佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS シータあるいは入流小松

<<   作成日時 : 2016/10/01 00:48   >>

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20世紀最後の年の、5月。
アルカディアNo.10、フィー・カタストロに、ひとつの辞令が下った。
「何の冗談ですか?」
この日、カタストロの表情に、新たなバリエーションが追加された。元から無表情な方ではあるが、80年近く生きてきて、こんな顔になったのは初めてのことだった。
スラリとした体躯を、サイコキネシスの椅子にもたれかけて、カタストロは何とも形容しがたい表情―――近いものを挙げれば、鳩が豆鉄砲を食らったような―――で、No.4、ギガマイル・クレッセントを見た。
「そんなに変か?」
「私がこんな顔をする程度には。」
スラリとしていても、決して身長が高い方ではないカタストロだが、目の前の女は更に低い。見た目はニンフェットと呼ばれる年頃の、胸の大きな美少女。狂気に満ちた瞳は、見た目通りの年齢だった頃から変わらない。
「おかしな話でもあるまい。有機物の含有量で言えば、No.7も似たようなものだ。」
澄んだソプラノだが、口調は少女らしさを感じさせない。
それ以前に、雰囲気が決して見た目通りの年齢ではないことを物語っている。
「あれも規格外ではありますが、あくまで生物の脳がベースではあるでしょう。アーティフィシャル・インテリジェンスを認められないほど頭が固いわけではないですが、デジタルの人格に超能力が宿るとは信じられない。」
「アナログは究極に進化したデジタルだ。我々より遥かに単純な構造の植物にも、どうして自我が無いと言い切れる? 論より証拠、まずは会ってみてからでも決断は遅くない。」
「・・・・・・。」
丁度そこへ、ショートヘアの少女が姿を現した。
あらかじめ、この時刻に来るように言われていたのだろう。
「あ、えーと、初めましてカタストロさん!」
「紹介しよう、“θ−サトリン”入流小松(いりる・こまつ)だ。」
「・・・実体なのか?」
カタストロは目を見開いた。サイコキネシスで探った感触では、立体映像などではない肉体があった。
しかも内部まで探ってみれば、少女は機械仕掛けのロボット。見た目から立ち振る舞いまで、違和感なく人間の少女と変わりない―――それだけでも既に驚くべきことだ。AIがバーチャルから抜け出すのは、魚が陸上で暮らすが如し、進化の大革命。アルカディアの技術には舌を巻くばかりである。
しかも、この少女が超能力まで有しているというのだ。
「流石にゼロからロボットエスパーを作り出すことは出来なかった。ソフトはNo.5、ハードはNo.7を元にしている。」
「十分すぎるほど奇想天外な話ですがね・・・。」
カタストロが眉間を押さえるのも珍しい光景だ。それだけ混乱しているのだろう。
すると小松は、拳をグッと握って身を乗り出した。
「あのっ、わたし頑張りますから! カタストロ師匠!」
その言葉で、カタストロは我に返った。相手が妖怪だろうがロボットだろうが、自分の役目は変わらない。
「わかった、引き受けよう。入流小松に―――“闘衣”を教える。」


- - - - - -


「念力出力110万PKPか・・・。書類を見ても信じられなかったが。」
訓練に用意された広い平原で、カタストロは髪をなびかせて感想を述べていた。
「こうして実際に見ると、確かに超能力で、確かにA1級だ。」
近くで小松は、へたばっていた。その様子は人間にしか見えない。
カタストロは小松を、もはや“ロボット”と見てはいない。れっきとした弟子だ。
「強い・・・。」
起き上がった小松は、ハァハァと息をして、両手で砂埃を払った。
彼女の放った雷撃は、サイコキネシスで散らされ続け、小松の電力は限界が訪れたのだった。
「あのっ、確か出力15万PKPって聞いてますけど、どうしてわたしの雷撃を散らせるんでしょうか?」
「確かに私は衰えた。しかし元から、出力に頼った戦い方をしてないのでね。サイコキネシスで空中に帯電させ、人体よりも電気が通りやすい場所を作り出したのさ。」
「あ、そうか。それに師匠は水分少なそうですし・・・あわわ、すいません!」
水分が少ないというのは、それだけ年老いているという意味になる。
もっとも、今更そんなことを気にするカタストロではないが・・・。
「資料には、充電すれば戦い続けられると書いてあるが。」
「はい、そうです。・・・でも、出来れば自家発電で済ませたいんですが、駄目ですか?」
「理由を聞こうか。」
「え・・・あ、その・・・充電って、恥ずかしいですし・・・」
言ってることはロボットらしいが、顔を赤らめて俯く様子は、ウブな少女そのものだった。
やや製作陣の男性たちの趣味が入ってるような気はするが、あざとい印象はあっても不気味ではない。
「では充電しよう。」
「えええ!? 師匠のドS!」
事も無げに言うカタストロに、小松は驚いて叫んだ。・・・が、充電は免れない。

場所を移して、コードだらけの部屋。“電脳計画”のスタッフたちが、充電の準備に取り掛かる。
110万PKPという念力出力は、2600万ボルトの電気によって生み出されている。電気がある限り超能力を使えるのは強みだが、コストパフォーマンスを考えれば、No.7の存在なしには成り立たないだろう。
「あの・・・優しくしてくださいね?」
涙目で訴えながら、小松は頭部を開放した。そこへプラグが繋がれていく。
「んっ・・・・んんっ・・・・・」
プラグを嵌めるたびに、小松の唇から喘ぎが漏れる。
随分と悪趣味な設計をするものだと、カタストロは思った。
(確かに恥ずかしいかもしれない。)
どことなくスタッフたちの表情に、いやらしいものを感じるのは、気のせいではないだろう。男性スタッフだけでなく、女性スタッフも、見世物を見るような目をしている。
「ああん! あぐ・・・来る・・・来ちゃう!」
充電が開始されると、小松は紅潮した顔で苦しげに声をあげた。
「入って・・・くるう・・・嫌っ、嫌っ、あああああん!!」


- - - - - -


「なるほど、だから恥ずかしいと言ったわけか。」
「はい・・・。わたし、充電中は、ああなっちゃうんです。乱れてしまうって言いますか・・・。」
「悪かった。今後は出来るだけ充電は控えよう。マゾが2人に増えても困るしな。」
「2人?」
「“闘衣”を習得するなら、同じ目標の者と切磋琢磨するのがいい。近いうちにクラメーションとユイファを呼ぶ。」


- - - - - -


アルカディアの中でも、単独で一都市を制圧可能なエスパーを“帝”クラスと呼ぶ。
ここで基準になるのは戦闘力よりも制圧力であり、カタストロやキアラは“帝”ではない。
クラメーションやユイファが本部から離れて生活しているのは、何も修行を怠けているわけではなく、制圧力の訓練という意味合いがある。戦闘と違って、制圧とは生活基盤にまで踏み込んだ複合的な行動なのだ。
温室育ちの薔薇は、外界では脆いという。本部だけでの訓練では培えないものが、外にはある。アルカディア20万のうち、半数は本部外で暮らしている。

「人が呼ぶ! 誰が呼ぶ? 俺が呼ぶ! 影月X帝・俺を呼ぶ! 誰が呼んだか俺参上! 影月X帝クラメーション!」
ヘッドスライディングしながら、すっかり大人になった青年が現れた。しかし頭の中身は子供のようだ。
「あは・・・・体が熱いよ・・・・イくっ、イくっ、イっちゃう!」
ユイファの方は、成人しても変わらずローティーンの少女みたいな外見で、スカートの中に手を入れていた。
「な、何なんですか、この人たち・・・?」
唖然とするのは、黄色のショートヘア。
しかしカタストロは動じることなく言う。
「紹介しよう。この男が“影月X帝”クラメーション。この女が“焦熱美帝”ユイファ・テスタロッサだ。」
「紹介されたくありません・・・。」
しかし仮にもカタストロに学ぶ同輩だ。頭を切り替えて挨拶した。
「は、初めまして! “鉄鬼雷帝”入流小松です!」
「てっきらいてい・・・え、この子も“帝”クラス? マジ?」
「見ない顔ね。」
すぐに2人とも話しに乗ってきて、小松は安堵した。話の通じない狂人とかではないらしい。
「あ、えーと、“θ−サトリン”と名乗れば、わかるでしょうか・・・?」
「あー、電脳計画の・・・。これでロボットって、信じられねえな。人間の形をした人間って感じだ。」
「まんまじゃないの。」
「こらユイファ、女の子が“まんまん”とか言うのは俺、感心しないな。セクハラだぞ。」
まるで娘を叱る父親のような口調で、クラメーションは注意した。
「クラメーションのそれこそセクハラ以外の何物でもないわ。」
「子供が口にしていい言葉じゃない。」
「あなたとは同年齢だったはずだけど、記憶違いだった?」
「俺にとっては50歳未満の女は、女の子なんだよ。」
「ふざけた男でしょ?」
「はい。」
小松は頷いた。
「同意すんの!?」
クラメーションは異議を申し立てたが、当然ながら無視された。


- - - - - -


「現在お前たちの中で、最も“闘衣”の完成形に近いのは、クラメーションだ。」
「やりぃ。俺って天才!」
クラメーションはVサイン。しかし他の2人を見下してる態度ではなく、あくまで陽気だ。
「攻撃力ではユイファの成長が目覚しい。分身数も100を超えて、デュースの欠けた穴を埋めて余りある。」
「穴・・・埋めて、余る・・・」
アルカディアのNo.13以降は、入れ替わりが少なくない。
現在、No.13はクラメーション、No.14はユイファ、No.15は小松がゴンサレスを抜いて位置していた。
「シータは“闘衣”の習得を始めたばかりだから、今は未熟だ。しかし必ず習得できる。お前は“人間”だからな。」
「はい!」
小松は、そして同時にロボットとしての能力で、クラメーションとユイファのデータを取っていた。
その成果が出るのは、そう先のことではなかった。


- - - - - -


母さんは全てを。

最初の姉さんは慈愛を。
男装の姉さんは寛容を。
小柄の兄さんは節制を。

邪悪な姉さんは無感動。
邪悪な姉さんは憤怒を。
邪悪な兄さんは暴食を。

わたしは正義を。

自分の中に悪が無い。
悪い奴を愛せない。
悪い奴を許せない。
悪い奴を殺したい。
世界は美しい。
争いは苦しい。
心は大切だ。

わたしは綺麗事で出来ている。
悪事の理由を認めれば、決して悲劇は終わらない。
その理由ごと叩き潰せる、圧倒的正義になってやる。


- - - - - -


「正義かあ。難しいこと考えてんなあ、こまっちゃんは。クラメーション困っちゃう。」
ひとりキャイ〜ンのポーズで、精悍な青年は首をかしげる。
「それでいいですよ。それがいいんです。」
小松は快活な口調で念を押す。
「世の中もっと単純に考えればいいんです。良いものは良い、悪いものは悪い、です。」
「いや〜、でも人によって良し悪しが違うっからさあ。」
「それでも、人殺しの個性は認められないでしょう?」
「まーな。俺も人を殺したことはあるが、それは悪いことだった。おかーさんを楽にしてやったことを除いてな。」
貧困の街に生まれ育ったクラメーションは、病気に苦しむ母親から、殺してくれと頼まれて承諾した。
その後でカタストロに出会い、アルカディアに拾われるのだが、それまでに振るった力で人を殺傷している。暴走状態だったとはいえ、苦い過去だ。
「クラメーション・・・蔵目さんは、貧困の生まれですけど、明るく楽しく生きている。それがいいんです。」
「後ろ向きに考えるってのが、どうも出来ないんだ。そのせいで、人の心をイマイチ理解できなくて困る。」
「それでいいんです。みんな前向きに考えたら、みんな幸せなんですから。」
小松は優しい笑顔をクラメーションに向ける。
製造されて5年にも満たない自分は、彼の対象外なのだろうけど、片想いは許される。
「わたしたちは正義なんです。悪に引きずられたら、困ってる人を助けられないです。」
「まー、引きずられたら駄目だわな。うん。」
「蔵目さんはポジティブだから、悪に引きずられないです。それがいいんです。」
「さては俺に惚れたか?」
「・・・!」
心を見透かされたようで、小松はカッと赤くなる。
「しかし俺の守備範囲は50歳以上なんだ。半世紀後を楽しみにしとくぜ。」
「わたしはロボットですから、50年後も100年後も、この姿のままですよ?」
「それもそうか。」
「それに・・・」
小松は少し大人びた顔をつくってみせる。
「わたしはロボットですから、そんじょそこらの50歳よりも知識は豊富です。」
「ははっ、背伸びしちゃって可愛いな、こまっちゃんは。」
クラメーションは小松の頭をポンポンと叩き、からからと笑った。


- - - - - -


「それは正義じゃありません。」
ある日、小松はユイファと話す機会があった。
正義は流血なしには存在しえないと言うユイファに、小松は反論したのだ。
「正義の名の下に、無辜の血が流されています。それは正義を名乗っているだけです。」
「それでは悪党の血を流すのはいいの?」
瞳の色こそ常態の緑だが、ユイファの言葉は愛らしい少女の外見とは裏腹に、毒に満ちていた。
「悪を滅ぼし、返り血で輝きを増すの?」
「そんな言い方は酷いです。」
「褒めてるのよ?」
ユイファの眼光は闇が深く、読み切れない。
小松が言葉に詰まっていると、ユイファは話を続けた。
「可愛いは正義で、美しいものが正義。私の思想と貴女の思想は、相反するものではないわ。」
いやらしく指を絡めながら、ユイファは笑みを浮かべる。
「可愛い女の子が、敵を倒す。美しい女が、敵を殺す。それは、とっても素敵なことだもの。」
「な、何だか話を限定してませんか?」
「いいえ、ちっとも? 貴女の唱える正義は、貴女が可愛いから正義なのよ。同じことを、厳つい軍人や屈強な警官、体育会系の論理で動く人々が唱えたら、今すぐにでも消し炭にしてやりたいわ。」
「・・・!」
小松は怯えるが、ユイファは優しく笑って手を取る。
「可愛いもの、綺麗なものが、真っ直ぐに狂うこと・・・それこそ美しい狂気・・・ふふ、ふふふふふ・・・」
「わ、わたしが狂ってると言いたいのですか?」
「人は誰でも狂気を持っているわ。大切なのは、それが美しいかどうかだけよ。」
「・・・・・・。」
「いいわ貴女、大事なこと理解ってる。正義という名の狂気は、貴女を決して裏切らない。」
「ユイファさん・・・おか、おかしいです。」
「犯して欲しい・・・?」
「言ってません!」
くにゃりと首を傾けるユイファに、小松は全力でツッコミを入れた。
しかしユイファは、なおも自分の指を咥えて言う。
「私は犯される側がイイな・・・」
「わー、もう、黙ってください!」
「綺麗は汚い、汚いは綺麗・・・汚いものを見てきたから、綺麗なものを愛しく思える・・・誰よりもね?」
小松は、ユイファとは仲間だが、決して相容れないものを感じた。
かつて彼女は大勢を焼き殺してきた、快楽殺人鬼だ。データでは更正したとなっているが、その精神構造を推し量るのは、人より多くの知識を持っていても、不可能なように思えた。


- - - - - -


<サトリンチャット>

θが入室しました
βが入室しました
β:んんっん〜、小松ちゃん、わんばんこ!
θ:こんばんは、β姉さん。
β:の・の・の・の〜、サトリンって呼んでよう。
θ:電脳戦士を集めるのは、苦労してるみたいですね。
β:そうなの〜、九古くんは頑なな科学人間なの〜。
θ:・・・それだけではないですよね?
β:の?
θ:第七の戦士“インビンス”は、本当は九古鋭郎が務めるはずでした。
β:ののん、戦士の資格に本当も嘘も無いよ。予知に100パーセントは無いんだし、嘘だってホントになるし?
θ:それでは、本来は、と言い換えます。第六の戦士“ジャスミン”も、四方髪凜の母、四津国菊菜のはずでした。
β:何が言いたいの?の?
θ:力なき正義に意味は無し、です。
β:の?
θ:“電影作為”(ブラウザクラフト)と、“損傷引受”(ダメージシフト)の差は明らかでしょう。
β:の・の・の・の〜プロブレム。万事OKエンジン全開♪
θ:茶化さないでください。わたしは勝利の為に、最適な戦士を揃えるべきだと思っています。
β:私は負けないよ。
θ:・・・!
β:負けるつもりなんてない。いつもイヴィルちゃんには言い負かされてるけど、私の心は負けてない。


- - - - - -


「心は負けてない、か・・・。」
メンテナンスを受けながら、小松は物憂げな顔をしていた。
「カタストロ師匠は、心が負けたことってありますか?」
「一度だけある。」
カタストロはチャットログを確認しながら返答した。
「しかし師匠は、心の傷に勝ったのですよね?」
「勝ち負けではない。心の敗北は一生の傷だ。」
「一生の傷、ですか。」
「手足がちぎれたら歩けないように、心が負けたら歩けなくなる道がある。可能性と言い換えてもいい。」
半世紀以上も前のことを思い出し、彼女の表情は険しくなる。
あまり表情を変えないカタストロにしては、珍しいことだった。
「呑気に見えるが“β−サトリン”は強い。挫折を経験して、なお心が折れていない。それでいて、心が折れた者への慈しみも持っている。・・・いや、喋りすぎたな。調整を続けよう。」


- - - - - -


「チーム、ですか?」
「そうだ。」
小松のもとへ辞令が届けられたのは、2004年の秋だった。
フィー・カタストロが連れてきたのは、同じ顔で髪の色が違う2人の幼児。
「双子ちゃんですか?」
「小竹と小梅。それぞれ、念力凍結と念力発火の能力者だ。年齢は4歳だが、A級の出力を持っている。」
カタストロが説明する傍らで、双子は怯えの色を見せながら黙っている。
小松は優しい笑顔を向けて、敵意が無いことを伝えようとしていたが、それも次の言葉で驚きに変わる。
「この2人の育成と指導が、お前の任務になる。」
「え・・・えええ!?」
「チーム名は、桜組(さくらぐみ)でいいか?」

アルカディアには、頂点たる神組の下に、No.4率いる月組、No.5率いる幻組、No.6率いる光組、No.7率いる鉄組、No.8率いる獣組、No.9率いる砕組が存在する。No.10のカタストロは砕組の副隊長でもある。
No.Jは月組の副隊長、No.Kは無所属、No.13は月組の第三隊に属している。
月組の下部には、報組、黒組、白組、花組。砕組の下部には、風組、火組、水組、土組が置かれており、No.14は火組の隊長である。No.16はNo.Kと同じく囚人の為、無所属。No.17以降は、No.30までの全てが、何らかの組に属している。すなわち、No.15の小松も何らかの組に所属するべきだというのだ。


                           神組
              __________」_________
             |    |     |    |     |    |
            月組   幻組   光組   鉄組   獣組   砕組
     ______」_____            ______」_____
    |    |     |    |          |    |     |    |
   報組   黒組   白組   花組        風組   火組   水組   土組


「師匠の直属では駄目なんですか?」
「私の直属としての立場は継続する。だが、チームの隊長も務めてもらう。」
すなわち、火組の隊長であるユイファと同じということになる。また、クラメーションも月組でセレス(天道朋萌)の部下となっているが、“闘衣”の習得の関係上から、カタストロの直属にもなっている。
それらと同じという意味は理解できるのだが、ユイファもクラメーションも部下を持っているわけではない。幼い子供2人を、部下ですと差し出されても、小松は困ってしまう。
「この子たちも師匠の直属では駄目かということなんですが・・・。」
「ああ、そういう意味か。」
カタストロは苦笑いして書類を差し出した。
「小竹と小梅は、日本政府が育てていたエスパーだ。」
「そういうことでしたか・・・。」
小松は理解した。これは自分の進路希望が具体化してきたということなのだと。
以前から、平和を守る職業に就きたいと考えていた小松に対して、現存する部隊に彼女を入れるのではなく、彼女を中心とした新しい部隊を作ってしまおうということなのだ。
「か、感謝します。」
「それから、補佐も付ける。」
カタストロに呼ばれて、1人の少年が歩いてきた。
年齢は10代前半というところの、細身だが鍛えている体つき。
「増田蒼斗(ますだ・そうと)です。よろしくお願いします、隊長!」
「よ、よろしく増田くん。」
「蒼斗でいいですよ。」
「あ、じゃあ蒼斗くん。」
「ほら、小竹、小梅、挨拶して。大丈夫、このお姉さんは優しい人だから。」
「よろちく・・・。」
「おねがいちます・・・。」
「うん、よろしくね!」
小松は笑顔いっぱいで、2人を胸に抱いた。

「わが国では事実上、1978年に蛹田蛭巳(さなぎだ・ひるみ)が亡くなってから、超能力部隊が存在していない状態なんですよ。」
蒼斗は椅子に座って話していた。
カタストロは仕事で席を外しており、小松と蒼斗、小竹と小梅が室内に残っている。
「社会の諸関係が複雑化した現代で、かつてのような短絡的な暗殺などは論外です。しかし正義を為すには一定の武力が必要なことは否めませんし、情報も然り。」
「正義、ですか。」
14歳にしては大人びた喋り方をするものだと思ったが、自分も製造されてから4年しか経ってない身だ。それよりも小松は、正義という言葉に注目した。
「そう、正義。」
蒼斗は噛み締めるように繰り返した。
「善悪は相対的なものですが、だからこそ基準が必要になってきます。もしも善悪を、誰しも等しい価値観として持っているならば、正義など必要ないでしょう。何しろ、そこには争いが無いのですから。」
「みんな違うから、正義が無くてはならない・・・!」
小松は興奮気味に“答え”を口にした。
正義とは、“基準”なのだ。
「わたしの正義は、必要なんだ!」
「こ、小松隊長!?」
蒼斗が慌てたのも無理はない。小松は彼の胸に飛び込んで、抱きついていたのだから。
「ずっと恐かった。ぐるぐるしてた。正義を否定されるのが嫌だった。」
「・・・僕もです。正義のヒーローは、100人に感謝されても1人に恨まれる。」
斜に構えた大人は、悪党の論理を否定しにかかる。対岸の火事にコメントするように、気楽なことを言う。
しかし蒼斗は悪党の論理が、ひたすら恐かった。悪が理屈を述べることが、どうしようもなく不安を掻き立てた。

「理屈で悪を倒すことは出来ません。悪を倒すのは、圧倒的な正義です。」

それが小松と蒼斗、どちらの言葉だったのかは、わからない。
しかし小松と蒼斗、どちらも同じ思いを抱えていた。


- - - - - -


- - - - - -


<イヴィルんチャット>

イヴィル:ん・ん・んあっん〜♪ 正義の奥に闇が潜む、イヴィルんるんだよーん♪
アイシー:キャハハハハ! かびるんるんかよ!
イヴィル:はひふへほー!
バトラー:どういうテンションなんですかイヴィル様。
イヴィル:る・ら・ら・ら〜、悪とは!カビや黴菌のようなものと言いたいのん! 決して滅ぼすことは出来ない!
ポリスが入室しました
ポリス:こんばんは。
イヴィル:おっは〜!
バトラー:今は夜です、イヴィル様。
アイシー:キャハハハハ、裏側は昼だし? 私らグローバル!
イヴィル:ぐろお〜〜り〜〜♪
バトラー:ポリスが来るのは珍しいですね。
ポリス:正義と聞きまして。
イヴィル:る・ら・ら・ら、小松んが男の子とイチャついて正義ってるから、話のネタにしてたの・の・の・の〜♪
アイシー:サトリンかっ! キャハハハハ!
バトラー:言葉が乱れていますイヴィル様。
イヴィル:淫らに乱れるって? やらしいなバトラーちゃん?
バトラー:酔っ払いは置いておきましょう。
イヴィル:愉快な酔っ払いだと思った? 残念、シラフで可愛いイヴィルちゃんでした〜! る・ら・ら・ら〜♪
バトラー:(ウゼエ)
イヴィル:え?
バトラー:何でもありませんイヴィル様。いつも尊敬しております。
アイシー:キャハハハハ! ポリスに話さしたげてよお!
ポリス:いえ、特に話すことがあるわけではないのですが。
アイシー:小松の言うことに、何か思うことはあるんでないの?
ポリス:あれほどの逸材が、何故こちら側ではないのかと思うことはありますね。
イヴィル:ん・ん・んあっん〜、そおゆうバランスだからね〜♪
アイシー:薔薇ナス? ホモセックスで尻にナス挿れんの?
バトラー:死んでください>アイシー
イヴィル:正義と悪がバランスよく対立してこそ、世の中は面白いんだよ。
アイシー:キャハハハハ、そりゃそうだ! 圧倒的なワンサイドゲームは、勝ってる方だけが楽しいからな。
ヴァイラスが入室しました
イヴィル:おっは〜
ヴァイラス:バランスという点では、いささか人数に不都合がありますが。
イヴィル:るるる、そうそう、それ。その話しようと思ってたんだ。小松がイチャつき始めたからさ〜。
アイシー:キャハハ、あいつセックス出来んの? しかも相手の男14歳とかwwwガチ淫行www
バトラー:しね>アイシー
イヴィル:確かに向こうは十戦士が集結しちゃって、こっちは5人だからね>ヴァイラス
ヴァイラス:戦力を増強できませんか?
アイシー:小松ちゃんを洗脳調教クルー?
イヴィル:うん、それ無理♪
アイシー:なーんだ寝よ寝よ、おやすみー
アイシーが退室しました
イヴィル:あれ? 落ちちゃった!?
バトラー:あの馬鹿・・・
アイシーが入室しました
アイシー:おはよっ
バトラー:永遠に寝てなさい
イヴィル:る・ら・ら・ら〜、気を取り直して、新たなる邪戦士の登場だ!
ダッシャーが入室しました
ダッシャー:だっしゃああ!! やるぜやるぜ、オレはやるぜ! うおおーす!
フィーバーが入室しました
フィーバー:ふぃーーばーーー!! 燃えるぜフィーバー! 熱血だー!
サイキッカーが入室しました
サイキッカー:はじめまして
ファングが入室しました
ファング:にんげん きらい にんげん ころす
ターキーが入室しました
ターキー:生きる
ヴァイラス:・・・・・・
ポリス:・・・・・・
バトラー:個性的な方々ですね。
アイシー:ん、あれ? プログラム名、アタッカーとかポイズンとかじゃないの?
イヴィル:キャハハハハ!!
アイシー:・・・っ!
イヴィル:おっと、ここは笑うところじゃなかった? すべった?
アイシー:びびらせんなよ・・・
イヴィル:る・ら・ら・ら〜、これが私の優位性なのさ♪
アイシー:・・・・・・え、そういうこと?
ヴァイラス:確かに、それなら小松が向こうにいるくらいで、丁度いい・・・。
バトラー:楽しくなってきたわ!
イヴィル:でしょでしょ? これから、もっともーっと、楽しくなってしまうんだからね! ん・ん・んあっん〜♪





   シータあるいは入流小松   了

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2016/10/01 01:06

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