佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘倶楽部   インターローグ 顧問の女

<<   作成日時 : 2015/06/04 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



「プリン美味えええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」

都蘭布高校の引率者・古賀(こが)モルフィーナ36歳は、豊かな胸を揺らしながら叫んでいた。
試合は2戦目が終わったところ。場所は使われてない部屋。
古賀はメガネを外し、《光神機−桜花》を胸元に挟みながら、プリンを食べているのだ。

「かああああ!! 誰もいない部屋でぇ独りでプリン食べるの最高おおおおおおおおおおお!!」

古賀はプリンが好きだ。大好きだ。
手軽に栄養補給が出来るだけでなく、彼女の出生に関わることである。

彼女には10歳より以前の記憶が無い。
気が付けば、薄暗い部屋でプリンを食べていた。
血腥い香りの中で、ひたすらプリンを食べていた。
メッタ刺しどころではない、ぐしゃぐしゃにされた死体が、3人分。
両親と、双子の姉か妹。ひしゃげた眼球がテーブルの上。
脳髄を露出した生首が、こっちを見つめている。
プリンが美味い。スプーンでしゃくり、脳髄を見て、しゃくり取りたくなった。
記憶が無いのだから、悲しいとも思わないし、恐いとも思わない。
ただ、プリンが美味い。それだけだ。
本当に家族だったのかどうかもわからない。言われても実感が無い。
あれこれ訊かれても、わかるはずがない。こっちが教えてほしい。
何が起きたのか。そんなことは、どうでもいい。プリンが美味い。

「くくっ、くくっ、くくくくくくく!」

何てシュールな光景だろう。大人になってから思い返すと、腹筋が痛いほどに笑える。
それは残酷なのだろう。救いようがない悲劇なのだろう。
彼女の心が壊れてしまったことも含めて、取り返しのつかない惨劇なのだろう。
しかし、壊れる前の心を忘れてしまったのに、不幸と言えるのだろうか?
少なくとも古賀は、そのことで自分が不幸だと思ったことはない。
万札の入った財布を落としてしまったときの方が、よっぽど不幸だった。

「あははははははあ!!」

けれど、どんなに苦しいときでも、悲しいときでも、あの光景を思い返すと笑えてくる。
家族が惨殺された中で、うふうふと笑いながらプリンを食べる幼女。何て面白い。
大人になって、客観的な視点で、傍から見るように光景を俯瞰して思い返しても、笑えてくる。

何でプリンなんだよ!
人が死んでる横で、何で呑気にプリン食ってるんだよ!
つれー、つれー、つれー、腹筋つれええええええええ!
月並みな表現だが、この思い出があれば、笑って生きていける気がする。
だってプリンだよ?
シュールすぎるだろ。

繰り返し思い返す記憶が、こんな笑えるもので良かったと、古賀は心の底から思っていた。
そうでない、繰り返し思い返す記憶が、迫害された地獄である人を見て、古賀は思った。
ああ、自分は何て幸福なんだろう。あたいは人生ハッピーな気分で過ごしているというのに。
世の中には、こんな不幸な人間がいるのか。あたいが救ってあげないと。

「ねえ、まったく? ニルエを救ってあげたいわぁ。」



「みゃははは、久しぶりだね、モルフィーナちゃん。」

目の前に、キャミソール姿の金髪美少女が立っていた。
きゅるんと可愛らしい表情で、顎に両手を当てて、机に身を乗り出している。

「メアリーぃいいいい!!? 久しぶりだなあああああああ!!!」

実に6年ぶりになるだろうか。
メアリー・カーネーション。

「みゅう、今は月島カノンだよ。」

キャミソールからは、白く輝く乳房が、ピンク色のポッチを垣間見せていた。

「そうなのかぁ、あたいは古賀と名乗ってる。モルフィーナはまんまだけどなぁ。」
「みゅう、モルフィーナちゃんはハーフっぽく見えるし、丁度いいのかな?」
「しかし、《モリンフェン》と似てるからってだけで、モリンフェン大好き倶楽部の顧問を任される始末だぁああ。」
「みゃはははは、モリンフェンと、モルフィーナ。確かに似てなくもないね!」
「似てねえええええ!!」

プリンを咽に流し込んで、古賀は抗議の叫びを行った。

「まーあ、それはさておきぃ。あんたが何故ここにいるう?」
「みゃははは、私はカンサー監査官カノンさんだよ。ねえ、A級22席“特攻”のモルフィーナ・コカイ?」
「は、あたいを監視しに来たとかクソ寒いこと抜かすんじゃねえだろうなああ?」

「みゅう、違うよ。伸久郎くんが死んじゃったから、身の回りに気をつけてって言いにきたんだよ。」

「はああああ!?」

古賀の口から逆流したプリンが噴出。
カノンの胸に、べちゃっとかかった。

「みゃっ!?」

「しんくろうって、21席“和音”の闇坂伸久郎かあ!?」
「そうそうそうなんだ♪」
「暗躍すーるぞカムカムヘール♪・・って、やかましいわ!」
「みゃはははは!」

カノンは胸についたプリンを拭きながら笑った。

「・・・で、その話は本当なのかあ?」
「カノンさん嘘つかない。みゅ♪」
「・・・まあいい、用心するに越したことはないしなあ。しっかし、あいつが死ぬかねえ。」
「死ぬときは死ぬよ。しーねしねしねしねしーね♪みーんなほーねになる骨になる♪」
「そういう意味じゃねえっての。闇坂伸久郎を殺せるほどの奴と言えば・・・」

その瞬間、古賀はギクッと表情を歪めて、慌てて対戦表を確認した。

「安藤・・・・・・比呂子、漢字は違うが、ヒロコ・・・・・まさか、こいつ・・・・・・・」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。みゅふふ。」

カノンは相変わらずキュートな笑顔で頬杖をついているが、それが薄気味悪く見えた。

「あ、ああ、あああ、あたいを殺しに来たのかあ?」
「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないね。みゅふふふふ。」

同じセリフを繰り返して、カノンは席を立った。

「あ・・・待って・・・行かないでえ・・・・・行かないでえええええええ!!!」

カノンの姿は消えていた。
独り残された古賀は、得体の知れぬ不安感に溺れそうになっていた。

「あ、あう、プリン・・・・・そうだあ、プリンを食べよう、プリン、プリン、プリン、あきゃきゃきゃきゃきゃきゃ!!!」




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内 容 ニックネーム/日時
コング「言ってしまえば、僕は一介のヒロピン研究家だ。朝も昼も夜も深夜も365日、どんなヒロピンシーンに人々が興奮するかを研究している。萌えるシチュエーション、萌えるセリフ、萌えるコスチュームなどあらゆる角度から探究している自分をたまに誇りに思う」
ゴリーレッド「思うな」
コング「なるほどキャミソールか。これも刺激的で挑発的だ」
火剣「普通に着こなせばそうでもない。月島カノンの着こなしに問題がある」
コング「顧問の女、古賀キャミソール?」
ゴリーレッド「モルフィーナだ」
火剣「安藤比呂子?」
コング「そうかもしれないし、そうじゃないかもしれない。怖いセリフだ。ぐふふふ」
ゴリーレッド「プリンか。本人は自由だが、他人が聞いたらかなり笑えない」
火剣「笑いようがない」
コング「笑えええええ! ぐはぐはぎひひいいい!」

火剣獣三郎
2015/06/04 11:43
>火剣さん
トランプ高校の顧問は、バレバレかとは思いますが「決闘の箱」に出てきたモルフィーナ・コカイ。あの6年後になります。
そして何故か下着をつけてないカノン。キャミソールを下着と勘違いしているのかも?

八武「キャミソールは素晴らしい。こちらの気持ちひとつでは下着同然なのに、そんな格好で健全に出歩いちゃって?」
神邪「つまり水着で出歩くことに、何も問題は無い・・・?」
山田「死根也の毒電波にあてられるな。水を飲んで深呼吸するんだ。」
八武「モルフィーナはタートルネックかね?」
佐久間「暑いだろ。」
アッキー「冬だったらタートルネックで決まりでしたが、夏なのでブラウスです。」
八武「透けるポッチと、チラ見せポッチ。この対決!」
維澄「対決なの?」
佐久間「栞も参戦できる。」
維澄「しないよ。」
八武「そう言わずに。」
山田「モルフィーナは壮絶な過去を持っているが、このまま記憶が戻らない方が幸せなのかもな。」
アッキー
2015/06/04 21:09

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