佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘倶楽部PX   インターローグ 絶対神

<<   作成日時 : 2015/11/06 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



闇の翼が大空を、オレンジ色に染めあげる。
より赤く、血の色に、真っ青な体躯は揺らめいて。

立ちはだかる神の前に、闇坂猟奇は尻餅をついていた。

「んな・・・馬鹿な・・・」

出てくるのは、平易なセリフばかり。
この光景を見て、気の利いた言葉など考えられる余裕は無く。

ただ、鉄槌を下されるのを待つのみだった。



闇坂猟奇:LP:9550→0



中国のデュエリストは、碁打ちと違って層は厚くないはずだった。
ましてモリンフェン使いとなれば、更に少ない。

それが事実であることを示すように、地区予選は軽々と突破。
猟奇は油断なく、本戦へ進んだ。

油断は無かった。
気負いも無かった。
舞い上がることなく、いつも通り、冷静に力を出せていた。

だからこそ、この結果は・・・ただ、ただ、圧倒的な力の差。
歩いても、歩いても、辿り着けないであろう領域。


悶輪怖円(モリンフェン) レベル4能力(所有者:闇坂猟奇)
デッキに「モリンフェン」を4体入れることで、1ターンに以下の効果から、2つまで選択して発動できる。
(同じ効果は1回まで)
●ドローフェイズに「モリンフェン」を手札に加えた場合、それを捨てることで2枚ドローする。
●スタンバイフェイズに自分のライフポイントを「モリンフェン」の元々の攻撃力分だけ回復する。
●バトルフェイズに、あらゆる場所から「モリンフェン」が相手プレイヤーに直接攻撃し、与えた戦闘ダメージ分だけ自分のライフポイントを回復する。
●エンドフェイズにフィールドのモンスター1体に「モリンフェンカウンター」を1つ乗せる。
自分のモンスターは、乗っている「モリンフェンカウンター」の数だけ、攻撃力1550・守備力1300アップする。
相手のモンスターは、乗っている「モリンフェンカウンター」の数だけ、攻撃力1550・守備力1300ダウンする。



このような、とてつもない能力を持っている自分から見ても、まだ、まだ、まだ酷い。えげつない。

鼻眼鏡をかけた優男にしか見えないのに。
その実力は歴戦の猛者。

負けて悔しいと思えないほど、圧倒的な力の差があり、そして清々しかった。
こんな感情は、デュエリストとしては良くないことかもしれないが、しかし一方で、これが本来あるべきデュエルの健全さなのかもしれないと思う。



- - - - - -



「中国代表おめでとう、飛星(フェイシン)。」

蒼白のロングヘアーを揺らして、日傘を差した女吸血鬼が現れた。
あどけなさこそ無いものの、目を見張る綺麗な顔立ちで、厚手の服に包まれながら、隠し通せぬ細身と凹凸。

「ありがとうございます、泣笠(なきがさ)さん。今日は、おひとりで?」
「斑(まだら)は海外旅行に耐えられる体じゃないわ。美宇(みう)と留守番。妬けるわね。」

しかしクスッと笑う表情には、素直に2人を愛しく思う気持ちに溢れていた。

「はいよーっと、あ、泣笠さん早い! アタシも急いで来たんだけど、馬が言うこときかなくて。」

ペロッと舌を出しながら、凹凸の少ない少女が、黒馬に乗って現れた。
細いというより小さい体に、Tシャツと短パン。控えめな胸の膨らみで、かろうじて女と判別できる。

「あら、エニグマ。それとも、烏丸冥(うがん・めい)と呼んだ方がいい?」
「エニグマでいいよ。隠すほどのことでもないし。」

反カンサー統一戦線“キューブ”の、トップ6名・・・のうち3名。
組織の枠を越えて、施設への慰問などを共に行う仲間だ。

「ゴーストフェイスと琴美ちゃんは? アタシ“首都”で別れてから見てないんだけど。」
「小生は与り知らぬことで・・・泣笠さん。」
「琴美は海ふたつ向こうよ。じきに船で日本に帰ってくるって。ゴーストフェイスは・・」

すると、くぐもった声が響いてきた。
噂をすれば影・・・である。

「はいはい、ちゃんと来てますよ。わたしの移動能力はバツグンですからね。」

フードを被ったワイズマン。
“キューブ”の中でも、謎が多い人物だ。

「それよりエニグマ、わたしとバツグンにキャラが被ってる人物を、“首都”で見かけたとか・・・?」
「あ、いっけね、紹介すんの忘れてた。いやー、アタシたち、そうそう会わないじゃん?」

エニグマが体をねじるように翻ると、ゴーストフェイスよりもだいぶ小柄なフードの人物が現れた。
そして、絵としてはこちらの方がインパクトのある、人間離れした美少女。モデルかと思ったくらいだ。
垂らせば地面を撫でるほどの長い黒髪を、ポニーテールに結い、アタッシュケースを持っていた。

葉継は自分のプロポーションを、客観的に見て整っている方だと認識しているが、それ以上だと見た。
それに何より、揺らがない目的を持った者に共通する、意志の強い眼光が好ましい。
どこか性質的に直感がはたらいたことも含めて、同性ながら惹きつけられる。

「初めまして、泣笠葉継さん、波花飛星さん、ゴーストフェイスさん。」

物腰が丁寧で、礼儀正しい。
どこぞの令嬢かとも思わせるが、おそらく生来のものだと思われた。

あらかじめ概要は聞いており、少し未来のパラレルワールドから来たとのこと。
カンサービーストが跳梁跋扈するという話も、又聞きであっても信じられた。
葉継自身、父親の魂と記憶を引き継いでいるので、よくわかる。
200年前の時点で既に、決闘吸血鬼を作り出せるような世界だ。現代なら、そして近未来なら。

しかし、それをおいても解せない点が、ひとつだけあった。

「神邪くんは、まだ“迷宮”に?」

彼女は、神月緋鶴(こうづき・ひづる)は、竜堂神邪に好意を持っているという。
それもエニグマから聞くだに、男女のそれであると。間近で見ても、それは間違いないようだ。
心配な顔で頬を赤らめて、まさに愛しい男の帰りを待つ女の顔である。

(パラレルワールドの竜堂神邪は、どれだけ別人なのかしらね。)

こちらの世界では、おそらく世界有数の嫌われ者。
人数だけで言えば、歴史を振り返ってもトップクラスだろう。

実際に会えば、さぞかし落胆するだろうと思うと、葉継は気が重かった。



◆ ◆ ◆



その頃、遠く離れた地下迷宮。


「だーかーらー、ちょっとお話しようって言ってるだけじゃん?」
「そう怯えられると傷つくんですけどー?」
「やっちゃう?」

3人の不良少年が、少女の手を掴んで壁際に寄せていた。
少女は声も出せないほど震えていて、涙ぐんでいる。

そこへ通りかかった竜堂神邪は、一瞥くれて去っていった。

「―――っ!?」

助けが来たと思ったら、見て見ぬフリ。
少女の抱いた希望は、一瞬にして絶望へ叩き落とされた。

だが、そこへ救世主は登場する。

颯爽と現れた少女は、軽やかにデュエルディスクを展開し、男たちを蹴散らした。

「・・・あ、ありがとうございます!」
「恐かったよね、もう大丈夫よ。」

救世主は助けた少女を抱き締め、そして歩いていく神邪に、後ろから飛び蹴りを食らわした。

「ぐっ・・・」

釘やガラス片の落ちているところへ、神邪は転がされた。

「あんたねえ、女の子が絡まれてるってのに、見て見ぬフリって何様よ! それでも男!? この子がどれだけ恐い思いしたと思ってんの!? 学校の勉強する前に、常識を勉強したら?」

よろめきながら立ちあがった神邪は、うんざりした顔で目を細めた。

「何よその顔! 反省しなさいよ! 何とか言ったらどうなのよ!」

神邪は無言で、その少女の顔面を石で殴った。
蹴り倒されたときに、拾っておいたのだ。

「ぐびゅっ・・」

少女が体勢を崩したところへ、第二撃!
大惨劇が始まろうとしていた。

「だ、誰かあああーーー!!」

チンピラに絡まれていた少女が、青い顔で叫ぶ。
神邪は一瞥しただけで、再び石を振るう。

ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ ゴガッ

「・・・ああ、死んだな。」

少女が動かなくなったので、神邪は一息つき、石を捨てて歩き去っていった。
もうひとりの少女は、あまりのことに頭がついていかず、青い顔で立ち尽くしていた。



- - - - - -



「ただいま、マサキ。」

アジトへ戻ってきた神邪は、そのままベッドへ腰を下ろした。

「どうしたシンヤ、お疲れだな。チンピラにでも絡まれたのか?」
「まあね。」

いつもながら親友の勘は鋭い。勘というよりは経験則か。
戻るのが遅れたことから、そう推理するのは難しくない。

「ま、シンヤにはアレがあるから命の心配はしてねえけどな。」

決闘法則を利用して、デュエルを伴わない暴力に対して瞬間的に闇のデュエルを仕掛ける。
そして瞬間的に勝利し、決闘法則が作用するので、リアルファイトで勝てるわけだ。

「あ、そういえば今頃って、全世界モリンフェン大会が開催されている頃だったな。」

思い出したように、神邪は話題を変えた。
マサキに気を遣われることは、幸せだけど、申し訳ない気分だ。

「モリンフェン大会?」
「こよなくモリンフェンを愛するデュエリストたちによる、シングルデュエルの大会さ。タッグ部門は廃止されたけれど、規模自体は拡大している。」
「そりゃあ濃そうな大会だ・・・。というか詳しいな。」
「“キューブ”の仲間に、モリンフェン使いがいるからね。とびきりの。」
「ほう。」

マサキの目が、ギラリと光る。
強い相手に目が無いのは、デュエリストとしての本能だろうか。


「彼の能力は超弩級。《邪神アバター》や《蛇神ゲー》ですら敵わない、“絶対神”(モリンフェン)だ。」



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「飛星。中国・韓国、アジア系は結構キレイな女子がいる」
火剣「キムチで肌がキレイなのか」
コング「それだけではないだろう」
ゴリーレッド「何だか豪華な顔ぶれ」
コング「泣笠葉継、エニグマ、ゴーストフェイス、波花飛星」
火剣「神月緋鶴は男を見る目があるってことか」
コング「神邪はそんなに嫌われ者なのか。トップクラスとは信じ難い。アブノーマル度はトップクラスだが」
ゴリーレッド「この惨劇の理由は?」
火剣「あくまでも不良が悪いんであって、男のくせに見て見ぬふりは卑怯、臆病者という決めつけは悪というメッセージか」
ゴリーレッド「少女を助けたために殺されてしまうかもしれない」
コング「少女がタイプじゃなかった」
ゴリーレッド「そういう理由ではないはず」
火剣「マサキの言うように、勝負師は『相手にとって不足なし』の強豪は闘争本能が刺激される」
コング「僕は美女及び美少女にしか興味はないが」
ゴリーレッド「絶対神?」
火剣「風森無々ではないな」
コング「カバムーか」
ゴリーレッド「デュエリストではない」
火剣獣三郎
2015/11/06 19:23
>火剣さん
時間軸は「決闘迷宮」の頃、神邪とマサキにも少しだけ出てきてもらいました。ただの解説役には収まりません。
次回は“唯一神”と“絶対神”が、ガチンコ対決!!

八武「冷静と情熱のアジア。」
山田「どっちがパロディだったっけ。」
佐久間「辛いもの好き。」
維澄「私も。」
八武「白のパンツを♪どれでも全部並べて♪」
山田「さて、死根也を殺そう。」
八武「何故だ!? そんな酷い唄でもあるまい!」
佐久間「パンダだ。」
八武「ん、そうだったっけ・・?」
山田「素で間違えてたのかよ! どっちにしろ酷いがな!」
維澄「神邪は何かとトラブルに見舞われるね。」
八武「“ブック・オブ・ザ・ワールド”でも回避できないか?」
佐久間「少女を助けていた場合は、感謝されるどころか嫌悪の目で怯えられ、後から来た少女に犯人扱いされる・・・そういう未来を回避した結果だ。」
山田「救いが無さすぎる! 神邪が何をしたってんだ!」
佐久間「救いはマサキの存在だ。」
アッキー
2015/11/06 22:33

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