佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   インターバルまたは昼食休憩 (後編)

<<   作成日時 : 2016/11/16 00:10   >>

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◆ ◆ ◆



「賢治くん、あーん

桃色ショートヘアの少女・・・のように見える、れっきとした成人女性が、卵焼きを夫の口へ運んでいた。
紫の髪の夫は、薔薇のように頬を染めて卵焼きをパクッといただく。いくつになっても照れるものだ。

「うん、美味しい! ユキちゃんの手料理は、いつもながら最高だね!」

サンドイッチにするとトマトやアボカドが入る危険性があるので、オーソドックスな和風料理。
卵焼きの他に、おにぎり、肉じゃが、タコの柔らか煮・・・などが入っている。

お返しに藤原は、箸でタコを妻の口へ運ぶ。

「はい、ユキちゃん。」
「ん・・・おいひい。」

この2人もデュエリスト能力を所持している。
それも、極めて特殊なカテゴリに属するものだ。



◆ ◆ ◆



「さあ、ヨシュア君。タコヤキを食べないか?」

ハイネックのセーターを着た、水色ショートヘアの少女が、あどけない少年の口へ出来たてのタコヤキを放る。

「はふっ、はふっ!」
「きゃはは、熱かった?」

携帯用ガスコンロに、たこ焼き器。
月島水星(つきしま・みずほ)は、生地と具材だけ用意して、昼食の時間にタコヤキを作り始めたのだ。

「ところでタイヨウさんは、アリアンさんと?」
「あ、うん。そう。お姉ちゃんと合流するって。ひとりだと危ないから。」

ヨシュア・ロッドは幼い瞳に警戒心を宿らせた。



◆ ◆ ◆



『ボクの愛しい十代・・・さぁ、カレーライスを口いっぱいに頬張るんだ・・・。』
「まへっへ! まらくひのなかにのこっへるっへ!」

大急ぎで咀嚼する十代。
オッドアイモードで咀嚼力を加速しなければ、ユベルのスプーン捌きに追いつかない。

アカデミアを離れて数年、ついに結城十代はユベルを実体化させることに成功した。
もっともそれは、殆どユベルが強引に“愛の力”で実現したものであったが・・・。

『ほぉら・・・デザートだよ・・・。』

自身の胸をムニュッと押し付けながら、ユベルは夫の口にアイスクリームを突っ込む。

「冷てええええ!!」

急いでマグマ・ネオスの力を具現化し、アイスを溶かす十代。
そして何とか逃れようと、例の話題を出す。

「そうそう、ユベル。藤原は見つかったか?」
『食事中に他の男の話をするとは無粋だね。もう少しボクとのストロベリータイムを楽しむ気はないのかい?』
「遊びに来たわけじゃないんだから・・・。」
『ボクは遊びに来たつもりだよ? みんなの楽しみを守ろうってヒーローが、自分も楽しめなくてどうするのさ。』



◆ ◆ ◆



「ほら、さっさと食べなさいよ!」

黒髪を肩まで伸ばした美少女が、恋人にクッキーを渡していた。
その手には、絆創膏が貼られている。

「あ、ああ、わかった。」

中岸は言われるがままにクッキーを口にする。
味は悪くない。メロンパンならともかく、クッキーは失敗する可能性の低いお菓子なのだから、よほどの不器用でもなければ普通に美味しいものが作れるだろう。

「何か上から目線の評価してない?」

朝山がジト目で中岸を睨む。
面倒なので中岸は話題を変えた。

「午後からのプログラムで、朝比奈さんと対戦できるな。」
「あんたねぇ、露骨に話題変えたでしょ。」

そう言いながらも朝山は、デュエルのことを考え始めていた。
デュエルの話題を振られたら、デュエルのことを考えてしまう。それでこそデュエリストだ。

ちなみに昼食の時間にクッキーを食べてるのは、午前中に買い食いするであろうことを見越して、あまり腹に溜まらないものを用意したということであった。



◆ ◆ ◆



携帯用ガスコンロを用意していたのは、水星だけではなかった。

「出来ましたよ、ソーガさん。ほっかほかの肉まんです。」
「ああ。食べてやるぜ。」
「あっ・・・そこ違う・・・! ひどいです、わしづかみにするなんて・・・!」

セーナが用意したのは肉まんだけではない。
麻婆豆腐、ラーメン、チャーハンなど、中華料理が目白押しだ。
ほうれん草を練り込んだ、透き通る緑色の餃子は、彼女の耳たぶのように柔らかい。・・・ってソーガさんが言ってた!

ちなみに遊びに来たわけでもなければ、いかがわしい行為をしにきたわけでもない。
決闘祭2日目のプログラムに関することである。

「ところでセーナ、例の件はどうなってる?」
「はい、足取りは掴んでます。」

無論のこと、プログラムに参加するわけではない。陽の当たる場所に出ないのが、裏稼業の矜持だ。
2日目のプログラムの優勝賞品としてKCに保管されていた、3枚の“ジョーカー”。それがI2社に移送するときに、何者かに奪われたというのである。

実のところ、この“ジョーカー”自体が本社にも極秘で開発された代物であるとのことで、ソーガは依頼者にも胡散臭い匂いをプンプンと感じていた。
普通に考えれば、セキュリティやタスクフォースの領分である。わざわざ“壊し屋”に依頼することはない。

(多分、こいつぁ―――)

可能性としては何通りか考えられるが、その中で最も単純な理由は言うまでもない。
エキシビションマッチを観て、いよいよソーガは確信を深めた。まずは、あの2人に会って話を聞く。



◆ ◆ ◆



「蛍・・・これ、食べて。」
「あ、美味しいね〜、ネムちゃん。」
「ん。」

ころころと表情が変わる稲守に、無表情ながら嬉しそうな霧原。

ここにいない遠山と柊は、人ごみを掻き分けて向かっていると連絡が入っていた。
しかし波佐間大将とは連絡が取れてない。

(・・・・・・。)

稲守は、奇妙な胸騒ぎを覚えた。
この楽しい祭の中で、何かが人知れず進行しているような気がした。

彼女の予感は50パーセント近くは当たっていた。
そのとき波佐間は、危機にこそ陥っていないものの、抜き差しならぬ状況に足を踏み入れていたのだ。



◆ ◆ ◆



「食べさせて♪」

シャーロック・ホームズの格好をした少女が、館柳に向かって口を開ける。
料理長の作った品々は、どれも見るからに逸品だ。

館柳は、製作事故の常習犯である作者に怒りを覚えつつも、相田に餌付けを開始した。
スパゲッティを食べさせながら、彼は頼まれた調査報告を述べる。

「・・・というわけで、天神と見城はスタッフルームから姿を消して、行方知れずだ。波佐間も東仙メンバーと連絡が取れてない。そして泣笠と淵乃井も消えている。」
「他は、所在確認できてる?」
「ああ。」

その答えに、相田は頷き、いつものセリフを言い放った。

「ふうん、そうだったのか。」

今ので何がわかるというのか。そもそもレベル5能力者の所在を確認させて、何のつもりなのか。
館柳は頭はいいしデュエルの腕も立つのだが、推理の類に関してはお手上げである。

探偵に必要なのは推理力より情報力だ、などと嘯く人もいるが、同じ情報を得ても辿り着く答が天地の差では、その意見も怪しいものだ・・・と、館柳は思う。
相田たのか。彼女の服装はコスプレのようなものだが、探偵としての実力は本物だ。

「となると、海馬社長に直談判しに行く必要があるか・・・。」
「は、何でだよ!?」
「念の為に。」
「何を頼みに?」

すると相田は、それが当然という顔で言った。

「それは勿論、ブルーアイズジェットの貸し出し許可を貰いに、だよ。」



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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
アニメのオープニングみたいに次々とキャラが登場!誰が何をしでかす(?)のか楽しみですね。
って、出たー!ハピフラ名物のラブラブバカップルだー!こっちはユベルと十代!そうか、これが愛…。更には壊し屋ソーガさんまで!色々なところから主要キャラ達が出張してきてるー!
千花白龍
2017/01/10 21:43
>千花白龍さん
そうか、私はアニメのOPを意識していたのか!(となるとプロローグでやるべきだったかも?)
そんなわけで後編は様々なところからカップルが出演(無断)して、ラブラブオーラに溢れています。祭りといえばカップルが集まると相場が決まっているというもの。
決闘祭第2章、開幕です。
アッキー
2017/01/10 23:23

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