佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 呪われた森 4

<<   作成日時 : 2016/08/08 00:00   >>

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酋長の娘は、やはり注射は初めてなのだろう。
ほぼ痛みのない針を使っているが、チクッとした感触に、少女は目を瞑る。
(その表情いただきました!)
真顔ではあるが、八武の心は楽園だった。
いや、この集落が彼の楽園に違いない。
ほぼ全員が並み以上の容姿とスタイルを備えており、中でも酋長は、とびっきりの美人だ。
(だが、私に気配を気付かせないとは、只者ではない。是非とも犯したい。)
強い美女を見ると犯したくなるのは、八武の性癖だった。
自分より弱い者と戦っても、どこか心が冷えている。どうせ勝つと思うと、楽しみも半減する。
弱者を踏み躙る歪んだ愉悦を知らないわけではないが、知っているからこそ、強者を計略に陥れたときの興奮には敵わないことも、知っているのである。
(というわけで)
誰も見てないところで、八武の顔は醜悪に歪んだ。
閉じられていた唇が、がぱっと開き、口角が裂けたように持ち上がる。
双眸は三日月のように細く歪み、妖しい光を放出していた。
(前払い、いただきます!)

初診を済ませた八武は、これで少し経過を見ると言って、竜太郎を部屋に残らせた。
そして自らは、竜太郎を組み敷いていた、凛々しい女のところへ向かった。
「ちょっと聞きたいことがある。」
「どうした?」
「酋長に直接聞くのは憚られることなのだが、彼女の相手の男は、どういう人物だったのかね?」
「ああ・・・わたしはまだ子供だったから記憶が確かではないが、肌の白い男だったことは覚えている。」
「ふむ、色素・・・かな。」
「しきそ?」
「ここは太陽の光が強い地域だ。光は恵みであると共に、わずかに毒も伴っている。肌の色が薄いと、その毒に対して弱くなる。彼はどうなったかね?」
「確か、流行り病で亡くなったはずだ。」
「ふむふむ。」
「酋長の娘は呪いではなく、彼の血を引いているから、その毒にやられたというのか?」
「かもしれない、という話だ。原因を突き止めることは、治すよりも困難なのでね。」
「そ、そうか・・・。」
「まあ、焦っても仕方ない。周りが焦ると患者は不安になる。これでも飲んで落ち着きたまえ。」
八武は土器に特製茶を注いで、彼女に手渡した。
「いただこう。」
「・・・・・・。」
凛々しい唇が、液体を飲み干していくのを、八武は静かに見つめていた。



つづく

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八武死根也シリーズ小説目録
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2016/08/15 00:06

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ああっと、悪い顔だ!八武先生の理性が本性に逆転敗北…!?真面目に調査している風に見せかけて明らかに怪しげなことを始めている!
…まあ、意外な行動が事件解決の糸口になることもある訳ですし。うん、八武先生なら仕方ない…か?
千花白龍
2016/08/08 01:13
>千花白龍さん
真面目に仕事していると思ったら、すぐこれです。まったくもって仕方ない人ですねw
仕事にも欲望にも真面目なドクター八武、ここから欲望ターンが始まってしまうのでしょうか?

神邪「そうか、僕に足りないものは顔芸だったんだ!」
維澄「やたらと恐いね。」
山田「事件解決の糸口になる・・・のか?」
佐久間「鋭いな。」
山田「なるの!?」
維澄「なる気がしないんだけど、それは・・」
アッキー
2016/08/08 01:33

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