だ。



神邪は、悪い奴だし、犯罪を肯定する。
いっそ世界なんか滅んでしまえと思う。
人間らしい心なんて、いらない。
偉くもないし、立派でもない。
自分の身が大切だ。

死んでもルールは守る。



◆ ◆ ◆



眠らせないという拷問があることを知った。
うとうとすると、殴られた。それでも眠ろうとすると、冷水をかけられた。注射も打たれた。
どっどっどっどと、頭の中でマグマか滝壺なのかわからないものが渦巻く。
眼前の光景は、刑事たちが入れ替わり立ち代り。何を言ってるのかもわからなくなってきた。

もういい、嘘でも何でも、適当な場所を言ってしまおうか。
そうだ、そうすればいい。それが利口だ、賢い選択だ。
解放してくれなくても、今より悪くなることなんてあるはずがない。

けれど、嘘を言ってしまうと、何かが砕け散る予感がした。

「・・・ぅ・・・・・・ぁ・・・・・・・」

虚ろな目で、神邪は口の中で、折れた歯を転がしていた。
こうすると唾液が出る気がした。
飲まず食わずで、トイレにも行かせてもらえず、乾いていた。

罵倒されながら、神邪は学校のことを考えていた。
もうすぐ日曜日も終わり、月曜日には学校へ行かなくてはならない。学校へ。
月曜日まで耐え切れば、ここから抜け出せる。

もうすぐ。



◆ ◆ ◆



解放されて、家に戻り、神邪はシャワーを浴びた。
汚れた服を捨てて、出来るだけ綺麗にしてから、代えの服を着た。

泥のように眠った。



◆ ◆ ◆



夢の中で神邪は、まだ取調室にいた。

騒音でしかない怒鳴り声が響き、警棒と拳が交互に放たれてくる。
もがいても力が出ない。



◆ ◆ ◆



とても眠れた気がしなかった。

養母に起こされたとき、まだ頭が痛かった。とても学校へ行ける気分ではなかった。
それを告げると、養父は学校へ行くことの大切さを語り、行かざるを得ない空気を作った。

「いってきます。」

ズキズキと痛む頭を抱え、神邪は学校へ向かった。
頭の中では、まだ昨日までの暴力と罵倒が、くわんくわんと渦巻いていた。

そして学校へ着いて、ようやく気付いた。
解放されたわけではないことに。

取調室での境遇を、理不尽だとか、地獄だとか、何て酷いことをとか、そんな呑気なことを言っている人は、学校での状況を知らないだけに過ぎない。

しかし神邪も、学校へ着いてから意識に思い出したので、要するに根が呑気に出来ているのだろう。
そうでなければ、耐えられるはずがないのだ。

考えてみれば単純なことである。
大人とはいえ3人しかいない警察官の暴力や罵倒と、子供とはいえ10人以上が入れ替わり立ち代り様々な攻撃を行ってくる状況と、どちらが苦痛だろうか?

どうにも間の抜けた話だが、刑事たちのことを訴えようという発想すら浮かばなかった。
そんなことよりも、こいつらを皆殺しに出来たらと思っていた。



◆ ◆ ◆



「俺のターン、ドロー! 《首領・ザルーグ》を召喚して、ダイレクトアタックだ!」
「・・・っ、《死者蘇生》が・・・!」

戦況は芳しくない。追い詰められた。

「僕のターン、ドロー。・・・っ、モンスターをセット。」

守備力は2000あるが、しかし相手は大河柾である。
10歳とはいえ、そのタクティクスと引きの強さは並みではない。

「罠カード《停戦協定》発動!」
「あ・・・」

モンスターがリバースし、正体が顕わになる。
そして《団結の力》で強化された《人造人間7号》の直接攻撃を受けて、神邪は敗北した。

「あん、惜しいなあ。《死者蘇生》を使っておくべきだったか。」
「そうかもな。おお、もう1枚は《デーモンの召喚》か。こっちを捨てたらヤバかったな。ヒヤッとするぜ。」

やはり《ダーク・アームド・ドラゴン》が欲しい。
神邪は強力な力を望んでいた。



◆ ◆ ◆



ついに貯金が溜まった。

問題は、《ダーク・アームド・ドラゴン》が売り切れてないか。
しかし店に行くと、そこにはトゲだらけのドラゴンの姿があった。

(あった・・・!)

喜び勇んで購入し、デッキに投入する。
これで次の勝負は勝てるかもしれないと思うと、気分は上々だ。
それだけのポテンシャルを秘めているカードなのだ。

久しぶりに笑顔で、家に帰った。



◆ ◆ ◆



次の日、デッキを確認したら、《ダーク・アームド・ドラゴン》が無くなっていた。

(え!?)

再び確認したが、やはり無い。

(何で!?)

慌てて養父母に尋ねた。詰問に近い調子で、部屋に入らなかったかどうかを訊いた。
しかし不機嫌な様子で首を振るばかりだった。心外だと言わんばかりだ。

ショックをショックとして感じるまでにも時間を要した。
今までの努力が無駄になった。
しかも理由はわからない。

誰が取ったのか。それとも自分の不注意で、道に落としたのか。

答えは、どちらでもない。

デュエルモンスターズは、単なるカードゲームではない。それが答えだ。
強力なカードほど使い手を選ぶ。神のカードが、選ばれたデュエリストにしか扱えないように。
あるいは、《真紅眼の黒竜》や《人造人間−サイコ・ショッカー》が城之内の手に渡ったように。

つまり、神邪はカードに選ばれなかった。そういうことである。
カードが神邪に使われることを拒絶したのだった。

考えてみれば当然である。一体全体どんなカードが、竜堂神邪に使われたいと思うだろうか?
たとえ弱くても、心優しいデュエリストに使われたいというカードは多いだろう。
悪くても、強いデュエリストに使われたいカードも、決して少なくない。
しかし、弱くて邪悪なデュエリストに使われたいカードなど存在しない。
神邪のデッキのカードも、神邪に使われたくない。だから引きが悪いのだ。

こうしたオカルトじみた現象が、ごく普通に罷り通るのが、デュエルモンスターズというゲームである。
デュエルが強くなる為には、カードに愛されるデュエリストでなければならない。

竜堂神邪を愛するカードなど、ただの1枚も存在しない。

この時点では。



◆ ◆ ◆



それから10年後。

リュックサックを背負い、フード付きのパーカーを着た青年が、街を歩いていた。
青年と言うには違和感のある、あどけない少年のような男。

道行く人々から、無造作に暴力を振るわれ、罵倒され、眉を顰められている。

青信号の横断歩道を渡ろうとしたとき、突然トラックが赤信号を無視して発車した。

「はっ!?」

油断していた彼は、勢いよく吹き飛ばされた。

「バカヤロー! 気ぃつけやがれ!」

咥えた煙草を落としながら、トラックの運転手が怒鳴る。
トラックはブロロロ・・・と音を立てて去っていく。

(ああ、しまった。僕としたことが・・・。)

わけのわからない理不尽が日常なのだから、あらゆる事態を想定しなければならない。
確かに不注意だった。運転手の言う通りだ。

(よし、これからは気をつけよう。そうしよう。すぐに反省できるのは僕の良いところだな、うん。)

前向き思考である。
そして逆刻で服の汚れを払い、肉体の損傷も元通りに治した。

そして時間を止めたまま、待ち合わせ場所に歩いていく。

「マサキ、待ったー?」

待ち合わせ場所には、革ジャンを着た、野性味のある青年が立っていた。

「おう、シンヤ。俺も来たばかりだ・・・って、デートかっ。」
「アハハハハ! 腕組もうか?」
「おいおい。」
「冗談はさておき、ファミレスにでも入ろうか。」

近場のファミレスに入り、適当な席に座る。

(マサキと一緒だと、店員が愛想よくていいなぁ。)

犯罪者の息子という理由で、入店を拒否されることも少なくない神邪だが、それは1人の場合だけだ。

「しかし慣れねぇな。自分だけ食ってるってのは・・・。」
「そうかい?」

内臓を闇の瘴気に食い尽くされている神邪は、人間の食物を摂取する必要が無い体になっている。
たとえ何かを食べても、虚空の闇へ消えていくだけで、栄養にはならない。

「何かシンヤに悪い気がするんだよなぁ。」
「ハッハッハ、何を言ってるんだい。僕がマサキに、どれだけ救われているか、マサキにはわからないんだなァ。」
「それとこれとは違う気がするんだが・・・。」

しかしストレートに救われていたりする。
神邪は人間の魂を食料にしているが、それは人間を殺さなければ生きていけないこととイコールではない。
バー(魂)の強力な人間が発する波動は、それだけで神邪を生き永らえさせてくれるのだ。
その人間の神邪に対する感情で、その度合いも変化する。マサキから溢れるバーが、神邪を救っているのだ。

嬉しいとか、楽しいとか、面白いとか、そういった感情が大きいとき、神邪は消耗しにくい。
逆に、苦しいとか、痛いとか、嫌悪をぶつけられたときなど、極めて消耗は激しくなる。
消耗すれば、魂を食らって補充せねば生きていけない。

(世の中がマサキみたいな人だらけだったら、僕は誰も犠牲にせずに生きていけるんだろうなァ。)

生きていけるとしても、その選択をするかどうかは別問題だが、魅力を感じる選択肢ではある。
犠牲なしに生きたいと思うほど善人ではなくなってしまったが、さりとて“必要な犠牲”を唱えたくもない。
いずれにしても、そうした状況にならないのであれば、どのような結論も空論に過ぎないのだが・・・。

しかし確実に、神邪は柾と一緒だと、楽しいことや嬉しいことが多いし、苦しいことが少ないのだ。
それが“救われてる”と言わずして何なのだろうか?

「・・・うん、やっぱりマサキと親友って時点で、僕は既に人生の勝利者だよなァ。」

しみじみと神邪は頷いた。

「おいおい、随分こっ恥ずかしいセリフを真顔で口にしてくれるじゃねえの。」
「ん? あ、声に出てた? いや、友情・努力・勝利ってスローガンあるけどさ、友情を育んだ時点で、既に努力してるし、勝利してるんじゃないかと思ってね。」
「んなこと考えてたのか? まあ確かに、友情が最もハードル高いよな。」
「マサキでもそう思うかい。」
「はは、俺だって友達が多いわけじゃねえよ。」

食べ終わる頃に、ふと神邪は尋ねてみた。
本当に何となくなのだが、ここへ来る途中で昔を思い出したからだろうか。

「そう言えば、マサキはダムド、どこで手に入れたの?」
「うん? そう言や、買った覚えは・・・あ、そうだ。小四の頃だったっけな。いつの間にかデッキに入ってて、でも今の俺には使いこなせないだろうって考えて、デッキから抜いてたんだ。入れたのは中学生ンときだったな。」

それを聞いて、神邪の顔はパッと明るくなった。

「ははっ、やっぱり僕はマサキに救われてるや。」
「え、何でだ?」


無駄じゃなかった。


お小遣いを溜めて、《ダーク・アームド・ドラゴン》を買ったのは、無駄にはならなかった。
盗まれたのでもない。落っことしたのでもない。あるべき持ち主のところへ行ったのだ。

(強いカードを入れれば勝てると考えていた時点で、僕はダムドに選ばれる器じゃなかったんだなァ。)

カードに相応しい使い手になるまで、デッキから外しておく・・・そこまでのストイックさは神邪には無かった。
だからこそカードに見放された。そのことを納得できる。むしろ見放されない方がおかしい。

「ふふふ。」

首をかしげる柾を見ながら、神邪は愉悦の笑みを漏らしていた。

懸命に溜めた小遣いで手に入れたカードが、親友のもとへ飛んでいく。
それは寝取られにも似た、マゾヒスティックな快感だった。

嫌なことは、くだらない奴にダムドを取られること。自分のミスで失くしてしまうこと。無駄になること。
そうでないならば、喜ぶべきことだ。

大河柾が、どれだけダムドの力で勝利を掴んできたか。
知らないうちに親友に貢献していたという、縁の下めいた快感も含まれ、神邪の悦びは絶頂に達した。






   僕は竜堂神邪くん!   完

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内 容 ニックネーム/日時
コング「僕はコングくん! このたびは僕は千香と結婚することになった」
賢吾「挙式は4月1日か?」
コング「バレてたか」
ゴリーレッド「コングは365日エイプリルフール」
コング「それは火剣だ」
賢吾「刑事の取調室よりも教室のほうが苦痛って、絶句する現実やな」
ゴリーレッド「いかなる理由があれ小学生に暴力をふるう時点で懲戒免職になる」
コング「でも神邪は怒っていない」
賢吾「そりゃ江戸時代の拷問ときたら」
ゴリーレッド「その話はいい」
コング「くノ一なら最後、真っ裸にされて水車責めだ。吐ーけ、吐ーけ」
ゴリーレッド「そういう話ではない。なるほどカードが神邪を拒絶するか」
コング「犬夜叉の刀のようだ」
賢吾「刀に選ばれるか否か」
ゴリーレッド「あるいは刀を使いこなせるかどうか。殺生丸のように」
賢吾「これは神邪に限らず、楽しい、嬉しい、面白いという感情を与える意義を痛感するな。文学がその一翼を担うか」
ゴリーレッド「苦しみを抜き、楽を与える」
賢吾「友を得る。親友と呼べる者が一人でもいれば人生の勝利者。これは合ってる。金持ちになって結婚して子どもを生んでマイホームに住んで。これが勝ちだと思ってる化石はまさかまだおらんよな?」
コング「ドウドウ」
ゴリーレッド「ダーク・アーム・ドラゴンは友のもとへ」
賢吾「寝取られにも似た?」
ゴリーレッド「掘り下げなくていい」
コング「惚れた女が大嫌いな男に犯されるよりも、友に大切にされていればなるほど納豆納得定食か」
賢吾「マゾヒスティックな快感?」
ゴリーレッド「もういい」
コング
2015/04/01 20:42
>コングさん
一瞬信じそうになりましたが、思えば今日はエイプリル・フールでしたね。嘘から出た真という諺もありますが・・・?
それはさておき、神邪の誕生日掌編でした。勝利の女神には見放される神邪ですが、親友に勝利の女神が微笑みます。

佐久間「まさかのダムド女体化。」
山田「そういう話なのか?」
神邪「コングさんの喩えは、凄くしっくりきます。どうりで寝取られ的な快感があると思ったら、そういうことでしたか。」
山田「しっくりくるのか・・・。」
神邪「僕にはダムドを淑女として扱う感覚が無かったんですね。」
山田「それはマサキにも無いと思うが。」
八武「しかしデュエリストにとって、しばしエースは嫁となる。」
佐久間「ということはマサキはティーグレと重婚。」
山田「ワンダーティーグレはマサキ自身だろう。」
維澄「神邪の女性的な部分や、自分に否定的な部分が、ダムドとしてマサキのもとへ行ったという解釈も出来るよね。」
神邪「いや、流石にそこまで綺麗な解釈は、僕なんかには勿体無いですよ・・。」
佐久間「ククッ、顔がニヤけてるぞ。」
山田「俺もそっちの解釈の方が妥当な気がする。親友としてマサキと共にある為に、女としての自分はカードとしてマサキのもとへ行ったんだ。」
佐久間「しかし寝取られ説も捨てがたい。」
八武「うむ。」
山田「お前ら・・。」
神邪「いずれにしても、僕が人生の勝利者なのは間違いないですね。ホーリーナイトと戦っていたときの僕に、このことを知らせてあげたい気分です。」
佐久間「あのときはマサキと再会する以前だったな。やはり神邪はマサキといるときが最も活き活きしている。」
アッキー
2015/04/01 22:15

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