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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (四二) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2017/04/21 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



おままごとみたいな恋愛だった。

傍から見てる方が恥ずかしくなるような、メルヘンチックな時間だった。
垣根帝督の人生において、最も幸せで甘い時期だった。

『私と帝督の距離が、少しずつ縮まっていくのを感じるの。』

人間同士の心の距離を読み取る“心理目盛”は、そう言って目を閉じる。
心の距離を縮めた二人は、やがて体の距離も縮めることになる。
垣根も微笑みながら目を閉じて、彼女の唇に自らの唇を重ねた。



- - - - - -



破綻は突然だった。

研究所を襲撃したのは、武装したスキルアウトを含む、はぐれ能力者たちだった。
カリキュラムから脱落し、不満を蓄積し、“素養格付”の存在を知って、溢れた憎悪。
健全に能力開発に勤しんでいる人間を、“何も知らない奴ら”と蔑む“現実主義者”。
研究者を悪と断じ、健全な研究者を偽善者と呼び、「大人は汚い」と叫ぶ暴力の嵐。

かつて木原円周を誘拐した人々と同じく、自分の劣等感に向き合えない人々。
“素養格付”の存在を知って、その情報を自らの怠惰を正当化する為にしか使えない人々。
麦野のような義憤も持たず、浜面のような強かさも持たない、汚らしい弱者の群れ。
それゆえに迷いの無い暴力を以って、研究所を破壊していった。

垣根は、いかに常識の通用しない能力を持っていても、普通の少年だった。
真面目で心優しい、メルヘンの住人だった。
そんな人間が、ケンカの方法なんて知ってるはずもない。

だから垣根は守れなかった。

心優しく、修羅場を経験したことのない、ごく普通の少年は、恋人を守れなかった。
頭の半分を削られて横たわった彼女を見て、垣根は心を引き裂かれ、壊れた。
そのときに発した絶叫は、この世のものとは、とても思えなかった。

垣根帝督は理解した。この世界に境界線なんて無い。
学園都市は狂っている。全てが暗部に浸かっている。
自分たちは堅気の一般人だと考えていたのが甘すぎた。

大笑いだ。とんだ思い違いだ。
“ただの一般人”なんて、この世には一人もいない。
ここがどこだか忘れたのか。メルヘンではなく現実だ。



- - - - - -



全ては垣根を暗部へ落とす為に、木原病理が仕組んだ策略だった。
それを知りながら垣根は、病理を殺さなかった。
殺しても無意味だと知っていたから、殺さなかった。

末端を殺して満足するのは、悪党ですらない。
元凶たる学園都市を引っくり返さなければ、何の意味も無い。

彼の隣には、“未元物質”で修復した彼女がいた。
心の距離が見えるだけでなく、自分と他者の心の距離を操作できるようになった彼女が。
レベル2程度だった彼女はレベル4になり、冷笑を浮かべて彼の傍に寄り添っていた。

暗部に星の数ほどある、ありふれた悲劇のエピローグ。
そして“未元物質”が世界に滴を垂らす、滑稽な人形劇のプロローグ。



◆ ◆ ◆



垣根05 「・・・・・・」

垣根05 「・・・私を恨んでいますか?」

少女から少年に戻った垣根は、
悲しげな白い笑みを浮かべて尋ねた。

定規 「どうして?」

垣根05 「あなたを守れなかった私を」

垣根05 「あなたを“心理定規”にした私を。」

定規 「・・・」フフッ

定規 「むしろ凄く感謝してるわ。」

垣根05 「・・・どうして、ですか?」

定規 「覚えてる? 学園都市に来る前の、小さな子供の頃。」

定規 「目覚めた自分が、昨日までの自分と別人なんじゃないかって」

定規 「オリジナルは既に死んでいて、この私は記憶を引き継いだだけのコピーかもしれないって」

定規 「そんな他愛無い空想が恐くて、わんわん泣いたわ。」

定規 「私は私のフリをしているだけの別人かもしれない。」

定規 「この私は明日には死んでるかもしれないと怯えた。」

定規 「それどころか、一瞬前の自分と連続してるかどうかも証明できない。」

定規 「帝督の専門分野だけど、この世界の時間は」

定規 「とても細かく見ると不連続で、0と1のデジタルに過ぎない。」

定規 「時間さえ不連続で、最小単位が存在する。」

定規 「きっと私たちは何度も何度も、数え切れない回数だけ死んで、生まれ変わってるの。」

定規 「だから自分の脳が半分“未元物質”だからって、今更そんなの恐くないわ。」

定規 「帝督がどう思おうが、私は私よ。」

垣根05 「心理定規さん・・・。」

定規 (・・・それでも名前で呼んでくれないのね。)

定規 (そんなところも、やっぱり帝督よね。)

少し悲しげに、しかし嬉しそうに、彼女は微笑みを浮かべた。
彼が本名で呼んでくれない理由は、別人だと思ってるからではなく、
ただ気恥ずかしいからということを、理解できているから・・・。

定規 「さあ、新生“スクール”の初仕事よ。」

垣根05 「はい。」



- - - - - -



御坂 「早かったじゃない。」

垣根05 「そうですか?」

定規 「むしろ遅れたと思ってたけど?」クビカシゲ

麦野 「いや、てっきりセックスしてんのかと思ってたんだが。」

定規 「ななな」///

垣根05 「してませんよ。」

麦野 「本当かにゃーん? それにしては火照ってるけど。」

麦野 「さては早漏でこんなに早かったのかしら?」

削板 「こ、こら! 女の子がそんなこと言うもんじゃないぞ!」///

青ピ 「いやむしろ最高やで。」

青ピ 「綺麗な女の子が下品な言葉を発する」

青ピ 「そのギャップが萌えるんやないか。」

削板 「破廉恥だ!!」///

食蜂 「あらぁ、削板さんてば、あまり女の子を知らないのねぇ。」

削板 「性経験の有無で人間の価値を決める奴は根性なしだぞ!」

食蜂 「そういう意味力じゃなくてぇ、女の子の知り合いが少ないって意味だったんだけどぉ?」

食蜂 「私の言葉でエッチを連想するなんて、意外とムッツリスケベ力が高いんだゾ♪」

削板 「・・・ッ、心頭滅却、色即是空・・・!」

一方 「くだらねェ話してねェで、さっさと昏睡した奴らを叩き起こすぞ。」

風斬 「は、はい。」

ヴェント 「 」zzz・・・

運んできたヴェントは、化粧や装飾を取り払うと、
中世フランスの町娘のような、可愛らしい女だった。

木原 「しっかし“天罰術式”は解除できねーなァ?」

木原 「つーわけで、アレだ、アレ。“心理定規”よろしく。」

定規 「・・・?」クビカシゲ

理解できてないわけではなく、訝しんだゆえの困惑。
ここには学園都市最高の精神系能力者・食蜂操祈がいる。
心的距離操作では絶対の力を持ってるとはいえ、
とても自分の出番があるとは思えなかった。

だが、食蜂は先程の戦いで司令塔として活躍し、すっかり疲弊していた。
体力は快復したものの、今現在まともに能力を使えない状態にある。
それを説明されて、定規は頷き、ヴェントを起こして能力を行使した。

定規 「・・・・・・駄目ね。」

ヴェント 「・・・・・・」ギロリ

一方 「駄目なのかァ?」

定規 「あなたと同じタイプよ。心的距離が縮まっても素直になれない人。」

打ち止め 「ものすごーく納得ってミサカはミサカは得心いってみたり。」

定規 「可愛さ余って憎さ百倍って言葉もあるし、私の能力はそれほど万能じゃないのよ。」

定規 「この子は複雑な心を持ってるみたいで、距離を操作しようとすると変な曲がり方するし・・・。」

風斬 「あ、あの、それは多分、能力と魔術の拒絶作用も関係してるのではないでしょうか?」

一方 「あァ・・・」ナットク

一方 「上条が白いガキを助けたときに」

一方 「俺のベクトル操作が変な方向に曲げられたことがあったが、それかァ・・・」

垣根05 「ということは食蜂さんでも無理ですか?」

食蜂 「無理とは言わないけどぉ」

食蜂 「迂闊に操作して魔術が暴走したら大変よねぇ。」

青ピ 「そうでなくても廃人になる危険性がある以上、ボクは反対や。」

青ピ 「それに、この術式に正規の解除方法があるかどうかもわからんで。」

麦野 「そうね。この女が廃人になっても私は一向に構わないけど」

麦野 「解除の条件が例えば、指定した範囲の全員を昏倒させることだとしたら」

麦野 「実質的に不可能なのと同じことだにゃーん。」

幻生 「ふむ、やはり上条君が戻ってくるのを待つしかないようだね。」

幻生 「僕としても、いたいけな女の子を痛めつける性癖は持ち合わせていないからねえ?」ドロリ

ヴェント 「 」ゾッ



◆ ◆ ◆



その頃、アビニョンにて。

上条 「がっ―――――・・・・・・」

潜んでいた恐るべき伏兵が、上条を素手で吹き飛ばしていた。
咄嗟に庇った右手は原形を留めないほど破壊され、
叩きつけられた上条は全身数十ヶ所を骨折させられた。

いや、伏兵ではなく、傭兵と言うべきか。


アックア 「私は“神の右席”であると同時に、“聖人”でもあるのだよ。」


あらゆる異能を打ち消す右手を殺すべく、
ローマ正教は最強の刺客を上条に差し向けていた。

“神の右席”の中で、最も“戦闘”に長けた男。
ウィリアム=オルウェルこと、後方のアックアがアスカロンを構えて立ちはだかった。



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