佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   次元竜 (中編)

<<   作成日時 : 2017/09/13 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



人間らしき革命者を



◆ ◆ ◆



「何なんだ、この迷路みたいな要塞は・・・。」

いつもの飄々とした態度も消え失せる。
この中肉中背の青年、“カンサー”協調派首領・間山月人は、滅亡派のアジト“U改”を彷徨っていた。

「俺の空間魔術でも突破できないなんてな。どういう仕組みだ?」

ぽたぽたと垂れる鼻血を啜りあげて、彼は壁の材質を分析する。
それが迷路の攻略に繋がることなど無いと分かっていても、何かせずにはいられない。

次元の穴を穿つことすら容易く、精霊界へも行き来できる彼の魔術が、この無機質な壁には無力。
ゲームにおける“破壊不可能オブジェクト”のような、手ごたえの無さを感じる。

(いざとなれば外へ出ることだけは出来るが、しかし・・・)

“U2”に向かった暗犯満とも連絡が取れない。
通信妨害でなければ、闇のデュエルに敗北したのだろう。
となれば、ここで攻略を諦めるのは徒労でしかない。


そこへ現れたのは、2人の男だった。

(何故ここに・・・? いや、しかし好都合だな。)

間山は笑みを浮かべて2人に近付いた。

「よっ、チェン・ハーケンにハイジーンじゃないか。」

「てめぇ、誰だ? 名乗れよ。」
「うぅ・・・・・・」

「ああ、悪い悪い。そういえば俺のことは覚えていなかったよな。今から思い出させてやるよ。」

「ああ? どういう意味だ。」
「うぅ、チェン、こいつは・・・」
「知ってるのか、ハイジーン?」

「間山だ・・・て、おれは資料で見たから・・・うぅ・・・」
「間山? まさか、てめぇが間山月人なのかよ!?」

「その通り。そしてチェン・ハーケン、おかえり。」

「ああ・・・? ・・・・・・? ぐあああっ・・・ああ・・・・」
「チェン!? どうした!」

「思い出したのさ。」

飄々とした笑みで、間山は答える。
その余裕綽々の態度が、ハイジーンは気に食わない。

「チェン・狼・ハーケンは、協調派の1人。俺が“親方の力”で能力者にしたデュエリストだ。闇のデュエルで記憶を消してスパイ活動をさせていたんだが、今しがた記憶封印を解いた。」

「あ・・・・ああ・・・・・・・思い、出した・・・・。」
「チェン!?」
「オレは、協調派の一員で・・・スパイ活動をする為に、記憶を消して潜り込んだ・・・。」
「うぅ、しっかりしろ! そんなのは偽の記憶だ!」

「ところが本物なのさ。カブトボーグの観すぎだ、お前。」

間山の態度は、とても嘘には見えない。
だが、ハイジーンにとっては信じがたい話だった。

「デュエルだ・・・」

チェン・ハーケンがデュエルディスクを展開し、闇の瘴気が広がる。

「チェン、うぅ・・・やるしかない、のか・・・?」

「ああ、やるしかないぜ。ただしオレの相手は間山月人、てめぇだけどな!

「・・・!?」

間山の顔に驚愕の色が宿った。

「記憶の戻り方が不完全なのか?」

「まさか。ちゃんと戻ってるぜ。だが、オレが“カンサー”の一員だったのが本当だとしても、ハイジーンと過ごしてきた日々が偽物ってことにはならねえ! 人の心を簡単に操れると思うなっ!」

「ちぇ、チェン・・・」

「先に行け、ハイジーン。ここはオレが食い止める。文字通り足止めにしかなんねーから・・・早く・・・」

「うぅ、お前を置いて逃げるわけには・・・」

「目的を見失うな! あの子を助けたいんだろ!?」

「・・・っ、うぅ・・・・・・わかった!」

駆けていくハイジーンを見送りながら、チェン・ハーケンは晴れ晴れとした顔で笑っていた。
そして間山に向き直ると、展開したデュエルディスクに電子音とデジタルの火を灯した。

「さてと、デュエル開始だぜ。」

「仕方ないな・・・。だが、質問いいか?」

「あん・・・? そりゃあ、こっちは構わないぜ? それだけ時間が稼げるんだ。願ったり叶ったりだろ。」

「お前は確か、日本国の安全神話に嫌気が差していたと思うが・・・。」

「・・・? イマイチ話が見えねえが、その通りだ。この国の連中は、誰も彼も平和ボケしてやがる。どいつもこいつも守ってもらって当然ってツラばっかで、自分の力で平和を勝ち取る気迫が足りてねえ。道徳を語る前に現実を見ろ。目を塞いでる手を下ろせ。話はそれからだ。この気持ちは今も変わってねえよ。」

「だとしたら、お前らが助けようとしている子とやらも、自力で助かるべきではないのか。“守ってもらって当然”と思うのは間違っているんだろう。」

「はっ、くだらねえ。攫われた女の子を助けんのに理屈が要るのかよ。つまんねえ理屈こねて女を見捨てるような男は屑だ。何を言うかと思えば、そんなことが気になるのか? これだから頭でっかちのインテリは・・・。」

「いや、安心した。どうやら洗脳されたわけではないらしい。」

「たりめーだ。そんくらい見てわかれよ。」

「俺は慎重なんだよ。こうと決めたら早いが―――」

闇の瘴気が一機に膨れあがった。


チェン・ハーケン:LP8000
間山月人:LP8000



「・・・ひとつ、謝っとくぜ。足止めと言ったのは嘘だ。」

チェン・ハーケンは初期手札5枚を公開した。
そこにはエクゾディアパーツが揃っていた。

「食らえ、これがオレの三行半だ! 怒りの業火―――」



「ああ、そういえばリンクスを奪還されたんだったな。シィハの操作で手札にエクゾディアを揃えたわけか。」



エクゾディアを前にして、間山は落ち着いていた。
まるで手慣れた試験問題を前にしたときのように、事も無げに。

「だが、初手エクゾディアを使うってことは、即死反射アイテムは機能しない・・・・・・なあ、チェン・ハーケン、俺のデュエリスト能力は思い出せていなかったか? その怒りにチェーンするぜ。



“蝕”(エロジオン) レベル2能力(所有者:間山月人)
あらゆる効果に自分のカードの効果をチェーンすることが出来る。




「俺のデュエリスト能力は、本来チェーン出来ないような永続効果やルール効果であってもチェーン出来る。レベルこそ2だが、デュエルを侵蝕する力だ。手札を全て捨てて、《次元竜パラデュール》の召喚!」

「じげん、りゅう・・・?」

デュエリスト能力の記憶は言われて蘇ったが、そんな竜の記憶は無い。

静寂が訪れた。間山の手札はゼロ。
だが、一向にモンスターが出現する気配が無い。
しぃんと静まり返った状況は、かえって不安を増幅させる。

「な、何も出てこねえじゃねえか。驚かせやがって、何が次元・・・・・・」

チェン・ハーケンは足元を見たことを後悔した。
いや、見てなくても結果は変わらなかったが。

広い床一面に、いびつで巨大な竜のシルエットが描かれている。
問題は、それが蜥蜴のように動いているということだ。

「3体の次元竜は共通する召喚ルール効果を持つ。すなわち手札を全て捨てることで、あらゆる場所から好きなタイミングで特殊召喚することが出来る。さあ、魅せてやろう―――」



ズズズ・・・と音を立てて、影絵の一部が三次元へ侵入してきた。
巨大な爪が、眼前に迫る。



「永久に交わらぬ平行線、無限の先で良く結ばれる! 地平の虚無、平面より現れろ、分け隔て無き鵺の竜!」



次元竜パラデュール レベル12 無属性・ドラゴン族
攻撃力???? 守備力????
通常召喚できない。任意のタイミングで手札を全て捨てることでのみ、あらゆる場所から特殊召喚する。
このカードの攻撃力・守備力・効果は、特殊召喚時に捨てた手札の合計となる。




「ジ・エンドだ。」

「―――っ」

ザシュンと、あまりにも軽く、次元竜の爪牙はチェン・ハーケンを薙ぎ払った。
ぱらぱらとエクゾディアパーツが零れ落ちて、その持ち主は闇へ沈んでいった。

「てめ・・・人間じゃね・・・え・・・」

「・・・ふぅ」

間山は溜息を吐いて、デュエルディスクを折り畳んだ。

「これもジェネレーションギャップってやつか? 上手く行かないもんだな。」

実年齢12000歳オーバー。レムリアより来たるゲリルの住民。
見た目は若々しく引き締まった好青年だが、人間ですらない。

名前も性質も人間を冠しているが、“人間牴牾”(ヒューマノイド)は人でなし。
半永久的に生きる怪物に、人の心など、わかるはずもない。

「それでも俺は、平和にしたい・・・・・・この素晴らしい世界を・・・・・・」

S級鋼席、鋼の闘志。拳に宿るは革命思想。
熱き心も憐憫の情も、知性も理性も暴力も、全てが揃い尽くしている。

ただひとつの欠落を除いて。



◆ ◆ ◆



はめつのひかりは いいました

やみのちからに じぶんを うりわたした ものたちを

すべて やみに かえせ と

つちくれより いでし ひとがたは いちあくの はいに

よどみより いでし うたかたは ちりに かえて かぜへ

やみより いでし わざわいは ふたたび やみへ

やみから やみへ

やみから やみへ


かれは ベール

レムリアに うまれ ゲリルに いきた

ひかりの ちからに じぶんを うりわたした おとこ

としを とることも なく しっぺいも しらず いきてきた

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