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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (三二) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2017/04/11 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



「それでインデックス、その“C文書”って何なんだ?」

「簡単に言うと、ローマ教皇の言うことを全て正しいと信じさせる霊装なんだよ。」
「ローマ正教を信じている人にしか効果は無いけど、効力は絶対。」
「そしてローマ正教は、二十億の信徒を抱えている。」

「じゃあ、最近のデモや暴動は全部、その“C文書”のせいだってのか?」

ふざけるなと、つんと逆立った髪が天を衝く。

「ローマ正教は好き勝手に暴動を誘発し、学園都市はそいつを利用する為に少しも止めようとしない。」
「結局、苦しんでるのはその板挟みになってる人たちだけじゃねえか!」
「こんな流れを無視していられるか。ここで止めてやる。こんな馬鹿げたことは一刻も早く終わらせてやる!」

「だけど、とうま」
「“C文書”に操られている人たちは、しょせん自業自得なんだから」
「あんまり同情しちゃダメなんだよ?」

「―――っ」

彼が口をつぐんだのは、いつもの無邪気な彼女らしからぬ冷淡な口調に驚いたから・・・ではない。
自分の心の奥底の、世界を斜めに窺うニヒリズムを含んだ本性を、見抜かれたような気がしたからだ。

許せないと怒る一方で、どこか冷淡な気持ちがあったことは事実だ。
それが何故なのかは説明できなかったが、彼女に指摘されたことを否定できない。

「とうまは操られている人たちを、どう思ってるの?」
「“可哀想だから助けてあげたい”のかな?」

優しさを押し殺して、相棒を気遣った彼女の言葉を、上条当麻が痛感したのはフランスに着いてからだった。



◆ ◆ ◆



上条 「インデックス、どこまで逃げる気なんだ!?」

インデックス 「とりあえず、人混みに巻き込まれないところまでなんだよ!」

空港に到着した時点で、ローマ正教の探知に引っかかった。
迎えに来ていた天草十字凄教の協力を得て、
インデックスの“強制詠唱”などを駆使しながら逃走中だ。

上条 (こんなこと思っちゃいけないんだろうけど)

上条 (“愚か”だよな・・・)

迫り来る“暴徒”たちを見ながらの、“偽善使い”の抱いた感想だった。
“記憶を無くしていない上条”は、故郷での迫害を鮮烈に記憶している。

本来“デモンストレーション”とは、信念に基づいた暴力的な抗議である。
その点では自分や、仲間たちと、何ら変わりないとも言える。
ゆえに傷だらけの人を見て“助けてやる”なんて発想は、おこがましい。

しかし二重の意味で、上条は認識を改めていた。
憐れな仔羊だと見下していたことは間違っていたが、
駆り立てられた猪であるという意味で、侮蔑の念を抱いた。
まるで話の通じない、恐怖に駆られて弱者を責め立てる烏合の衆。

それは自己嫌悪にも通じた、自虐的な憎しみなのかもしれない。
“ヨハネのペン”との戦いで、もしも記憶を失っていたらと考えたことがある。
故郷での苦痛を忘れたまま、歪んだ人格を世界に解き放っていたら。
きっと相手の話を無視して、持論に酔いながら暴力を振るっていた。
何故だか、そんな確信が持てる。

上条 (“愚か”なのは)

上条 (“俺”か。)

世の中を斜めに見るような笑みを浮かべて、上条は走る。
自分が正義の執行者などではなく、ただの“偽善者”なのだと自覚して。


インデックス 「目的地は囲まれてるんだよ・・・!」

上条 「騒ぎが収まるまで待つか・・・」

上条 「いや」

上条 「これが意図的なものだとしたら間に合わない。」

インデックス 「・・・・・・」

インデックス 「いっそ地脈の方を狙った方がいいかも。」

上条 「 」

上条 「その手があったか」

インデックス 「わたしの頭の10万3000冊を駆使すれば」

インデックス 「地脈の流れを根本的に変えて」

インデックス 「世界中どこであっても“C文書”を使えなくするくらいは出来るかも。」

上条 「それで行こう。」


程なくして上条とインデックスは、
同じく地脈を狙っていた五和と合流する。

だが、そこにはローマ正教の闇の深奥“神の右席”が一人、
“左方のテッラ”が待ち構えていた。


テッラ 「やっと私の出番が来たようです。」

テッラ 「何せ、私たちは普通の魔術は使えませんからねー。」



◆ ◆ ◆



同時刻、学園都市。

??? 「ハッアアーイ♪」

??? 「私は“前方のヴェント”。」

??? 「二十億の中の最終兵器!」


学園都市に乗り込んできた彼女は、
たった独りで九割の人間を制圧していた。

基本的な戦闘力こそ並みの魔術師より
少しばかり上回る程度であるものの、
彼女の使う“神の右席”としての魔術は
“戦闘”ではなく“制圧”に向いたもの。

その名を“天罰術式”。

自らに敵意を向けた者は、どこにいても
酸欠状態に陥り行動不能になる。

即死でないのは優しさではない。
死んだ人間は廃棄物だが、生きている人間は荷物だ。
そこらに転がして良いものではない。

だからこそ回収に敵の手間を割かせる。
戦術における基本であり、その基本を追求した
いとも容易くえげつない術式だと言える。


アレイスター 「面白い」

アレイスター 「こちらもアレを使う機会が訪れたか。」

アレイスター 「木原数多、検体番号20001号を指定のポイントへ運んでくれ。」

アレイスター 「虚数学区・五行機関―――“ヒューズ・カザキリ”を使って、奴らを潰す。」


木原 《了解》



- - - - - -



木原 「つーわけだからクソガキ、打ち止めを運ぶから手伝えや。」

一方 「ひとつ訊ィておくくが木原くン、打ち止めに危険は無ェんだろォな?」

木原 「おいおいアクセラちゃん、いったい何を言ってやがりますか?」ヤレヤレ


木原 「俺は“木原”だぜ?」


一方 「―――っ」


木原 「限界を超えて被験者を酷使してこそ、真理に到達できる。」

木原 「そんな訳で、打ち止めが潰れたら腹ァ抱えて笑ってやってくれよ。」

一方 「オマエ・・・」

一方 「誰に向かってナニを言ってるかわかってンだろォなァ!?」

木原 「テメェこそ・・・」

木原 「その力は誰がナニして与えてやったと思ってんのよ!」

一方 「・・・っ」

ダブルミーニング。木原数多の言ってるのは、
能力を開発したという意味だけではない。

演算機能を補助する為のチョーカーは
同時に生殺与奪を握られているということを意味する。

これが並みの研究者であれば、一瞬で殺して
チョーカーを使う暇すら与えない。
それが出来るのが、学園都市第三位・一方通行だ。

しかし相手は、能力開発の天才にして、一方通行の育て親。
攻撃のタイミングなど、丸わかりどころの話ではない。
格闘技でよくあるフェイントを用いて、
木原の望むタイミングで一方通行の攻撃を誘発することさえ出来る。

一方 (クソッタレ)

一方 (わかってたさ)

一方 (木原くンは父親でも兄でも無ェ)

一方 (能力者をモルモットとして扱う、ただのクソ外道な科学者だ。)

木原 「ウイルスぶち込まれるガキの悲鳴を聞きたくねえなら」

木原 「テメェはお留守番だ。」

一方 「行かせると思うかァ?」

木原 「・・・・・・」

述べた関係性ほど木原は有利ではない。
既に報告に挙がっているが、一方通行には“黒翼”がある。
あれはチョーカーの演算能力を剥奪したとしても、
暴走状態で起動してしまう。
そうなればベクトルの“引き戻し”でも対処できない。

それをしないのは打ち止めの身を案じているからだが、
キレやすい一方通行のことだ、いつ臨界するかわからない。
どのみち打ち止めが死ぬのならと、自棄になってもおかしくない。

だが、そこへ現れたのは、その打ち止め本人だった。

打ち止め 「ケンカは駄目だよーってミサカはミサカはアナタにしがみついてみる、ぎゅー!」

一方 「ら、打ち止めァ・・・」///

打ち止め 「ミサカなら大丈夫だよってミサカはミサカは心配性なアナタを宥めてみる!」

一方 「わかってンのか」

一方 「そこのイレズミ研究者は人の命を何とも思ってねェ、腐ったドブ野郎なンだよ!」

一方 「間違ってもオマエの命を守ってくれるヒーローなンかじゃねェんだ!」

打ち止め 「わかってるよ」

打ち止め 「だけどミサカはミサカは学園都市を守りたいって」

打ち止め 「アナタのいる世界を守りたいって、ミサカはミサカは決意を秘めた目でアナタを見つめてみる!」

一方 「・・・っ」

打ち止め 「ミサカたちが学園都市を守るから」

打ち止め 「ミサカのことはアナタが守ってね、とミサカはミサカはアナタの庇護欲に訴えてみたり!」ウワメヅカイ

一方 「・・・・・・」

そのとき脳裏に、いつか“オリジナル”に言われた言葉が蘇ってきた。

『アンタはまだ、“私達”のことを全然わかってない。』
『・・・その子を守りたいなら、アンタが強くなるだけじゃ駄目よ。』

一方 「・・・・・・わかった。」

木原 「聞き分けの良い子は、お父さん好きだわ。」

木原 「“猟犬部隊”が待機してる。すぐに行くぞ。」



打ち止め 「わーい、車だ車だってミサカはミサカは子供らしく振舞ってみたり!」シートヘダイブ

一方 「・・・ケッ、地獄行きの片道切符ですかァ?」

打ち止め 「アナタはミサカと一緒に地獄の底まで付いてきてくれる?・・・ってミサカはミサカは尋ねてみたり。」

一方 「ハッ、ジョーダンじゃねェよ。」

一方 「ナニがあってもオマエを地獄の底から引きずり出してやるに決まってンだろ。」

木原 「カーックイイィー!! 惚れ直しちゃうぜアクセラレータ!」

木原 「地獄へ落ちるときは俺も付き合ってやるから、安心しろよ!」

打ち止め 「うわぁ・・・絶対死にたくないってミサカはミサカは決心を固めたり・・・」

一方 「同感だなァ。つーか今すぐ地獄へ落ちてくンねェか?」

木原 「ぎゃはははははっ、今から元気だと後がつらいぜ?」


木原 (それでいい)

木原 (地獄へ落ちるのは俺だけで十分だ。)

そう思いながら木原は、何かを“諦め”たような顔で唇を歪めた。



◆ ◆ ◆



その少し前、“ピンセット”の護送車。

滝壺 「来たよ。」キィン

大能力“能力追跡”は、AIM拡散力場を観測し、記憶する。
ひとたび記憶した相手は、地球上のどこにいようが場所を把握する。

滝壺 「能力者は三人。強度は大能力が二人と超能力が一人。」キィイン

麦野 「垣根か。馬鹿正直に真正面から来やがった。」

舐められてると思うと頭に血が上るが、
傲岸不遜が垣根という男の性質だ。
そのことを麦野は知っている。

だからこそ垣根を逸早くクロと断定し、調査を進めさせた。
いや、それよりも麦野の個人的な感情が大きかった。

麦野 「ブチ殺してやる。」

他人から見れば取るに足らない、くだらない感情。
自分から見ても矮小な、無視すればいいだけの感情。

だから今まで放っておいたが、だから今から殺す。


遮蔽物という概念を持たない粒機波形高速砲が、滝壺の観測した方角めがけて放たれた。



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