「サトリン」 第十七話あとがき

停滞していたものが動き出す切っ掛けは、 自分でも何なのか分からないことが多いですが、 この度も多分に漏れず、よくわからないままに、 しかし「はっきりと」動きが戻ってきました。 第二部を連載していた5、6年前から既に、 作中とリアルとの時代に乖離を感じており、 ここ数年は正直なところ今更ではと感じていたのも やる気が出な…
コメント:0

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(17)

人を助けたい。 困り果て狂った人に、熱い眼差しを贈りたい。 悩み苦しみ歪んだ人に、それでいいと言ってあげたい。 絶望も諦観も悪いことじゃない。 どんな感情も呑み込むほどの強さを手に入れたい。 ひとつの方法だけで全ては救えない。 誰かの救いは別な誰かの理不尽となる。 世界は複雑に絡み合って、すっきりしない。 美しい…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(16)

燃え盛る瓦礫から、にょっきりと腕が飛び出した。 稲妻が爆散し、誇りを払いながら、やれやれと笑って少女が這い出てくる。無造作なショートヘアは、Eの文字をあしらった帽子を、あらためて被り直した。 「ん、ん、んあっん~、まだ力が馴染んでないなあ。たとえ火の中、土の中、スカートの中でも、平気の平左だけど、全然こんなもんじゃないはずだよね。だ…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(15)

燃え盛る炎の中で、ミヒャエル=ファーストは血を流していた。 どこかに綻びが無いだろうかと、見渡すが、赤、赤、赤。 (逃げないと、あいつが追ってくる。だけど・・・どこへ逃げる? 逃げ場所が見つからない。僕は無力だ。) ぱちぱちと爆ぜる音、煙は視界を閉ざし、粘膜に絡みつく。 灼熱が体力を奪っていく。 「あら、あらあらミヒャエル…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(14)

「一体これは、どういうことだ!?」 「説明してもらおう!」 「責任を取れ!」 喧々囂々と渦巻く非難の中、三日月千里は涼しい顔で査問の場に立っていた。 「どういうことだ、とは、どういうことよ。」 「とぼけるな! 千里眼である貴様が、この事態を予知できなかったはずがないだろう!?」 「そうだそうだ!」 「研究所は丸焼けで、死人…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(13)

「・・・どういうことだ、聡子。」 久々に餓狼の面持ちで、レクラ=ストレイは少女に詰め寄っていた。 彼の腕の下で、こんなにも細く小さな身体は、得体の知れない、ぎらついた輝きを放っていた。 「私が言いたいよ、レクラ。どうしたの?」 「とぼけんな。このプログラムは何だ。」 「何って、サブのプログラムだけど?」 「オレらに黙って作っ…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(12)

プログラマーを志す前から、聡子は数学が好きだった。 例えば真偽の判定。ひとつでも反例があれば「偽」であるというのは、どれほどの少数者でも蔑ろにしない、最高のヒューマニズムであると感じる。 素数は無限に存在し、2を除いてすべて奇数であるが、それでも「素数は奇数である」という命題は「偽」なのである。たとえ無限の中の、たったひとつであろう…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(11)

バートランド=ルベディアムは、物事に集中するあまり周りが見えなくなる子供だった。仕事を完遂することを、子供の頃から知っていたと言ってもいい。 自分が大人びていたとは思わない。脱いだ靴下を散らかしっぱなしにする癖は、大人になっても直らないし、社交性に乏しく、子供のまま大人になったような人間だと思っている。 ひとり遊びが好きで、雑草を抜…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(10)

嫌なことの方が記憶に残りやすいのは何故だろうか? 人類史の見地から言えば、答えは単純明快、その方が生存率が高いからだ。危険を回避しやすく、個体のみならず全体の生存率をも高めていく。 例えば果実の仕分け方。 例えばキノコの見分け方。 暮らしていくに便利な、計算、計画。 獣との遭遇、未知なる領域への進行、他人との接触。 あらゆる…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(9)

ミヒャエル=ファーストは、どれほど幼い頃まで辿っても、怒った覚えが無い。記憶定まらぬ乳児の頃も、ほとんど夜泣きをしない、育てやすい子供だったと聞かされている。 怒るという行為が苦手で、心の中の苦しみを溜めておく大人しい性格。自己主張をしない分だけ、他人のことが人一倍よく見えた。良いところも、悪いところも。 しかし人間は、悪いところが…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(8)

いつまでも笑っていたい。 いつまでも心が温かいままで過ごしたい。 時には涼しくありたい。 けれど寒いのも暑いのも痛いのも嫌。 それは叶わぬ夢? 「げほっ・・・・・・はあっ・・・ぐぐ・・・」 咳の回数が増えた。 吐き気で眠れない夜が増えた。 少しばかり落ち着いていた具合が、再び悪化してきた。 最後の安定が崩れていく。 …

続きを読むread more

プリチャン149話 Qグランプリ(後編)

次回で仲直りを期待していいのかな? でもまだ難しいかな? ・・・そう考えていた時期が私にもありました。 穿った見方をすれば実際は穏やかな進行で、 穏やかだと思っていたら波乱ぶち込まれる、 こうやって視聴者の意表を突いてくるんだね! わかったよ、めが兄ぃ! 兄ぃの言うことが以下略! いや、ほら、なんというかね? …
コメント:0

続きを読むread more

遊戯王SEVENS 第46話 どっちのデュエルショー!~焼肉VS洋菓子~

(前回までのあらすじ) 後藤ハントはクシャミングと勇気で マキシマム発掘という困難にチャレンジする小学生。 そこへ現れた仮面の中年男たちに囲まれて、 協力(意味深)を受けたハントは富と引き換えに 大切な何か(意味深)を失ってしまっていた。 だが、しかーし! ハントが手放したものを 遊我は拾い集めてデュエルで結集させていた!…
コメント:0

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(7)

レクラ=ストレイは、いつも尖っていた。幼い頃から、自分を曲げることが大嫌いだった。納得いかないことには、相手が親でも教師でも、頑として引かず、喧嘩っ早い。そのくせ運動だけでなく学業も頭抜けていたものだから、大人たちは彼の扱いに、ほとほと困り果てていた。 とかく「集団」に向かない彼は、身体を動かすこそ得意でも、尊しとなす和を乱す存在であ…

続きを読むread more

「サトリン」 第十七話 彼女の生まれた日(6)

「おじゃまんもす~」 扉が開いたのは、そのときだった。 「うわっ、ちょっと見ねえ間に、まーたゴミ溜め込んでんな?」 「れ、レクラ?」 「ナプキン捨てたまま放置すんじゃねえよ・・・」 成人しても少年のような男は、少し伸びた髪をガリッと掻いて、ゴミ袋を取り出した。 「・・・っと、その前に、これ。頼まれたプログラムだ。」 「あ、…

続きを読むread more

2021年05月
                  1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31               

過去ログ

テーマ別記事

最近の記事

最近のコメント

QRコード