佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 35

<<   作成日時 : 2015/12/22 00:00   >>

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結婚してからが本番だとは、よく言ったものである。
茶倉と鈍郎のスタートは、しょっぱなから仲間たちからの猛反対を食らうことになった。
それだけ人気を集めているという意味ではあるのだが、しかしそれは、勝手に理想を押し付けるだけの独善的なものでしかなかった。悪い意味での注目。薄っぺらい人気。
このとき茶倉と鈍郎は、本当に仲間と呼べる者が誰であるかを知ることになる。
それぞれ、吉岡一曹と三角先輩。ひとりにひとりずつの、本当の味方。
それ以外は仲間ではなかった。
(せっかく幸せな気分に浸っていたというのに、水を差しやがって!)
茶倉はヘドが出そうな気持ちを堪え、辞表を提出した。表面的には素っ気なく、内心では怒りと失望で煮えくりかえりながら、茶倉は自衛官を退職した。
(怒るな)(怒っても無駄)(無駄)
この3年で貯金もそれなりにあり、母親の入院費を考えても、しばらく食べていく分には困らなそうだった。

鈍郎も、反対する仲間に対して絶縁状を叩きつけていた。
「久しぶりに良い気分になってたってのに、害しやがって・・・貴様らには心底うんざりだ。」
普段は丁寧で控えめな物言いをする鈍郎が、荒々しい口調になったので、一同は驚き沈黙した。
しかし鈍郎からすれば、怒って当然だった。「団結を守れ」「運動の利益を優先しろ」とかいう偉そうな物言いにも、「やめといた方がいいよ」「考え直してみたら」とかいう独善的な親切心にも、ヘドが出る!
「貴様らがどれだけ私たちを馬鹿にしているか、よくわかった。今後一切・・」
「そんな、馬鹿にしてなんて」
「黙れゴミ。二度と私に話しかけるなクソブタ。無駄な時間をどうもありがとう。永遠にさようなら。」
その場に唾を吐き捨てて、鈍郎は家に戻った。
語るのも苦々しくて、茶倉には詳細をぼかして簡潔に伝えた。
茶倉の方も、退職して専業主婦になるとだけ言った。
それぞれ、相手は新しい生活の為に今までの仕事や活動を切り捨てたのだと、それくらいに思っていた。
互いに、相手が狂おしいまでの激情を秘めていることには、気付いていなかった。
このときは。まだ。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「1と2は大差ないが、1と0は天地の差だ」
コング「結婚してから本番は反対だ。本番はぜひ結婚する前に済ませておいたほうがいい」
ゴリーレッド「今はそんな話ではない」
火剣「友達が少ないというか、いない人間からしたら、一人でも信頼できる友がいることは、億万長者級の財産を手に入れたようなもんだ」
ゴリーレッド「正しい」
コング「1億円を選ぶ人のほうが多いと思うが」
火剣「そうえいばママ友ストーカーが流行りらしい。人の行動が気になって仕方なくて、『どこ行って来たの、何買って来たの?』」
ゴリーレッド「人間は暇で何もやることがない状態は危険かもしれない。やることがあるというのは素晴らしいことだ。人のことを必要以上に気にするなんてことは絶対に起きない」
火剣「鈍郎と茶倉をとやかく言う連中も暇と嫉妬やヤッカミだと思う」
コング「茶倉のことを狂おしいまでに好きな激情男なら責められない」
ゴリーレッド「それはまた別の問題だが」
火剣「鈍郎と茶倉の激情?」
コング「♪裸のー胸と胸を合わせてー」
火剣「ブーツを脱いで朝食をか」
ゴリーレッド「このときはまだ? 気になる一言だ」
火剣獣三郎
2015/12/22 14:19
>火剣さん
孤立無援か、ひとりだけでも味方がいるか。この違いは途方もなく大きいですね。
もしも吉岡と三角がいなければ、ストレスで駄目になっていたかもしれません。2人の新生活は、危機から始まりました。

佐久間「そうだな、クリスマスは山田と婚前交渉を。」
山田「結婚する予定から無い。」
佐久間「信頼できるのは山田のみ。それが私。」
維澄「ズッ友だよ、闇子たん。」
佐久間「お前のは友情かどうか疑わしいんだが・・・。」
維澄「革命活動に真剣に取り組んでいれば、やることは幾らでもある。暇になることは絶対ない。」
神邪「結婚に反対していた連中は、偽物の活動家だったわけですね。」
佐久間「栞と出会うまで、それが左翼というものだと思っていた。」
維澄「全てではないけど、大半そうなのが悔しいところ。」
佐久間「ちなみに、鈍郎が尊敬していた人々は、既に他のところで活動している。」
山田「そして鈍郎も失い、この組織の先は暗そうだな。」
八武「結婚生活は明るくあってほしい。鈍郎と茶倉のクリスマスは、まだ先のようだが。」
アッキー
2015/12/22 22:59

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