佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 33

<<   作成日時 : 2015/12/20 00:00   >>

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「3年、になるのかな。」
鈍郎の、かつてを懐かしむような言葉に、茶倉は飛び跳ねて喜んだ。
しかしそれは心の中だけのことで、実際には「はい」と素っ気なく返事しただけだった。
どうして自分は、こういうときに言うべき言葉を口に出来ないのだろう。
緊張のせいだけではない。どれほど緊張しても、頭はクレバーだ。
そうではなく、もっと根本的なところ。幼い頃の自分が、無駄と切り捨ててきたもの。
人付き合い。友達と遊ぶこと。
どうすれば良かったんだ?
「それでは、また。」
いたたまれなくなって、その場を去った。
ああ、まったく。
まったく。
彼に何と思われただろう。
変な女と思われたか。それならマシだ。去り際にニヤけたのを、気持ち悪いと思われなかったか。
考えていくと悪い想像が止まらない。
(ああ)(どうしよう)(どうしよう)(死にたい)(死にたい)(死ねない)(ふざけるな)(なぜ私が死ななくてはならない)(会いたい)(会いたい)(ああそうだ会えばいい)(そうだ)(そうしよう)
独りで考えていると変になりそうだ。
休みの日に、吉岡二曹あらため吉岡一曹と会って、洗いざらいぶちまけた。
「いいじゃない! 応援するわ!」
キラキラと目を輝かせて、吉岡一曹は茶倉の手を取った。
「自衛隊員だって女の子だもの。24時間365日、自衛官でいなくていいわ。お母さんが24時間お母さんでいなくていいように、お父さんが24時間お父さんでいなくていいように。・・・もちろん、いつでも自覚と誇りを忘れないのは立派だけど、それだけじゃあ疲れてしまう。体じゃなく、心がね。」
相手が左翼の活動家であることなどは、問題にもならなかった。
大切な妹分の恋を応援する、ひとりの乙女がそこにいた。

・・・ただし、問題にならないというのは、茶倉と吉岡の間だけの話だった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「好きな人に覚えてもらっていた喜びは大きいだろう」
コング「でも素っ気ない態度を取ってしまう。脈なしと思われたな」
ゴリーレッド「そんなことはない」
火剣「吉岡一曹か」
コング「吉岡一曹の水着姿も見てみたいな」
ゴリーレッド「荒らしか」
火剣「自衛官だって女の子。凄く大事な話だ」
ゴリーレッド「そう、革命も命を懸けないと革命家になれないなら、革命家の裾野は広がらない」
火剣「生涯の全て、生活の全てを捧げないと革命家にならないとすれば、革命家になる人間も少なくなってしまう」
ゴリーレッド「自分の生活を送りながら、しかし志は高い。それでも素晴らしい革命家だ」
コング「僕は365日24時間ヒロピン博士だ」
ゴリーレッド「それは心が疲れない内容だからな」
コング「ヒロピンについて研究している時が一番楽しい」
火剣「八武医者も365日レイプマン」
ゴリーレッド「本人が良くても周りが迷惑。365日医師であってほしい」
コング「毎日が満月」
火剣「悪いほうに考えてしまうのも片思いの特徴だな」
コング「実は両思い」
火剣「茶倉の笑顔は素敵なはず。変に思われることはないだろう」
コング「男の場合、ニターとしたらストーカーと誤解される危険性があるが」
ゴリーレッド「誤解なのか?」
コング「誰がオックスベーカーや」
ゴリーレッド「言ってない」
火剣「相談相手が一人でもいればストレスがやわらぐな」
コング「365日か。母親よりも若い主婦の顔が大事だ」
ゴリーレッド「それ以上喋ったら泣かす」
火剣獣三郎
2015/12/20 14:13
>火剣さん
クールなように見えて、内心では大はしゃぎの茶倉でした。鈍郎の心を読めるわけではないので、悪い想像に傾いていましたが、吉岡二曹のストレートな応援で躍進!

八武「躍動感あふれる水着姿を、ここに併せよう。」
山田「そういう話ではない。」
八武「自分を限定しなくていいと、吉岡二曹も言ってるぞ。」
山田「普段は自分を律してこそだと、暗に言ってる。」
佐久間「相変わらず平行線だな。」
神邪「佐久間さんは、ねじれの位置ですか?」
維澄「気持ちが交わるのは、まだ先になるね。」
八武「女子から微笑みかけられたら脈あり。素っ気なくされたら嫌われてる。そう思ってしまうのが男。」
山田「それはあるな。」
佐久間「女子から微笑みかけられたらレイプ。素っ気なくされたらレイプ。それが八武死根也という男。」
八武「うむ。」
山田「ふざけんな。」
神邪「表情というのは難しいですね。」
維澄「しかし名だたる革命家たちは皆、親しみと切れ味を備えた表情をしているもの。そしてもうひとつ、弁舌も上手い。」
佐久間「正しいことを言っても、どもりまくっている人の話は誰も聞かないからな。」
維澄「日常生活を疎かにしないことも革命家の資質だ。マルクスもブロディも家庭を大事にしていた。」
山田「なるほど、激村さんはブロディ先生と呼ばれているが、そういうことですか。」
維澄「日常と乖離した革命家の末路は、言うまでもない。私も実際、それに近い状況になっていた。佐久間という相談相手がいなければ、今頃どうなっていたか。」
神邪「茶倉さんが鈍郎さんに告白する勇気が持てたのも、吉岡さんのおかげなんですね。」
アッキー
2015/12/20 21:53

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