佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 4

<<   作成日時 : 2016/03/16 00:00   >>

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“ミレニアム・A”の創設より百年、創設者アルカは組織を去った。先に言っておくが、たとえ“ミレニアム・A”が純朴な組織であったとしても、アルカの行動に変わりは無い。あの女は、そういう奴だ。優れた超能力者を生み出そうというのは、あくまで“ミレニアム・A”の目的であって、アルカの目的ではない。奴自身が途方も無く強力なエスパーだから、わざわざ作り出す必要など無いというわけさ。相反するわけでもないんだがね。
アルカは組織の運営に対して関与せず、ふらりと世界を巡って人助けをする日々を過ごしていた。“ミレニアム・A”を去ったのも、その延長でしかない。見限ったわけではないのさ。やがてアルカはヨーロッパを中心に“ユートピア”という組織を創設し、名前も姿も変えて、そこの首領として収まった。優雅なものだよ。
ここからの5百年ほどは、あまり重要ではないので省略しよう。“ユートピア”が分化によって穏やかに消滅した後、首領ユートはイトと名を変えて、世界各地を巡って回った。17世紀にアモン・ガゴルグという超能力者と出会い、そこで色々あって、アモンはイトに絶対の忠誠を尽くすことを決意した。“シャングリラ”の設立は、それから2百年近く経ってからのことだ。19世紀の初頭、1810年あたりから、“シャングリラ”の活動は始まる。
イトは名をシャングレイグと変えて、“シャングリラ”の首領となり、アモンを副首領に据えた。しかし実際に組織を運営していたのは、“星の統括者”シンファ・アータスティーという超能力者だ。あのゲシュペンストを、不完全とはいえ支配下に置いていたほどの力量を持っていた。また、彼女の配下に“五行星”と呼ばれる5体のエスパーが存在していたが、その5名ともが現アルカディアのNo.9(シュシュ・オーディナーク)に匹敵する出力を持つ。
シンファは様々な計画を考案し、実行した。48種類の超能力を全て高出力で備え、それらを同時かつ精密に扱えたシンファは、わずか数十年で“ミレニアム・A”数百年の成果を塗り替えてしまった。“ミレニアム・A”が8百年かけて完成させた“鉄鬼計画”よりも、シンファ考案の“光兎計画”の方が、高出力のエスパーが出来た・・・とかな。
もちろん超能力者の価値は、出力や強さだけでは測れない。劣った奴の考えることは強弱までだが、優れた奴は、その先を考える。シンファの考えることは超能力者の未来であり、“シャングリラ”の目的は極めて“アルカディア”に近い。正しい意味での支配者が目指すものは、世界平和の他に無い。差別や迫害が無く、殺人や戦争は仮想遊戯に限定され、誰もが豊かな生活を送ることが出来る。“最低限”などではなく、豊かな生活をな。
・・・とまあ、そこまではシンファとシャングレイグは一致していたのだが、それに至る過程が違った。支配者の手によって世界を制御するべきだと主張するシンファと、あくまで人々自身の手で平和を勝ち取るべきだという考えのシャングレイグとでは、対立は不可避だった。前者は天国の具現化だが、人類を家畜にするという意味合いも含んでいる。後者は人類の進歩だが、そこに至るまでの犠牲は夥しいものがある。どちらが正しいかは、それこそスタンスの問題だが、ひとつ確かなのは19世紀末に“シャングリラ”は終焉を迎えたということだ。
“アルカディア”が、シンファとシャングレイグ、どちらの思想を受け継いでいるかは言うまでもあるまい。シンファの主張に従っていれば、20世紀を待つことなく世界は平和になっていた。シンファには出来なくても、シャングレイグには出来た。出来たからこそ、やらなかった。世界平和というものは、世界の全てを自分の思い通りにするのとは違うってェ、奴らしい綺麗事だ。この世の苦痛を浴び続けてきた者共の、怨嗟の声でも聞かせてやりたいぜ。
綺麗事ついでに、シャングレイグはシンファの研究は丁寧に保管した。それを引き継いだのが“アルカディア”であり、No.6を生み出した“光兎計画”や、No.13(X・クラメーション)を生み出した“X計画”、カタストロの使う“闘衣”など、全てシンファの考案したものだ。ユイファの母方の祖母レンファは、“闘衣”に至る過程として出力を大幅に高められていたが、防御しか出来ないようになっていた。彼女はシンファの血を引く1人だ。
そしてシンファが進めていた計画の中に―――

ジャスミン:ちょ、ちょっと待って・・・!
ファイバー:どうしたの凜ちゃん?
ジャスミン:な、何か、おかしくない?
トランジスター:うん、アルカって人も百年くらい生きてるけど、ユートって2百年くらい・・・?
千里:強力な超能力者ほど寿命が長い。古代超人類と同じ理屈だ。
シュン:種として脆弱でも、個体は強く寿命も長いってやつですね。
インビンス:なるほど・・
千里:シャングリラ五行星の生き残りは200歳を超えてるし、アルカディアのNo.2は400歳を超えている。
トランジスター:4百!?
インビンス:中トトロ!?
茶倉:ぶっ・・!・・・・・・
人見:あなたの吹き出すところなんて、初めて見たわ。
千里:的確な喩えだ。私も常々、首領は大トトロだと思っていた。
ジュエル:もっと可愛いものに喩えてよ〜!
千里:邪魔だ、出て行け。
ジュエル:やだやだ、千里ちゃんの側にいるもん!
レックス:アルカディアの上層部はガキばっかだな・・・。
千里:首領からして子供だからな。死ねばいいのに。
ジュエル:泣くよ!?
千里:こいつは首領という名の役立たずだから気にしなくていい・・・どうした諸君、何を驚いている?
ジュエル:千里ちゃんが美しすぎて、みんなビックリの3乗?
千里:黙れ、首領という名の役立たず。
ジュエル:役立たずじゃないもん!
千里:は? ミレニアム・A、ユートピア、シャングリラ、アルカディア・・・幾つも組織を作っては部下に丸投げ。
レックス:ああ、説得力ゼロだな。
ジュエル:そ、それは個性と自主性を尊重してモニュモニュ・・・
千里:え? 聞こえない。

いや、この馬鹿首領のことは別に説明しなくていいと思うんだが・・・説明する意義が見当たらないし・・・説明したくないし・・・誰がサディストだって? おいレックス、何を同意している? 諦めたような顔で頷くな、おい。
4万年も生きた“マザー”の話の後で、首領が1332歳だって話をしても、特に驚くようなことでもないだろう? どちらも同じ世界の生物だ、不思議はあるまい・・・まあ、いちいち名前を変えまくるのは不思議かもしれないが。
パレグル、アルカ、ユート、イト、シャングレイグ、そしてジュエル・・・覚えるのが大変だ。

ジュエル:6つくらい千里ちゃんなら余裕だよね!?
千里:興味ないことを覚えるのは大変で・・・・ええっと、あんた誰?
ジュエル:ひどいっ! やっぱり千里ちゃんはサドなんだ! わーん!
千里:うるさいなあ、この人。働かない最強に生きてる価値はあるのでしょうか?
ジュエル:あるもん! 生きてるって素敵!

巨大なハエに構ってる暇は無いので、話を続けよう。
“電脳計画”の原型と言えるのが、シンファ考案の“神酒計画”(ソーマ計画)。全人類を超能力者にするという、シャングリラの最終計画だ。




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「再び壮大なスケールの話だ。900年を駆け足で行く千里」
コング「千里が千里をひとっ飛び」
ゴリーレッド「滑った」
コング「500年が1秒で飛んだ」
火剣「あまり重要ではないので省略と言った」
コング「甘い。この500年には語れないことがあったのだ。逆らう美女エスパーを牛s」
ゴリーレッド「ソバット!」
コング「ゴオオオ!」
火剣「ゲシュペンストを支配下ってどんな力量だ」
コング「48手を研究していたのか。大事でーす」
ゴリーレッド「超能力者の未来?」
火剣「なるほど最低限なんて言葉は上から目線だ。豊かな生活だ」
ゴリーレッド「指導者が目指すものは世界平和以外に無い。これが理想。差別も迫害も殺人も戦争も許さない」
コング「ムーミンか。♪なーんにもない、なーんにもない、全くなんにもない」
火剣「その方法で意見が分かれたか。指導者の統治なら20世紀は平和の世紀になっていたか」
ゴリーレッド「人々の手でと言うと民主的に聞こえるが21世紀の今も戦争の世紀・暴力の世紀は終わらない」
火剣「大きく見れば詐欺師も強姦魔も庶民だからな」
コング「千里はSだったか。瑠璃子はMだと思う」
ゴリーレッド「そんな話はいい」
火剣「興味ないことを覚えるのは大変。これはまさに真理だ」
コング「興味あることなら簡単に覚えてしまう」
ゴリーレッド「生きることそれ自体に価値はある。しかし千里と首領は相変わらず」
コング「♪あっるっこー! あっるっこー! 私は変態」
ゴリーレッド「ドロップキック!」
コング「があああ!」
火剣「しかし、全人類を超能力者にする計画とは」

火剣獣三郎
2016/03/16 17:17
>火剣さん
中世から一気に近代へ。ミレニアム・Aからアルカディアに至るまでを、ダイジェストで語ります。
最低限などではなく、最大限の平和と、豊かな生活。それを目指していたシャングリラでしたが、支配か民主かで割れてしまいました。一般論としてどちらが正しいとは言えないですが、民主主義の名の下に多数決の苦汁を舐めてきた私としては・・・モニュモニュ。

佐久間「詳しく語ると長いからな。」
山田「9百年だもんな。」
八武「色っぽい話も省略されてしまったのかね?」
佐久間「薔薇っぽい話は省略されている。」
維澄「残念だよ。」
神邪「確かシャングリラ当時のゲシュペンストは、マリーと名乗っていましたね。」
八武「美少女であること。大事です!」
山田「中身がゲシュペンストでもか?」
八武「当然ではないか。憑依された奈留に萌える気持ちは本物だ。」
維澄「最低限の生存すら危うい人は、日本では少ない。だけど、“最低限”というものが、どれほど悲惨なのかを考えれば、現代日本は決して豊かではないと感じるね。」
神邪「それに、少ないということは看過されやすいということです。」
維澄「そう。自殺や過労死が増えてるといっても、1億から見れば少数。心動かされる人は多くとも、貧困撲滅の思想にまで辿り着く者は少ない。」
八武「シンファとシャングレイグの思想を分けたのも、SとMの違いなのかもしれない。」
山田「支配者で奉仕者のSという意味か。」
佐久間「的を外してはいないな。大概、真性はMの方が強いものだ。」
八武「全人類を超能力者。ふむ、それも良いが、全人類を美女・美少女に改造する、面白地球計画を・・」
山田「お前がシャングリラのメンバーでなくて良かった。」
アッキー
2016/03/16 22:49

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