佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 人間不平等決闘論

<<   作成日時 : 2015/09/13 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



この世界には、8つの力がある。
知力、暴力、財力、権力、魅力、強運、技術力・・・そして、決闘力。

男は女に、知力、魅力、強運を求め、女は男に、暴力、財力、技術力を求めるという。
それは傾向で、ルールではないけれど。
それは傾向で、大多数の不文律。

人間は平等ではない。社会が出来てから、いっそう不平等になった。
人間が平等でないから、わたしは生きられた。
平等だったら、わたしは死んでいた。

相克来夏(そうこく・らいか)の生存は、赫夜自律(かぐや・じりつ)の死亡を前提に、成り立っている。



◆ ◆ ◆



「たたたたたた旅人くん! わわわわたしとデュエルしようよ!」

わたしは焦りながら、どもりながら、恋人に話しかける。
節木旅人(ふしぎ・たびびと)は、煩わしそうに眼鏡を持ち上げて、鼻筋の通った顔を向けてくる。

「しない。」
「ええええええ!!」

可愛い恋人の頼みだというのに、何たる男だろう。
ツインテールは子供っぽく見えるのか、旅人は手を出してこない。恋人なのに。
半分は嘘。ハサミで右目を刳り抜かれたことはある。何て暴力的な愛情表現。
わたしが好きな子いじめするような、幼稚で下卑た行為(好意)をしてきたから、反撃された。嬉しい。
だけど最近、また構ってくれない。そろそろ左目も差し出さないといけないのかもしれない。

たとえ目が見えなくなったところで、心の目でカードを見れば、デュエルするのに支障は無い。

「うるさい。」
「かかか可愛い恋人に向かって、そそそれはないじゃないかな!?」
「“おれ”は本を読んでるんだ。」
「じじ自分で可愛いって言っちゃうってツッコミみみみは無し!?」
「あー・・・」

旅人は、すくっと席を立って、わたしの肩を掴んで腹に蹴りを入れた。

「ごべっびょっぽ・・・・うううううあああああいいいいいい痛いよおおおおおお!!」

彼が構ってくれると嬉しい。20歳までには死にたいな。
ハサミで体中を突き刺されて、わたしを切り刻んでくれると楽しい。泣きながら。わあ幸せ。

わたしと旅人は、幽堂高校の二年零組。たった2人のクラス。ふたりっきりのクラス。異常で平常。
生徒全員デュエリスト能力者の幽堂高校は、この地域ではトップクラスの決闘強豪校。
頂点の翔武、戦術の西虎、戦略の東仙、と並ぶ。能力の幽堂。そのまんま。全員が能力者だから。

学年400人、生徒全員で1200人、そのうち6割がレベル1能力者。レベル2能力者は3割。
残る1割にレベル3以上が含まれている。レベル4以上は、全体の1パーセント強、15人。
その15人を指して零組と呼ぶ。中でもレベル5以上(異常)は、5人だけ。わたしと旅人と、あと3人。

生徒の大半は、ホワイト(健全)、グリーン(安全)に属している。ホワイトが1割、グリーンが8割。
ちょっと危険なイエロー(注意)、問題児のレッド(要注意)は、15人の中に5人と5人。
残る5人はブラック(危険)、わたしと旅人も入っている。そんなに危険とは思えない。でも主観だし。

「たたた旅人くんってば、あああああ相変わらずバイオレンス!」

などと供述している自分は、旅人との繋がりが欲しいだけ。本気で暴力的だと思ったことは一度も無い。
ちょっかいをかけなければ、無害で安全。せいぜい注意か要注意。わたしも高々そんなとこ。

「“わし”がバイオレンスというなら、来夏も同じだ。」
「わあああああ嬉しいいいいい!! なななな名前で、よよ呼んでくれたあ!!」
「いつも呼んでるだろ。」
「そそそそそんなことないもんっ! おい、とか、お前、とか、まるで離婚寸前の熟年夫婦!!」

ぐちゃっと足で何かを踏んづけて、わざとらしく怒ってみる。わざとらしくても嘘でもない。
わたしは可愛い彼女で、エイリアンで、どもるし焦る。旅人の恋人で変人で死人。

「帰るか。」
「うん、帰ろっ!」

いつまでも鉄臭い工場の中にいても仕方ない。ふたりっきりだけど、歩いたら何かを踏んでしまう。
何だっけ、これらの何か。とりあえずデュエルディスクは拭いておこう。染みになったら困る。



◆ ◆ ◆



よくある話をしよう。

わたしはライカ星から来た王女ではないが、相生朽葉(そうしょう・くちば)の親戚で、金持ちの家に生まれた。
相生朽葉は日本で2番目のレベル5能力者で、デュエルで稼いだ資産は、彼女が行方不明になってから、親戚が争って食い散らかした。その中の1人が、わたしの父親。パパ。父さん。

金持ちと貧乏人。今の世の中、人間は生まれながらにして不平等。取り返しがつかない。
15年前、大規模な交通事故があった。わたしは死ぬはずだったけど、生き延びた。
わたしが金持ちの娘だったから、病院側が優先的に治療を施した。母親は死んだけど。

金持ちの娘を治療する為に、手厚くスタッフが投入された。人手が足りてないのに。
わたしの生存率を1パーセントでも高める為に、誰かの命が100パーセント失われた。
その中に、高校生だった赫夜自律・・・赫夜先生の姉がいた。彼女の夢は永遠に閉ざされた。

赫夜先生は、わたしに尋ねてきたことがあった。
自分の生存が、誰かの犠牲の上にあると知って、どう思うかと。

わたしは「人の命は平等じゃない」と答えた。
「わたしの命は赫夜先生の姉よりも尊かった」「だから」「わたしは生きている」「赫夜自律は死んだ」とか。

そうやって挑発してやったら、闇のデュエルを挑まれて、こてんぱんに負かされた。

赫夜先生のレベルE能力“前門星回”(リクルーター)は、『1ターンに相手の能力レベルの数までデッキからモンスター1体を特殊召喚できる。』というもので、だから理由はわかるでしょう、わたしが負けた理由は。

デュエリスト能力はカード効果に優先される。
《光の創造神ホルアクティ》は、特殊召喚されたら勝利が確定する。
わたしのデュエリスト能力は、設定を増やすことしか出来ない。

わたしは敗北し、その場で赫夜先生に処女を奪われ、何度も精を注がれた。
先生の雌奴隷になって、学校で毎日のように犯され、そのうち妊娠した。
何度か堕胎したら、そのうち子供が産めなくなった。
すると赫夜先生は、復讐(復習)は終わったと思ったのか、わたしから手を引いた。

自分が人の命を啜って生きてきたと思うと、つらいことがあっても生きていくべきだと思う。
わたしの命は尊いのだから。金持ちの命は、庶民の命より尊いのだから。自ら死んではいけない。

しかし赫夜先生に強烈な苦痛を刻まれたので、手を引かれたら物足りない。
つらいことがあっても生きていけるが、楽しいことが無いと生きていけない。生きてる感じが全然しない。

なので次は、大人しそうな同級生に、ちょっかいをかけてみた。
その結果が、ご覧の有様だよ。右目を抉られたよ。痛かったよ。生きてる実感があるよ。

わたしの肉体は損なわれていく。命が残って、デュエルが出来れば、それでいい。最終的には。
わたしの命は尊くて、目が見えなくてもデュエルは出来る。手足が切り取られたら、闇のデュエルをすればいい。

あー、楽しいな。生きてるって素晴らしい。世界が輝いて見える。
自分の命が尊いと知っていると、社会は平和で、死んでいく人の命は卑しい。
わたしは金持ちの家に生まれたから、世界が平和だと思えるよ。



◆ ◆ ◆



人間は不平等だ。

賢い人と馬鹿がいて、強い人と弱い人がいて、金持ちと貧乏人がいて、権力者と奴隷がいて、美人と不細工がいて、運の強い人と不運な人がいて、器用なのと不器用なのがいて、デュエリストがいる。

同じ世界でも、人によって認識は違う。
間違ってると言う人もいれば、狂ってると言う人もいる。
たくさん人が死んでいるのを知っていても、平和だと感じる人もいる。

この世界が間違ってると主張する人は、自分が得する立場になっても、同じことが言えるの?

きっと不平等を憎んでる人はいない。
特別になりたい人はいても、特別でなくなりたい人はいない。
みんな違って、みんな良い。



この世界には、7つの力と1つの力がある。
知力、暴力、財力、権力、魅力、強運、技術力・・・そして、決闘力。

わたしは最後の1つさえ、残っていれば、それでいい。







   人間不平等決闘論   終

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