佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 20 夢幻

<<   作成日時 : 2016/11/24 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



「ああ、昼休みって、けっこう長いなあ。」

セミロングの茶髪を黄色いリボンでポニーテールに結い、麦庭桜は可愛らしく目を細めた。
エキシビションマッチの観戦で熱狂し、食事で体に熱源を入れたので、けっこうな汗をかいた。
薄手の白いワンピースに着替えて、彼女は個室でデッキ調整をしていたが、それも済んでしまった。

「さくら、そこにいるか?」

ノックの音と共に、優しいテノールが響いてきた。

麦庭は胸が高鳴るのを覚えて、扉を開けた。
そこに立っていたのは、想像した通りの・・・いや、それ以上の人物。

「あ、リュウヤ君・・・ちょっと見ない間に、何か・・・。」

“男子三日会わざれば”の格言を思い出しながら、麦庭は頬を赤く染めた。
彼の名は、海堂瑠夜(かいどう・りゅうや)。
野性味を含みつつも、子供らしさを残した顔立ち。スラリとした体躯だが、それなりに筋肉はある。

「あ、や、それより、どうしたの? デビルズフォースの仕事があるから来れないって。聞いたときは寂しかった。」

上目遣いで彼を見ながら、麦庭は尋ねた。
すると海堂は、悪戯っぽく笑いながら言った。

「オレも思ったよ。せっかくの祭なのに、さくらに会えないなんてな。しかし嬉しいことに、これが仕事なんだ。」

嬉しいのは麦庭も同じだったが、同時に不穏な胸騒ぎもしてくる。
口をついて出たのは、喜びではなく困惑の言葉だった。

「どういうこと? 何か起こってるの?」

「ああ、それが・・」


しかし海堂の説明は、第三者の声に打ち消された。


「仕事ってのは、絶対能力者の走狗として働くことだろ? 相手になってやるぜ。」

帽子を被った癒虫が、デュエルディスクを構えて立っていた。
不敵な笑みを浮かべて、挑発している。

「早速お出ましか。癒虫鰐条、だったか・・・? さくらには指一本触れさせない。」

海堂は険しい表情で、デュエルディスクを展開した。

そして闇の瘴気が床を這う。


「「デュエル!」」


海堂瑠夜:LP8000
癒虫鰐条:LP8000



「先攻は貰うぞ。ドロー。」

海堂はカードを引きながら、癒虫を観察した。
そして麦庭の様子も気にかける。

「リュウヤ君・・・。」

「心配すんな、さくら。オレも強くなってるんだ。《兵隊人形》を召喚し、カードを1枚伏せてターンエンド!」


海堂瑠夜:LP8000、手札4
場:兵隊人形(攻0)
場:伏せ×1

癒虫鰐条:LP8000、手札5
場:
場:



「なるほどな・・・。オレのターン、ドロー。」

癒虫は目を細めながらカードを引いた。

そしてスタンバイフェイズ。
《兵隊人形》は3体になる。


兵隊人形 レベル4 闇属性・アンデット族
攻撃力0 守備力0
このカードが相手プレイヤーのスタンバイフェイズに自分フィールドに存在するとき、
手札またはデッキから、同名カード1体を特殊召喚する。



《兵隊人形》の効果で2体目の《兵隊人形》を特殊召喚。
更に、特殊召喚した《兵隊人形》の効果で3体目を特殊召喚。
同名カードはデッキに3枚までしか投入できないので、ここでストップだ。


「だが、攻撃力0は格好の的だぜ。《神獣王バルバロス》を召喚し、《アドバンスドロー》を発動。これでオレは、フィールドからレベル8のモンスターを墓地に送りつつ、手札交換をしたってわけだ。この意味がわかるか?」

「わかるさ・・・。伊達に《兵隊人形》を使ってるわけじゃない。」


海堂瑠夜:LP8000、手札4
場:兵隊人形(攻0)、兵隊人形(守0)、兵隊人形(守0)
場:伏せ×1

癒虫鰐条:LP8000、手札3
場:バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3500)、バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3500)、バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3500)
場:



デーモンとの駆け引き (速攻魔法)
レベル8以上の自分フィールド上のモンスターが墓地へ送られたターンに発動する事ができる。
自分の手札またはデッキから「バーサーク・デッド・ドラゴン」1体を特殊召喚する。


バーサーク・デッド・ドラゴン レベル8 闇属性・アンデット族
攻撃力3500 守備力0
このカードは「デーモンとの駆け引き」の効果でのみ特殊召喚が可能。
相手フィールド上の全てのモンスターに1回ずつ攻撃が可能。
自分のターンのエンドフェイズ毎にこのカードの攻撃力は500ポイントダウンする。



「やはり、か・・・! だが、3体、だと・・・!」

海堂は震えが来るのを隠せなかった。
いとも容易く出現する、殲滅の暴竜。累計攻撃力は10500ポイント。


「この攻撃が通れば、ジ・エンドだ! ジェノサイド!」


猛る癒虫の指先に向かって、暴竜は火焔を放つ。

だが、海堂は伏せカードを発動した。
罠カードから魔法カードになっている、あれを。

「リバースマジック、《攻撃の無力化》だ! 全ての攻撃は時空の渦に呑み込まれる!」

このカードを伏せていたからこそ、攻撃力0の《兵隊人形》を出せたのだ。
しかし、防げるとわかっていても恐ろしい。闇のゲームのソリッドビジョンは、お節介なほどの現実感がある。

「やるじゃん・・・。カードを1枚伏せて、ターンエンドだ。」

《バーサーク・デッド・ドラゴン》 (攻3500→3000)
《バーサーク・デッド・ドラゴン》 (攻3500→3000)
《バーサーク・デッド・ドラゴン》 (攻3500→3000)


癒虫は素直に感心しているようだった。
おそらく根っからの悪党ではないのだろうと思いながら、海堂は複雑な気分になる。

(オレたちの方が、よっぽど悪党なんだろうな。飼い犬になってるつもりは無いんだが・・・。)



海堂瑠夜:LP8000、手札4
場:兵隊人形(攻0)、兵隊人形(守0)、兵隊人形(守0)
場:

癒虫鰐条:LP8000、手札2
場:バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3000)、バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3000)、バーサーク・デッド・ドラゴン(攻3000)
場:伏せ×1




「オレのターン、ドロー! 3体の《兵隊人形》を生贄に―――」

幾何学模様が宙に浮かび、見たこともないモンスターが出現する。



「無限に平面を埋め尽くせ、《ヒルベルトの極双竜》!!」



それは、線だけで描かれたドラゴンの模様だった。
いわゆる生き物と呼べるかどうかも怪しい、線の塊。



ヒルベルトの極双竜 レベル10 無属性・無族
攻撃力X000 守備力X000
同名モンスター3体を生贄にして特殊召喚する。
このカードを特殊召喚したとき、自分フィールドに
「充填トークン」(レベル1・無属性・無族・攻/守?)を可能な限り特殊召喚する。
(「充填トークン」の攻守は常に、自分フィールドの「ヒルベルトの極双竜」と同じになる。)
このカードの攻撃力と守備力は、自分の手札の枚数×1000ポイントになる。




《ヒルベルトの極双竜》 (攻0・守0→攻4000・守4000)
充填トークン (攻0・守0→攻4000・守4000)
充填トークン (攻0・守0→攻4000・守4000)
充填トークン (攻0・守0→攻4000・守4000)
充填トークン (攻0・守0→攻4000・守4000)




「充填トークンで、《バーサーク・デッド・ドラゴン》を攻撃!」

「・・・っつう、やりやがったな。」

《バーサーク・デッド・ドラゴン》 (破壊)
癒虫鰐条:LP8000→7000




- - - - - -



「4体目の充填トークンでダイレクトアタック!」

「させるかよ!」


癒虫のフィールドに、うっすらと靄のようなものが現れた。
それが充填トークンの行く手を阻む。



充填トークン (破壊)
海堂瑠夜:LP8000→7500



「なっ・・・!?」

海堂は目を剥いて驚いた。
500ダメージを食らったということは、攻撃力4500ということか。

(あるいは―――)

癒虫の言った絶対能力者と、その能力のモデルである“邪神”を思い浮かべて、海堂は次の攻撃を躊躇した。
まさか同類の能力ではないだろうが、例えば「ズシントークン」を生み出す能力などというものがあるとしたら。

「無いようで、ある・・・か。ならば、こっちは・・・あるようで無いものを見せてやろう。」

手札を減らすことは、極双竜と充填トークンの攻撃力を下げることであるが、攻撃力4500にしろ、ズシントークンにしろ、いずれにしても攻撃力4000では太刀打ちできないのだ。



「3体の充填トークンを生贄に、無限に魂を貫け、《シェルピンスキーの虚心竜》!!



シェルピンスキーの虚心竜 レベル10 無属性・無族
攻撃力0 守備力0
同名モンスター3体を生贄にして特殊召喚する。
このカードは他のカードの効果を受けず、フィールドに存在しない扱いとする。
相手フィールドのモンスターの攻撃力と守備力は、このカードと同じになる。




何かがあるように見えるが、目を凝らしても何も見えない。
うっすらとドラゴンのようなものが見えるが、ステータスの貧弱さに忠実であるかのように、存在感が殆ど無い。

「ターンエンドだ!」



海堂瑠夜:LP7500、手札3
場:ヒルベルトの極双竜(攻3000)、シェルピンスキーの虚心竜(攻0)
場:

癒虫鰐条:LP5000、手札2
場:
場:伏せ×1




「オレのターン、ドロー!」

カードを引いて、癒虫は笑う。

「楽しいぜ・・・。互いにカードとカードでぶつかり合うのは、サイッコーに楽しいぜ!」

その笑みに、海堂は困惑を覚える。

「まさか・・・能力じゃ、ないのか?」

「ああ、そうだ。オレのデュエリスト能力は特殊でな。あんたは能力者じゃないだろ?」

「レベルE能力、か・・・。」

海堂は、かえって不安になった。
もしも自分の予測する最悪の答えが正しいのだとすれば―――


「すげえもんを見せてくれた礼だ。オレも見せてやる・・・まずは伏せカード《針虫の巣窟》で、デッキトップからカード5枚を墓地に送る。・・・よし。」

癒虫はニカッと笑い、墓地、デッキ、エクストラデッキから、3枚のカードを示してみせた。





フィアーズカンサーDEAD レベル7 闇属性・ドラゴン族
攻撃力2500 守備力0
このカードは墓地からバトルフェイズに参加できる。
このカードと戦闘を行うモンスターの攻撃力は半分になる。


邪幻竜アサルトカンサー レベル9 闇属性・ドラゴン族
攻撃力3500 守備力0
このカードはデッキからバトルフェイズに参加できる。
このカードは破壊されたときデッキに戻る。


カンサーの神竜EXファンタズマ レベル−11 闇属性・ドラゴン族・ダークシンクロ
攻撃力4500 守備力0 カンサーと名の付くモンスター2体以上−ダークチューナー
このカードはエクストラデッキからバトルフェイズに参加できる。
このカードを特殊召喚したとき、相手のライフを1にする。




これらを見せられて、海堂は自らの敗北を悟った。

相手フィールドのモンスターを、攻守0にするも等しい《シェルピンスキーの虚心竜》だが、その効果が及ぶのは、あくまでフィールドの範囲のみ。
墓地、デッキ、果てはエクストラデッキから攻撃を仕掛けてくるモンスターに、どうやって太刀打ちできるというのだ。


「・・・・・・さくら、すまない。」

泣きそうな顔になりながら、海堂のライフは尽きていった。


海堂瑠夜:LP7500→6000→3500→0



「あ・・・そんな・・・リュウヤ君・・・・・・やだ、やだよ・・・・・・」

ひらひらと舞い落ちるカードに、麦庭は必死に手を伸ばした。
しかし海堂の封印されたそのカードは、癒虫の手に収められる。

「泣いてる場合か? 次は麦庭、てめーがこうなるんだぜ。」

「ひっ・・・!」

青ざめた顔で、麦庭は後ずさる。
しかし無限に後ずさることは出来ない。壁にぶつかって、ハメ殺しの窓に肘が当たる。

「逃げんなよ、レベル5能力者。てめーなんか能力が無ければ、か弱いオンナノコに過ぎねえんだ。」

デュエルディスクが、無慈悲な音を立てて展開された。



- - - - - -



「ああーーーーーーーーーーーーっ!!!」

切ない声で叫びながら、麦庭の肉体と魂は閃光の中に消えた。

ひらひらと舞うカードを手にして、癒虫はポケットに仕舞いこむ。


「・・・さてと。次だ。」







つづく

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