佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 27

<<   作成日時 : 2015/12/14 00:00   >>

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「父親のいない子供って、どう思いますか?」
あるとき、茶倉は質問した。
質問してから、冷汗が出た。
ふと、何となく、何の覚悟も無く、口にしてしまったのだ。
「あ、ええっ・・・?」
鈍郎は困惑していた。
しかし、困惑しながらも懸命に対応しようとしていた。言葉を選んでいるのが見て取れた。
(良かった。)
何の葛藤も無く「片親でも恥じることはない」とかいう類の綺麗事を言うような人でなくて、良かった。
恥ずかしげもなく「父親がいなくても子供は立派に育つ」などと言うような人でなくて、良かった。
そういう人々は、善良であるかもしれないが、誠実かどうかは疑わしい。少なくとも茶倉は、そう思っていた。
どっしりと構えた余裕ぶった態度よりも、自分の為に懸命になってくれる姿勢に心打たれる。
たとえ口調は重々しくとも、軽々しく人の生き方に口を挟む奴はいる。偉そうな奴らは大体そうだ。
人が人に向き合うということは、生易しいものでは決してない。いつだって不安だし、恐い。
不安も恐怖も感じない人とは、話もしたくない。劣悪な馬鹿は論外だが、偉そうな奴も信頼できない。
茶倉が信頼できるのは、自分と対等な者だけだ。
(対等だろうか)(この人とは)
もちろん、大人と子供だ。総合的な意味では、決して対等ではない。茶倉の言う対等とは、部分的なものだ。
自分の核となる部分で対等であれば、他は対等でなくていい。
(この人こそ)(私の)
ゾクッとした。
今まで生じたことのない感情が湧いてきた。体から、汚れや老廃物がボロボロと落ちていく心地だった。
彼の骨ばった手が綺麗だと思った。
(触れてみたい)
心臓が熱い。
血が巡る。よく巡る。
(落ち着けよ私)
その日は眠れなかった。



つづく

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火剣「いよいよこの質問になったわけか」
コング「片親でも恥じることはない。言ってしまいそうなセリフだ。それで劣悪なバカは厳し過ぎないか?」
ゴリーレッド「言ってない」
火剣「まあ、要するに、通りいっぺんの、どっかで聞いたような、ありきたりな話が嫌いなんだろう」
ゴリーレッド「この人は自分のために真剣に考えてくれているという思いが伝われば、論外とは思われないと思う」
コング「軽々しく言うのがいけないのか。勉強になりますセンパイ」
ゴリーレッド「軽い」
火剣「大人と子供は対等ではないが、子供の中の大人と会話するんだ」
コング「完練のように」
ゴリーレッド「ちょっと違う」
火剣「不安も恐怖も感じない? コングは茶倉とは合わないな」
コング「待てい。ミスターヨーダが言ってたぞ。恐怖心は暗黒界と繋がっておる」
ゴリーレッド「人の痛みや気持ちがわかることが重要だ」
火剣「人は他人の人生には平気で口を出すもんだ。せんべいかじりながら、その者の一生を左右する重大事を、テレビ見ながら言うもんなんだ」
コング「『医者が何と言おうと、好きなもん食ってれば治っちゃうってことあるよ』とか」
火剣「茶倉や鈍郎なら一発レッドカードか」
コング「名前がすでにレッドカードなのはどうする?」
ゴリーレッド「・・・茶倉の恋の始まりか。心臓が熱いという表現は相当だ」
コング「頭痛が痛いレベルか」
ゴリーレッド「ロマンがない」

火剣獣三郎
2015/12/14 17:28
>火剣さん
やや判定の厳しい茶倉ですが、逆に鈍郎の主観ではしくじったと思っていた部分が、茶倉にとっては好印象でした。
これは恋の始まりか、はたまた情欲なのか。こんな経験は初めてだけに、混乱する茶倉です。

佐久間「そもそも片親を恥じてないからな。『恥じることはない』という励ましは的外れなんだ。」
山田「ああ、そうか。気をつけてなければ、先入観に囚われてしまいそうだな。」
維澄「片親イコール可哀想、ではないからね。『片親で苦労した』というセリフが定型文みたいに用いられているせいか、そういうイメージが付き纏ってるけど。」
佐久間「『片親で苦労した』ってのも、嫌いなセリフの1つだなァ。まるで両親揃っていれば苦労してないみたいな言い草で。」
山田「佐久間も判定が厳しい。」
神邪「苦労したと言いながら、人の痛みに無神経な人も多いですからね。」
佐久間「それもあるな。」
神邪「僕も片親みたいなものですが、苦労した部分は別のところにあります。ピントのズレたことを言われると、信頼ポイントが下がりますからね。」
八武「ありきたりなセリフが嫌いというのも確かだが、それに加えて急所を突いてるかどうかが大事なわけだ。」
山田「おい。」
八武「待ちたまえ、まだレッドカードを出すには早い。心の急所だ、心の。鈍郎は焦点を突いた。」
山田「真面目な話だったか。」
八武「茶倉を昇天させた。」
山田「フェイントだったか! ラリアット!」
八武「ごはっ・・」
佐久間「これでも医者としての腕では確かなんだが。」
維澄「うん。」
アッキー
2015/12/14 22:08

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