佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 55

<<   作成日時 : 2016/01/13 00:00   >>

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「ごめんなさい、わたしとしたことが動揺してしまったかしら?」
たっぷり5分は吉岡の胸で震えていた七村は、澄ました顔で笑った。
これが以前なら、気取った態度だと思ったかもしれないが、あの狼狽振りを見た後では印象が違う。心が壊れないように、必死で自分を保とうとしているのだ。おそらく狂信的な振る舞いも、それに類するものなのだろう。
「サトリン様と、わたしたち電脳戦士は、人助けの為に動いているわ。困ってる人を助けて、その人も他の人を助けていく、人助けの連鎖。24年前に、あの子が唱えた“願い”―――」
(あの子?)
困ってる人を助けたいというのは、“サトリン”が唱えたものだと思っていたが、唐突に新しいカードが出てきた。
「あの子の切なる願いが生み出した10のプログラム。それが電脳戦士なのよ。第一の戦士“サトリン”、第二の戦士“ガーディアン”、第三の戦士“アインストール”、第四の戦士“アプリケイション”、第五の戦士“トランジスター”、第六の戦士“ジャスミン”、第七の戦士“インビンス”、第八の戦士“ファイバー”、第九の戦士“オールド”、第十の戦士“オネスト”。」
「吉岡一曹も戦士なんですか?」
「いいえ、私は戦士補佐というところね。七村さんのパートナーよ。あなたと同じ位置。」
「やっぱりあの人も、夫も電脳戦士なんですね。それは決まっていたことなんですか?」
「わからない・・・としか言いようがないかしら。プログラム自体は24年前に作られたけれど、それを課せられる者まで決まっていたかどうかまでは、わからないわ。」
七村は申し訳なさそうに身を竦めた。
茶倉の方が一回り年下のはずだが、年齢差が逆のように感じられる。
(ああ)(この人も)(同じ)(私と)
大人になりきれない、大人になり損ねた人間。
このとき茶倉は、七村の過去を知らなかったが、後で知ったときは、同情こそしても驚きはしなかった。
そのくらいの、並々ならぬ過去を背負っているだろうことは、わかっていたのだから。
「少なくとも、邪戦士は決まってなかったはず・・・存在自体あるはずのない、あってはならないプログラム。」
「邪戦士?」
七村の様子が再び狂気じみてきたので、それを打ち切る意味でも茶倉は問いを挟んだ。
「サトリン様の人助けを邪魔する、悪いプログラムたちのことよ。あなたも知っているはずじゃないかしら?」
「・・・・・・まさか。」
ここで察しないようでは、そもそも来る資格など無いだろう。
“イヴィル”とは何者か?
その質問に答えてくれたのだ。
「“イヴィル”こそは最初の邪戦士。全ての邪戦士の産みの親。第二の邪戦士“イヴィルアイシー”、第三の邪戦士“イヴィルバトラー”、第四の邪戦士“イヴィルアタッカー”、第五の邪戦士“イヴィルヴァイラス”、第六の邪戦士“イヴィルマリオネイター”、第七の邪戦士“イヴィルポリス”、第八の邪戦士“イヴィルテンタクル”、第九の邪戦士“イヴィルポイズン”、第十の邪戦士“イヴィルパニック”。これら悪しきプログラムも、24年前に生み出されたと聞いているわ。」




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「人助けの連鎖か」
コング「AがBを助けたらBがAに恩返しをするだけでなくBはC、CはDを助けていく」
ゴリーレッド「まさに理想郷」
火剣「24年前のプログラムか。人まで決まっているとは思えないが」
ゴリーレッド「思えなくもない」
コング「あの子?」
火剣「吉岡人見と茶倉は戦士補佐か」
コング「人見が七美の補佐とは。茶倉の補佐は僕が務めよう」
ゴリーレッド「コングは2月を待たずに月旅行か」
コング「待ちなさい」
火剣「大人になりきれない、大人になり損ねた人間か。深い言葉だ」
コング「僕も少年の心を失わない大人」
ゴリーレッド「なり損ねたとはちょっと違う」
コング「何が違う?」
ゴリーレッド「コングは単なる変態」
コング「オオオオオ・・・白鳥の湖!」
火剣「邪戦士も24年前か」
コング「ヴァイラス、マリオネイター、ポリスも、あ、ポイズン! 読めるう、読めるぞう!」
ゴリーレッド「うるさいムスカ」
コング「ハハハハハ! 茶倉も七美も堕ちてゆく。素晴らしいショーd」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
火剣「サトリン戦士とイヴィル邪戦士。どうなるんだ?」
ゴリーレッド「うーん・・・」
火剣獣三郎
2016/01/13 16:42
>火剣さん
人助けの連鎖というのは、子供心を失った人間からは出てこない発想だと思っています。大人になりきれなくても、人助けが出来る力は身につけた現在。

佐久間「この世界は負の連鎖で満ちている。それに対してサトリンは、正の連鎖で対抗しようとしている。」
山田「それこそ純粋な気持ちだ。人を助けて、人を信じて、人を褒めよう。」
神邪「しかし、負の連鎖も同じように派生していけば、結局は優しい人から順に傷ついていくのでしょうね。」
佐久間「そのあたりに邪戦士の理念がある。負の連鎖から抜け出せない人がいれば、サトリンは抜け出させようとするが、イヴィルは違う。そもそも“抜け出せない”というのは、助けがあったところで抜け出せないということなのだと、イヴィルは言う。」
維澄「真理はイヴィルの言ってる方だろうね。だけど目指すのはサトリンの唱える理念だ。もとい、SATOKOか。」
八武「SATOKO・・・いったい何者なんだ・・・?」
佐久間「しかし何気に鋭いコング。」
八武「なにっ、茶倉と七美が堕ちるのかね!?」
山田「そこじゃないと思いたい。」
佐久間「プログラムは、課せられる人まで決まっていたのか? その答えは、はっきりYESかNOでは答えられない。」
維澄「ある程度までは決まっていたけれど、絶対ではないということかな。」
神邪「そもそも1980年の時点では生まれていない人もいますからね。」
アッキー
2016/01/13 22:16

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