佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 70

<<   作成日時 : 2016/01/29 00:00   >>

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そのうち、バラバラバラ・・・と、大型ヘリの音が響いてきた。
豊かな黒髪で右目を隠した中年の男が、不満そうな顔で立っているのが見える。
その奥から、麗しいテノールが響いてきた。
「ジェイムズ君、客人を迎え入れるのに、そんな顔は良くないな。もっと愛想を振りまいて。」
「・・・。」
中年の男は恨みがましい目をして、しかしすぐに笑顔を作って5人と、クラメーションに抱えられている少女の体を迎え入れた。
しかし無理やりの笑顔は不自然に引きつっていて、どこか滑稽だ。ユイファ以外の4人は、笑いを堪えながらヘリに乗り込んだ。
そこには、金色の巻き毛を輝かせた、見目麗しい中年男が座っていた。
「はじめまして。私は、ドリアン・レッド・グローリア伯爵。」
決して行儀のいい座り方ではないのに、どこか気品を感じる。
西洋美術の彫刻から抜け出してきたような、官能的な男だった。服装も露出が多く、鈍郎は喜んだ。
「九古鈍郎です。」
女に酷い目に遭わされた後だけに、男の色香は精神に優しい。ジェイムズと呼ばれていた男も、なかなかクセのある愛らしさを持っている。
老け専というほどでないにしろ、老けた男が好みである鈍郎としては、目の保養だった。
そして、妻の心境を察する余裕も、だいぶ出てきた。自分以上に、茶倉のショックは大きいのではないか。そう思いながら鈍郎は、自己紹介する妻を見ていた。
「咲村茶倉です。」
続いて3人も挨拶する。
「蔵目翔(くらめ・しょう)です。」
「火頭結花(ひがしら・ゆいか)です。」
さっき名乗っていたのと違うが、どちらが本名なのだろう。
「入流小松です。」
しかしそれは大した問題ではあるまい。
それより鈍郎は、茶倉のことが気がかりだった。
「ねえ、あなた。」
その茶倉が、小声で囁いてきた。
甘い息に耳を弾ませながら、鈍郎は振り向く。

「あの2人、どっちが“受け”だと思う?」

聞いて鈍郎は、やはりショックに対しては女の方が強いのかと思ったが、あるいはショックを意識しない為の、心の防衛かもしれなかった。
(それとも私を気遣ってくれたのかな。)
自分が妻を心配するように、茶倉も夫のことを心配していて当然だ。
「どう考えてもジェイムズさんの方が受けとしか思えないが、しかし“襲い受け”というのもあるしな・・・。」
難しいところだ。
ジェイムズの方は、心理が表情に出る、わかりやすい性格だが、ドリアン・レッド・グローリア伯爵。彼は謎めいた果実の王様だ。
(下手に切り込むと痛い目を見そうなところも、まさにドリアン、まさにレッド。)
自分も“レッド”(共産主義者の俗称)だけに、何となく親しみを覚えた。
「何の話してるんだ?」
クラメーション、もとい蔵目が尋ねてきた。
(しまった。)
ヘテロセクシャルの男は、こういった話題に露骨な嫌悪感を示す者が多い。せっかくの楽しみに、不快な横槍は入れないでほしくないのだが・・・。
「ホモ・セックスの話なら、俺も混ぜてくれよ。」
「「・・・!」」
鈍郎と茶倉の顔が輝いた。
「ああ、俺は結花と違って同性愛ってわけじゃねえ。男も女もイけるぜ。」
「私は美しい狂気が好きなだけよ・・・ふふ。」
「なかなか素晴らしい感覚をお持ちのようですね。」
伯爵も嬉しそうに微笑む。
「そう、美しさという芸術の前には、性別という垣根は恋泥棒の侵入を阻止できないのだよ。」
いちいち仕草がオーバーだが、彼の美麗さに相応しい。
世界的な大怪盗である彼は、こう呼ばれて親しまれている―――“エロイカ”と。




つづく

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2016/02/04 00:12

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「鈍郎は作品だけじゃなかったのか」
コング「茶倉を犯したい気持ちに変わりはないはずだから両刃の剣か」
ゴリーレッド「言葉がおかしい」
火剣「人の趣味に嫌悪感を露骨に見せるのは良くねえ。もちろん無理なら無理で乗らなければいいだけの話だ」
コング「僕もNTRを理解できた。自分はNTRではないが」
ゴリーレッド「リョナもよく中傷されている」
コング「腹パンも牛裂きもリョナだから幅広いのだ」
火剣「SMもヒロピンファンも処刑マニアもリョナマニアに入るからBLもきっと幅広いんだろう」
ゴリーレッド「一言では語れない」
コング「キリンもレッドか?」
ゴリーレッド「世界市民で人間主義」
コング「僕の場合は美女及び美少女オンリー、美脚美乳美ボディ、キュートなスマイルが必須条件」
ゴリーレッド「サイコパズ診断を受けて来なさい」
コング「よし、挑戦してみよう」
火剣「蔵目翔は聞いたことあるな。思い出した」
コング「心の防御とは佐倉巡査のことか?」
ゴリーレッド「うるさい」
火剣「美しい狂気。タイトルのような」
コング「決して行儀が良くないのに色気のある女子もいるな。こればかりはどうしようもない染み付いた気品や色香だ」
火剣「歩み寄る茶倉と鈍郎」
コング「距離がゼロになった時はミッドナイトラン!」
ゴリーレッド「・・・」
火剣獣三郎
2016/01/29 17:31
>火剣さん
第一部で三角先輩に萌えていたりと、やや両刀っぽい鈍郎です。何かと両刀キャラが多いアッキー小説。
どちらかというと私は、「男同士が好き」というよりは、「男女に限らない」という感覚かもしれません。

維澄「鈴木君と佐藤君も、BLかどうか微妙だけど、面白ければそれで良し。」
佐久間「みんな大好きデビルマンも、割とBLだ。」
八武「ふむ、言われてみれば・・?」
山田「サタンは両性具有だけどな。」
神邪「僕も両性具有みたいなものですが、性愛は7:3で女の方が好きですね。」
佐久間「私は極度に男好き。」
維澄「9:1?」
佐久間「10:0だ。」
八武「私は美女・美少女主義。」
山田「そして人でなし、と。」
八武「おや、なぜ知ってる?」
佐久間「みんな知ってる。」
神邪「佐久間さんには常に戦場の気品が漂っていますね。」
佐久間「もっと褒めろ。」
山田「調子に乗るな。」
八武「ともかく夫婦に会話があるのは良いことだ。茶倉と鈍郎は、これからの夫婦だ。」
アッキー
2016/01/29 22:16

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