佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 22

<<   作成日時 : 2015/12/09 00:00   >>

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高校の勉強は、何て難しいのだろう。
難しいというよりは、やることが多いと言うべきか。どれもこれも中途半端にしか出来ない。
茶倉の成績は、一学期の中間は平均点そこそこだったが、期末テストでボロボロになった。
高校受験のとき世話になった塾に、再び通うことになった。格安の値段で上質な授業。ありがたい。
このとき既に九古鈍郎とは出会っているのだが、双方ともに“出会った”という意識は無い。すれ違うだけの間柄に、他人として以上の感情は芽生えない。
この塾が、いわゆる左派の人々が運営しているのだと知るのは、もう少し先のことだが、それゆえに茶倉にとっては良い塾だった。丁寧な指導に加えて、受講料が安価で、払い遅れの相談にも乗ってくれる。貧窮した生活においては、そうした融通が死活問題に直結していた。ゆえに、ありがたい。
そのまま順直に行けば、茶倉は左翼活動家になっていたのかもしれない。そうなる素質は十分あった。
戦争は資源の無駄遣いで、貧困は心を蝕む害悪だ。
いつの頃からか、心臓から腹の辺りへかけて、熱く濁った重苦しい塊が座していた。ちょっとした他人の発言に対して、その塊がゴソリと動くとき、はらわたが煮えくり返るほどの熱が湧いてくる。
あ、あ、まっ、たく。
“他人”というものは、いつもいつも無駄なエネルギーを使わせてくる。近しい人達だけで、内輪で過ごせれば、どんなにいいことだろう。だが、社会の中で暮らしている以上は、そして自分が貧乏であるなら猶更、そんな夢物語に浸ってるわけにもいかない。
浸っていたいが。
死ぬまで浸っていたいのは本音だが。
そうでないならば、社会を変えるしかない。貧困という害悪を叩き潰し、粉々にし、ゴミ箱へ放り込んで、火をかけて、燃え尽きた灰に唾でも吐きかけてやりたい。
左派というより、左翼というより、一歩進んで革命家。
そんな道もあったのだろう。


「きゃっははァ〜い♪ はっじめましてェ茶倉さん? こんばんは、わんばんこ、お呼びでないのにコンニチハっす! 次のエリアに御案内☆電子の海からやってきた〜♪ お尻の小さな女の子〜♪」
「・・・・・・え?」
高校三年生の夏休み、悪夢は突然訪れた。
「あっ♪んっ♪んあっん〜♪ この体じゃスリムでキュートと言えないか? こ〜んな、くったびれた中年女じゃ? ブベッ」
血を吐きながら笑っていたのは、自分の母親。
いや―――
「私は“イヴィル”。」
―――決して母親ではない“何か”。
それは楽しそうなステップを踏んで、血を吐き続けた。
「コォ♪」




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「こんばんわんこそばんそーこー」
火剣「期末テストでボロボロ?」
コング「ちょっとあんた顔貸しな。屋上に連れて行かれた茶倉は多勢に無勢。制服を奪われ征服」
ゴリーレッド「ボロボロにしてあげようか?」
コング「待ちたまえ」
火剣「上質な授業か。授業が上手い教師は確かにいたな」
ゴリーレッド「鈍郎と茶倉は会ったその瞬間にビビット来るような劇的な出会いではなかったか」
コング「初めて会ったその日から、恋の花咲くこともある。見知らぬあなたと」
ゴリーレッド「パンチを食らいたいのか?」
コング「なぜそんなに暴力的なんだ?」
火剣「貧困という害悪か。貧困を撲滅できれば、どれだけ世界が変わるかわからない」
コング「都道府県に一人賢吾を派遣」
ゴリーレッド「できれば市区町村に一人」
火剣「賢吾流がもしかして新しい革命かもしれねえ。ワイドショーに出てるしたり顔の経済専門家が大金持ちだということを忘れてはいけない」
ゴリーレッド「飽きずに金持ち目線のコメントを庶民派ぶって語っている。タレント弁護士も同じだ」
火剣「弁護士って暇な職業なんだな。信用できねえ」
コング「悪夢のイヴィル。まさかの遭遇」
ゴリーレッド「厄介な招かざる客が出てきた」
火剣「母親?」
コング「逆らえばボロボロにされる悪夢のイヴィル。趣味は美少女をいびること」
ゴリーレッド「そのいびるじゃないと信じたい」
火剣「血を吐きながら踊るって危な過ぎるな」
コング「♪このごろ流行りの女の子、お尻の大きい女の子」
ゴリーレッド「目的は何だ?」
コング「もちろん茶倉のヒロピン」
ゴリーレッド「デコピン!」
コング「痛い!」


火剣獣三郎
2015/12/09 17:32
>火剣さん
過酷な生い立ちの茶倉ですが、それまでの人生が平凡だったと思えるほどの出来事。ここから本格的に、貧困の魔手が彼女を襲います。
れおんはドクター白茶熊に救われましたが、果たして茶倉は?

山田「イヴィル!?」
八武「悪夢だ。どうせなら肉体を若々しくすべき。」
佐久間「この頃のイヴィルには無理だった。」
維澄「この頃?」
八武「今は出来るのだね。」
佐久間「出来るけど、間に合わなかった。」
神邪「まさか・・」
佐久間「まあそれは後ほど。」
維澄「このとき既に、鈍郎と出会ってはいたんだね。」
佐久間「互いに、これを出会いとは思っていない。鈍郎にとっては、自分のところへ回されてきた日。」
八武「回されてきた日。」
山田「なぜ繰り返す?」
神邪「貧困問題を語るとき、貧乏な人を憐れむ論調が嫌いなんです。誇り高い人なら、貧乏を憐れまれたくないですし、僕を虐げたような連中なんかは、憐れまれるに値しない。」
維澄「白茶熊が並大抵の貧困論と一線を画すのは、そうした心の機微に敏感であること。復讐心は時として最良の判断力になる。」
神邪「復讐は何も生まないとか言ってる人々は、考えが足りないだけなんですね。」
八武「ちなみに茶倉のヒロピンは♪」
山田「お前も考えが足りないらしいな。」
八武「待ちたまえ。これには深い思慮が・・」
アッキー
2015/12/09 22:56

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