佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 2

<<   作成日時 : 2015/11/18 00:00   >>

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“サトリン”率いる電脳戦士たちの本業は、“人助け”である。邪戦士と戦うことは副次的なものだ。
“アインストール”七村七美が攻撃的なので、悪と戦う正義の味方な印象があるが、チームとしての本質はアンパンマンだ。アンパンチを振るう方ではなく、自らの顔を食べさせてあげる、献身のヒーローなのだ。
悪に対する正義でもなく、悪に対する善でもなく、宿命や狂気でもない。
憎悪に対する、愛の戦士。
“イヴィル”から回線を取り戻したことで、困っている人々の嘆きは、再びサトリンのもとへ届くようになった。そして電脳戦士たちも、人助けに邁進していった。

ところが、そんな中で成果を出せない者がいた。
それが“インビンス”九古鈍郎である。
七村七美を攻撃的だと述べたが、その実、自分こそ攻撃的の最たるものではないかと九古鈍郎は思った。
7月の戦いでは、自らの能力で女生徒を傷つけ合わせてしまった。やむをえない状況だったとはいえ、それが言い訳になるほど人助けの世界は甘くない。
七美の“人格消去”(マインドデリート)は、つらい記憶を削除することも出来る。八谷の“電子保護”(マインドガード)は、今の自分のような苛立ちを鎮めてくれるだろう。瑠璃子や永須の能力が、どれほど人の役に立つかは言うまでもない。
自分の能力は強力だが、戦いにしか役に立たないのではないか。争わせるだけの能力に、平和な使い道はあるのか。

しかし、そういった超能力の性質は、本質の半分に満たない。
凜や櫃、三角も、決して人助け向きの能力ではない。しかし、人助け向きの性質を持っている。
総じて電脳戦士たちは、根本的なところで人への信頼があり、愛がある。
しかし自分は、むしろ邪戦士に近い性質を持っていると、鈍郎は思う。
“イヴィル・アタッカー”阪口勝起に語ったことは、皮肉ではなく、本心だ。
人間不信の、憎悪の塊。
10代20代の頃は、いつも苛立っていた。30を過ぎて少しは穏やかになったかと思えば、そんなメッキは簡単に剥がれてしまう。
「私は人助けに向いていると思いますか?」
「向いてないと思う。」
思い切って三角先輩に評価を仰いでみたところ、飾らない言葉が返ってきた。
ありがたかったが、同時にショックでもあった。
だがそこへ三角は、しかし、と付け加えた。
「人助けに向いている者には、助けられない者もいる。」
「・・・・・・?」
その言葉の意味を、鈍郎はすぐには理解できなかった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「僕は人助けに向いている性質だ」
ゴリーレッド「どこがだ」
コング「今までに何人の美女を救ってきたか」
火剣「腹パンしてきたかの間違いでは」
コング「美女をあんあん言わせるアンアンマン」
ゴリーレッド「九古鈍郎も攻撃的の最たるものか」
火剣「戦いにしか役に立たない能力」
ゴリーレッド「能力と性質はまた違う」
コング「電影戦士は全裸磔されても屈しない」
火剣「それは電影少女」
コング「あい!」
ゴリーレッド「アイアンクロー!」
コング「待て!」
火剣「電脳戦士は人助け。でも鈍郎は邪戦士向きとは思えないが」
コング「人助けに向いている者には、助けられない者? 賢者コングーとしては一発で当てたい」
火剣「難しいな。阪口みたいな男か?」
コング「犯されかけた女子」
ゴリーレッド「まじめに考えなさい」
コング「悪党?」
火剣「答えが浮かばない」

火剣獣三郎
2015/11/18 20:08
>火剣さん
能力的にも性質的にも、自分は人助けに向いているとは思えない鈍郎ですが、そんな彼に三角は・・・?

神邪「僕も邪戦士の方でしょうね。」
佐久間「だが、邪戦士向きであることと、実際に邪戦士になるのとは、別物だ。」
維澄「誰々みたいなタイプが好きというのと、その本人が好きというのは別物、みたいなものかな。」
八武「にゃるほど。」
佐久間「イヴィルの性質を考えれば猶更だ。」
山田「イヴィルなら誰でも邪戦士に仕立て上げてしまいそうだな。」
八武「気の強い美女を、雌奴隷に仕立て上げたい。」
山田「ラリアット!」
八武「ごあっ!?」
佐久間「今日も暴力コンビは絶好調です。」
山田「安心しろ、峰打ちだ。」
佐久間「ラリアットに峰打ちも何もあるかっ!」
神邪「人助け向きの者には助けられない・・・僕とか?」
維澄「そうかもしれない。」
山田「作中人物では誰なのか。」
佐久間「正解は次回!」
アッキー
2015/11/18 22:13
純粋な人助けには向かない能力。争うこと専門の能力。まあ、確かにそうかもしれません。しかし、能力というのは発想次第で色々な使い方が出来るはず。
偶石握殺(サークルファイア)は、確か『自分か仲間に対する攻撃意思を持つ者が偶数人いた場合、攻撃意思を持つ者同士に攻撃意思を変更することが出来る』でしたっけ。
例えば、これを使っても何も起こらない場合、近くには少なくとも攻撃意思を持つ者は二人以上いないということが分かる訳です。安全確認という平和利用でどうでしょう。
他には無血勝利作戦。例えば攻撃意思を持つ者A、B、C、D、がいて襲い掛かってきたとする。ここで偶石握殺を発動し、AとB、CとDを争わせる。しかし、A、BとC、Dがお互いを攻撃する直前に偶石握殺によって攻撃対象をAはC、CはA、BはD、DはBに変更する。すると四人は現在の攻撃を中断し、AはC、CはA、BはD、DはBに攻撃しに行く。ここで偶石握殺によって、攻撃対象を最初に戻す。後はこれを繰り返せば攻撃と中断を繰り返して疲れて動けなくなる。または戦意喪失によって攻撃意思がなくなる。よって無血勝利というのはどうでしょう。
もちろん、悩みの本質は別のところにあるかもしれませんが、能力に関しては人助けに向いているかどうかなんて、工夫次第でどうにかなるかもしれません。もっと言えば仲間と連携することで今まで人助けに向かなかった能力が向くようになるかもしれません。まだまだ伸びしろはたくさんあるのではないでしょうか。
千花白龍
2016/04/01 23:17
>千花白龍さん

これまでにも魚を使ったりと、発想で戦況を有利に動かしてきた鈍郎ですが、戦い以外の発想が浮かんでこないあたりで悩んでいます。戦いにおいては色々な使い方が出来ているのですが、人助けにおいて使い勝手が良くない能力なのは確かです。
安全確認の場合だと、やってしまった後ではあんまり平和な光景が広がってなさそうですね・・・。それに、相手を認識してないと発動できないので、レーダーみたいな使い方は出来ないのです。無敵のように見えて、死角からの狙撃一発で死にます。
中断ループは割と使えそうですが、多分それは鈍郎が先に疲れて倒れるパターンかな・・・。能力を使うにも精神力を必要とするので、その消耗の方が激しいかと思われます。

どちらかというと鈍郎は、争いを好まない性質なのです。仲良くしなくてもいいけど、争いたくもない。
一般的な感覚としては、仲間を守れる素晴らしい能力ということになりますが、守る為に他の誰かを傷つけているという部分を、鈍郎は無視できない。ここは“ガーディアン”と違うところです。
彼の中には確実に、凶暴な性質が眠っていますが、それを制したい気持ちも強くある。いずれにしても、まだ伸びしろが多いのは当たっています。電脳戦士の中で、サトリンの次くらいに伸びるはず?
アッキー
2016/04/01 23:45

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