壊滅都市   あとがき

1ヵ月半ほどの連載でしたが、随分と長かったように感じます。濃密な時間でした。
まだ余韻が残っていて、ちょっと寂しい気分です。

砕組の戦闘を描いたのは、今回が初めてになります。
今までも断片的に描いたことはありましたが、今回のように砕組メインで本格的に描いたのは初でした。

これまでに砕組の話を幾つか書いてきて、そろそろ副隊長クラスの話が書きたいと思ったのが、2010年のことでした。
コムザイン、カタストロ、フィリップ、それぞれに書きたい話があったのですが、今回はコムザインが選ばれました。
フィリップは何気に出番が多いし、カタストロは現代編でも出番があるから焦る必要は無い。それに、砕組の戦闘パターンはコムザインが率いる形が基本形ということも、理由の1つでした。

この話でコムザインが高く評価されて嬉しいと共に、これまではコムザインのキャラクターが立っていなかったんだと、あらためて驚きました。そこは反省点ですね。
重要キャラなのに長いことキャラが立ってないのは、そういう演出でない限りは作者の力不足ということになるでしょう。

ともあれ、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
それでは解説へ・・・。





<プロローグ>

話が進むにつれて怪しさを増していくファーストシーン。
ジョルジュとパトリシアがスクルージの追跡から逃れることが出来た理由は?
2人とも普通の人間だとすれば、スチュワート率いるエスパー部隊からどうやって逃れてきたのか?
そのあたりを追求しなかったのがコムザインのミスでした・・・。



<一、都市国家サダク>

サダクは「ARMS」のカダスの逆読み。(CADAS、またはKADASと推定して)
「ARMS」とは相互に反転世界の関係にあるという裏設定があったりします。
号令シーンはキャラ付けに便利。部隊番号、掛け声、外見、まとめて書くことで統一感が出せるので重宝してます。
「魔」の十軍も、名前が覚えやすいというだけでなく、まとめて出てきたからこそ暗記できた覚えがあります。



<二、姫君パトリシア>

パトリシアの体つきが実年齢より幼いというのが伏線の1つ。強力なエスパーは外見が実年齢より若いというのは何度か出していますが、その設定は原作である「紅い牙」から。
ジョルジュの名は「幽霊VS紅い牙」でも出していたので、ある意味で露骨すぎる伏線。でも珍しい名前ではないし、原作や「幽霊VS紅い牙」では主に苗字の方が使われていたので、バレない自信はありました。
ここでジョルジュが吐き捨てるようにスチュワートを軽蔑したのは本心からです。原作での彼は歪んだ理想に燃える中年男なのですが、そんな彼の若い頃は、やはり歪んだ理想に燃える青年だったのだろうと想像してみました。人道的立場からの言葉ではなく、現場で手を下す人間を見下した言葉だったわけです。
本気の言葉だからこそコムザインも騙されました。青臭い青年の奥に隠された歪んだ思想を見抜けませんでした。



<三、幻の組織タロン>

頭文字を並べるのは、原作で桐生仁が行っていたことです。「スプリガン」の“トライデント”も、一角が“高隅”なので、同じようなことが出来るのではないかと勝手に想像しています。
コールドトミーについては「スーパードクターK」からの引用です。冷血部隊は吸血部隊から、スチュワートの名も同じ作品の別のエピソードに登場する人物から取りました。
スクルージ・P・ウォーカーは、「超少女明日香」に登場するウォーカー姉弟の父親です。Pはパープルですね。



<四、闇夜を歩く魔人>

スクルージが唄っているのは、“TARON”を、Tyrant、Arm、Raid、Overkill、Notorious、の頭文字と見立てた言葉遊びです。元ネタは「ポケットモンスターSPECIAL」のアレ。
サグの好物がドーナツだというのは公式設定です。エスパーは脳の養分を多く消費するので甘い物が好きになる、という論理とも合致するので、こうして二次創作でも使わせてもらいました。
それにしても、まさに慇懃無礼の応酬。要約すると「クソガキ」「ジジイ」「死ね」「ボケ老人が」「生意気で可愛げの無い」となります。どう考えても子供のケンカです。本当にありがとうございました。



<五、副隊長と分隊長>

テンポを優先するべきか、キャラクターの描写を優先するべきか、迷った挙句に折衷案に落ち着きました。
ここで5人のフルネームが出てきますが、これも少し迷ったところです。私はフルネームの方が覚えやすいのですが、ファーストネームだけの方が覚えやすい人も多いようで・・・。とりあえず自分の感覚を優先しました。
アルフレッドのセリフが伏線ですね。豪華な建物の意味するところは何か。日本に住んでいると感覚が麻痺しがちですが、政治家が庶民より贅沢な暮らしをするのは当たり前ではないはず。



<六、スチュワート大佐>

名前は「スーパードクターK」のスチュワートと「アメリカ魂」から。セリフは色々と混ざってるけど、「ハルノクニ」の榊秀輝と「クレイジーピエロ」のザザラーが主軸。あと「レベルE」の谷町と「ユーベルブラット」のラシェブが少し入っている。人格は、これらのキャラの総合。
残虐かつ低俗な快楽主義、独り善がりの薄っぺらい思想と説教好き、何かと人より優位に立ちたがる歪んだ向上心、劇場型犯罪者気質、などなど・・・まさに“やられ役”という形容が相応しいキャラ。列挙した性質の数々が何となく私自身を思わせるのは気のせいだと思いたい。けれど気のせいでもない。
スクルージの若い頃は、おそらくこんな感じ。



<七、部下への信頼①>

今回は登場しない砕組メンバーの名前がズラズラと出てくる。カタストロ、フィリップの話を書くときに連動させる予定。
夜に限れば遠距離攻撃が可能なウロイ。しかし結局は夜が来る前に片付けたので、ウロイが来れば結果は変わっていたというわけでもないです。



<八、部下への信頼②>

コムザインは、首相官邸が必要以上に豪華な理由は後で問いただせばいいくらいに思っていましたが、このときの会話で疑問が疑惑に変わりました。
ちなみにスチュワートは、「クレオパトラDC」のグラハム・ボッシュ、「ARMS」のガウス・ゴールと同年代かつ知り合いという設定です。互いに影響も受けています。“3人のイカれた男たち”、“トリプルクレイジー”、“嬲る3人の変態”。多分スチュワートが一番格下。
反転世界でもガウス・ゴールは健在。いつか登場するかもしれません。ちなみにT2はホワンと対応、メレケス博士はDrティリングハーストと対応しています。



<九、上司への信頼①>

アルフレッドのは、信頼というよりは崇拝めいたものがあります。
分隊長の中で、この頃のトップ3は、ヴェネシン、アトラト、ハービス。夜はウロイが最強。40年代よりも組員の質が上がっているので、心強いと共に気が気ではないアルフレッドです。
しかしコムザインが一番信頼している部下がアルフレッドだということは間違いないです。



<十、上司への信頼②>

このときのレヒルトとアルフレッドの会話も伏線になっています。アルフレッドは笑わない。部下を信頼できない弱気のレヒルトに対して、内心では疑念が渦巻いています。
出てきた黒い建物。伏線としては少し弱かったかもしれません。



<十一、アージェの怒り><十二、リリーベルの牙><十三、ラプソディアの歌><十四、ハービスの結界>

いよいよ戦闘シーン。それぞれの見せ場となるパートです。
こういった多数同時進行の話はテンポが命だと思っているので、それぞれ1パートずつに収めました。形式を揃えることで、それぞれの個性も少し出せたかと思います。
最後に登場した中ボスのスチュワート。変な語尾も「アメリカ魂」から。



<十五、アルフレッド隊>

このときのレヒルトの言葉に再び目を細めるアルフレッド。自分たちさえ無事ならいいのか、と内心では怒りと疑念が渦巻いています。けれどコムザインが動いているので、アルフレッドは余計なことはしません。
アルフレッド隊のメンバーは、副官にヒラリー・アセンド、以下、アイン、ツヴァイ、ドライの三姉妹、豪腕のチーフー・ストロング、小太りの女性シュガー・A・サックス、蛙みたいな顔の男バブル・P・トードとなります。
・・・はい、「旅立て!ひらりん」が元ネタです。



<十六、念力増幅値の謎>

すうがくのじかん。私が説明するとしたらホワイトボードを使いたい。口で説明しようとするアルフレッドは勇者。
オクトパスは原作「紅い牙」、三日月万里子は「Aの女」「千里」に登場。ようやく繋がりました。



<十七、オクトパス計画>

せいぶつのじかん。メンデルの法則まで入れると話がズレるような気がしたので、簡潔に。
アルフレッド隊は、まさに「スプリガン」のCOSMOS部隊さながら。細かい部分で微妙に違いますが、基本的な発想と目標は同じ。アルフレッドは最強の兵士ではないですが、アルフレッド隊は砕組の最強部隊。
9人目を頭とするのは原作ではお馴染み? そこに数学的な理由付けを加えてみました。



<十八、サイコホールド>

スチュワート隊のセリフは・・・NHKのアレ。タイトルを言うと人格を疑われそうなので、ぼかしておきます。
ハービスのセリフは「恋に落ちた悪魔」より。構図は「るろうに剣心」の斉藤一のセリフ「全く、通用しない」から。
・・・ここまで細かく元ネタを解説する必要はあるのかどうか。



<十九、変わらない景色>

シンクロナイザー無しで完全なオクトパス部隊を作ろうと思えば10年20年かかる。原作のオクトパス部隊、かなり便利なのに他に作らなかったのだろうか・・・と思いながら生まれた設定です。
考えてみれば、B級8人でA級を押さえ込めるなんて芸当、そう簡単に出来るはずがない。



<二十、VSオクトパス>

ハービスが分隊長の中でも特別に心優しい、というわけではなく、コムザインと同じく人民第一の思想を持っているということです。それが裏目に出てしまいましたが・・・。甘いといっても、いわゆる優しさ方面の甘さではなく、こういった事態を想定していなかったという甘さですね。
5人の分隊長の中で、優しい性格なのはラプソディアだと思います。だからこそ怒ると怖い。



<二十一、ハービスの危機>

読者ハービス、もとい読者サービス? ・・・もとい、後の伏線でもあります。
それにしてもスチュワートのセリフが下品すぎる・・・。



<二十二、圧倒的な破壊力>

コムザインのモデルは「ARMS」のクリフ・ギルバート。セリフの一部がクリフと同じ。あくまで目で見て攻撃しているのもクリフと同じく。視認可能範囲を超えるとコントロールがブレてきます。
最後のセリフはクリフに加えて、「ポケットモンスターSPECIAL」のミクリのセリフが入ってます。
“魔王”クリフと“壊帝”コムザイン。攻撃力ならコムザイン、防御力ならクリフが上でしょう。共通して、量的あるいは質的に上回る相手に極端に弱くなります。それとテクニカルな相手も苦手。



<二十三、壊帝コムザイン①>

スクルージとサグの会話。これが真の読者サービスシーン。(←?)
サグは若くてもサグ。最後の言い回しなど、我ながらニヤリ。
しかし、「ARMS」でのキース・レッドとガウス・ゴールの会話シーンの影響を受けまくりで赤面もの。他にも「ジョジョの奇妙な冒険」「るろうに剣心」「ワンナウツ」「ハチワンダイバー」「風の谷のナウシカ」などからセリフを持ってきているあたり、冷静になって読み返すと冷や汗が出そう・・・。でも今後も性懲りも無くやるんだろうな、私のことだから。



<二十四、壊帝コムザイン②>

怒りのコムザイン。セリフの一部に「ムサシ伝」のウォッカ大佐の言葉が含まれています。
1人で敵を全滅できる実力を持ちながら、どうして部下に任せているのか。答えは簡単、自分が戦うと人民への被害が大きいから。それはシュシュ隊長が出てこないのと同じ理由でもあります。戦うとなれば躊躇しませんが、なるべく戦いたくない。ここでも全力の半分も出していません。
クラッカー能力。原作でA1級マルチアビリティのイワンがオクトパスホールドに苦しめられて、同じA1級のコムザインがオクトパスホールドを簡単に打ち破った理由です。それと、スチュワートのオクトパス部隊が原作のオクトパスよりも弱いということでもあります。四半世紀も時代が離れていますし、メンバーの個々の出力や技量も大きく違うので。
あくまで相性の問題なので、コムザインがイワンと戦えばイワンが勝ちます。マルチアビリティというのはコムザインのようなタイプにとっては天敵に近い存在です。京狐夜果里には出力の差で勝てますが、やはり苦手なタイプになります。空間干渉能力者でマルチアビリティでもあるT2が、コムザインにとっては最悪の相性と言えるでしょう。



<二十五、壊帝コムザイン③>

スチュワートの小物化が止まらない。ハービスをいたぶるのに夢中で、他の隊との連絡すら怠っていたことが判明。コムザインが呆れるのも無理ないです。どうせならJ繋がりで「鋼の錬金術師」のキンブリーのセリフで締めくくろうかと思いましたが、流石に自重しました。でも「るろうに剣心」の外印のセリフをコムザインに使わせていたり・・・。(赤面)



<二十六、壊帝コムザイン④>

「ライアーゲーム」のフクナガのセリフに、「ARMS」のコウ・カルナギのセリフ。前回で自重した意味がまるで無い。
キャラクターに懇切丁寧に喋らせるのと、無言で戦わせて地の文で解説するのと、どちらも好きなのですが・・・今回は前者を選びました。



<二十七、壊帝コムザイン⑤>

こんな死に方は絶対したくない・・・。
スチュワートが死んで、第二幕の閉幕。
例によってコムザインのセリフは様々な方面から持ってきています。



<二十八、残る謎、残る懸念>

全裸にジャケットという危ない格好のハービスに対して、言うセリフが「ざまあねえな」というアルフレッド。このあたり、彼がゲイだという設定が出てきている部分です。
アルフレッドとハービス。共にコムザインに対して、尊敬と信頼、憧れと共に、淡い恋心を抱いています。ライバルとして対立しながらも互いを認め合っているシーン。割と気に入っています。
ハービスはコムザインに守ってもらいたいのではなく、共に戦いたい。なので救援が一番後回しで、むしろ嬉しい。
アルフレッドは説明しながらレヒルトに探りを入れています。しかしここではボロは出していませんが・・・。



<二十九、姫君とジョルジュ>

感動的なシーンに見せかけて、実は・・・。
ねじくれた性格の私が、素直に感動的なシーンを書くことは少ない。



<三十、コムザインの目>

ついに伏線回収。レヒルトに関してはバレてもいいくらいには思っていました。
リリーベルが生首を転がしたり、それをコムザインが足蹴にしたり。ギョッとする演出でレヒルトや官邸の兵士の目を釘付けにしています。その間にラプソディアが密かに行動しています。



<三十一、レヒルトの真実>

「誤解しないでください」というのは、相手の理解力不足を咎める言葉だと思います。真剣な怒りを「誤解」などと言って、なだめすかすような態度を取るのは、侮辱以外の何物でもありません。説明や弁解をせずに、ただ「誤解だ」と言うことは、丁寧な対応をするに値しない人間だと見なしているということです。わかってもらいたいなら、きちんと説明するべきでしょう。
相手したくないなら何も言わなければいい。わざわざ慇懃無礼な態度を取るなんて、本当に「舐めるな」と言いたくなります。レヒルトなんか、まだマシな方です。まだ“話し合おう”としていますから。
こちらが真剣に腹を立てているのに、「どうか誤解しないでください」などと言われたら、凄く腹が立つし、悔しいものです。そんな経験から生まれたシーンでした。こうして読み返してみても、力入ってるな、と思います。



<三十二、くだらない茶番>

かつてソビエトが崩壊した頃、キューバは食糧危機を迎えました。そのとき当時の議長フィデル・カストロは、自らが殺される危険性も省みずに民衆の説得に向かいました。
コムザインの要求水準が高すぎるとい意見もあるでしょう。レヒルトも日本なら確実に並以上の政治家です。
しかし本来、トップに立つ人間はキューバ革命の中枢と同程度の誠実さは持っていて当たり前のはず。単なる一市民ではなく、トップに立ってるわけですから、優れた人格者でなければならないのは当然でしょう。



<三十三、人間としての情>

人間愛を自分だけに向けるのも、自分と親しい人間だけに向けるのも、単なる一市民としてなら咎められるようなものではありません。しかしトップに立つなら人間愛を人類愛にまで拡大するべきですね。キューバ革命の指導者の1人ゲバラがそうであったように。
後でも触れますが、タロンは腐敗ソビエトと似ている部分があります。かつて腐敗ソビエトと手を組んでいた革命勢力は、ソビエトの崩壊と共に殆ど潰れてしまいました。その中でキューバが生き残ったのは、フィデル・カストロら革命政権の手腕と、運の良さあってこそでした。誠実さは近づけても、能力までカストロ級というのは無理な話。タロンと関係があってもモラルを失わないようにする手腕など、レヒルトごときが持っているはずがありません。
お前は首相になるべきではなかった。コムザインの言葉が全てを説明しています。



<三十四、ビザリオン一家>

レヒルトの感覚を受け継いだような子供たち。家族愛には溢れていますが、他人には平気で暴言を吐く低劣な品性。他人の気持ちがわからず、自分たちの置かれている状況を理解できない間抜けさ。
こういう子供は、自分で書いてて凄く嫌になります。スチュワートや冷血部隊の方が遥かにマシ。



<三十五、戦いの後の夕陽>

沈んでいく太陽を見ながら鬱々とした気分で徹夜するコムザイン。ここで終わらせることも出来ましたが、その選択肢は最初から選ぶ気はありませんでした。
レヒルトが黒幕で、スクルージとサグも結局あれっきり、コムザインも全力を出していない。これで終わると消化不良な感じが否めないので、まだ少し続きます。いよいよ最終幕。



<三十六、迎えは朝日と共に>

この先の展開を暗示するような、不気味な色の太陽。私もよく徹夜するけど、朝日というのは言葉のイメージよりも不気味だと思います。
撤収する頃になって現れる夜果里とヴェロニバル。新たなる波乱の幕開け。この2人がサダクへ来るまでのエピソードも書いてみたいものです。



<三十七、A級のテレパス>

原作「紅い牙」にて、イワンが変装してマンディアルグの船に忍び込むシーンがあります。彼はフランス人のマンディアルグを“ミスター”と呼んでしまい、正体がバレてしまいました。フランスなら“ムッシュ”なんですよね。なので、連載中に知り合いから「ジョルジュってフランス系の名前だよね?」と言われたときは、ヒヤヒヤしていました。
それでもパトナの方は流石にバレないだろうとは思っていました。実年齢よりも幼く見えるとか、エキゾチックな容貌とか、後から読み返さないと気付きにくい伏線だと思います。



<三十八、明かされた全貌>

サブタイトルの通り、一連の流れを解説。
基本的にコムザインは人を信頼するタイプなので、見えないものまでは疑いません。今回は裏目に出ていますが、疑心暗鬼にかられないということでもあります。
砕組の上層では、シュシュとコムザインが人を信頼するタイプで、カタストロとフィリップが疑り深いタイプです。



<三十九、天空の死闘①>

リップバーン中尉だか駒形由美だかの様相のパトナ。狂気を見せるサグ。気に入っているシーンです。
サグの雰囲気もモンティナ・マックスや志々雄真実と似てる部分はあると思う・・・男性的な逞しさとか、狂気的なピカレスクとか。
攻撃力と移動スピードは高いが、ややノーコンのコムザイン。実は後ろへの攻撃も少し苦手だったりします。それでも分隊長クラスよりは上手ですが。
このあたりの戦闘シーンは、「戦闘兵アトラス」をはじめ、様々な作品の影響を受けています。空中戦ならではの大型攻撃が書けて嬉しかったです。



<四十、天空の死闘②>

コムザインとサグの力量は殆ど互角ですが、情報アドバンテージの差が出ているところです。
最大攻撃力ではコムザインが勝りますが、サグはテレポートやテレパシーが使えるという優位性がある状況。



<四十一、天空の死闘③>

コムザインの念力大砲は10発も撃てばサダクを壊滅できる威力。やはりハービス救援のときは手加減していたようです。単純な力量ではサグが僅かに上回るのですが、コムザインが有利に戦いを進めている。それは戦闘経験の差と言えるでしょう。
サグが語っているタロンの理念は、原作でマンディアルグがイワンに演説ぶっていたことです。コムザインが“共産主義の出来損ない”などと言っていますが、腐敗ソビエトを念頭に置いているのでしょう。1954年当時、既にソビエトは相当おかしくなっていたようです。



<四十二、天空の死闘④>

またしても駒形由美なパトナ。一方、マンディアルグの忠誠心は、佐渡島方治には遠く及ばない。あのレベルはクインザとかイル・バーニでないと対抗できないよ・・・。
どうしようもないことは半ばやけになって諦める。それもマンディアルグが原作で見せた性質です。「幽霊VS紅い牙」にも収録。やっぱ萌えキャラな気がする。人格的には何一つ尊敬できないけど。
サグの豹変は、原作の設定に従った結果。実は執筆前は豹変するとは思っていませんでした。
彼も古代超人類の血を色濃く受け継いでいる(緑褐色の肌や白髪など)ので、小松崎ランと同じ“変身”が出来るのは当然と言えば当然なんですよね。



<四十三、天空の死闘⑤>

例の“紅い牙”なわけだけど、「ARMS」のジャバウォックの精神世界にも似ている・・・。コムザインとサグの最終激突は「るろうに剣心」の影響が色濃く出ています。
冷静に考えればアルフレッドは口移しで水を飲ませる必要は無かったんですけどね。サイコキネシスで飲ませればいいだけの話ですから。目の前に意中の人が気を失っていたら、ついキスしたくなるという。
親の顔を知らないコムザイン。なにしろ試験官ベイビーなので。



<四十四、夕暮れの中の帰還>

サブタイトルは三十五と同じく「戦友」の歌詞の一節から。
私は反戦平和論者ですが、別に軍歌が嫌いなわけではありません。「ワルシャワ労働歌」「野を越え丘を越え」「宇宙戦艦ヤマト」など、好きな軍歌は多いです。
「戦友」は、戦争に行った祖父がよく唄っていたそうで、私にとっても思い入れが深い歌です。今回の話を書くに当たって、「ARMS」「るろうに剣心」と共に参考にした箇所が多い作品です。共通項は、強い信念と誠実さ、そして溢れるヒューマニズム。私自身には欠けているものですが、私の書くキャラには反映されているようです。



<エピローグ>

とことん質素なコムザインと、貪欲に組織内での権力を高めるサグ。対照的でありながら、ストイックな部分は共通している2人です。私利私欲で動かないという。志半ばで倒れるという点も共通していますね。
コムザインとスクルージは暴力で、スクルージとサグは権力で、そしてサグとコムザインは思想で、それぞれ宿敵同士の関係になっています。今回はサグとコムザインの関係をクローズアップしましたが、いずれは1946年の対決やタロン内部の権力闘争も書いてみたいところです。




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この記事へのコメント

2011年10月31日 00:36
アッキーさんは、やはり数学的な頭脳というか、数学的な感性がベースなのではないかと感じます。つまり、ここまで自分の作品を解説できる作者はそんな多くないのではないか。
それにしても数多くの作品が脳内にインプットされているんですね。もしかしてドーナツが好きとか?
私もジブリのセリフのパロディは自然なアドリブで使ってしまいますが、これは要するに何十回も同じ作品を見ているからセリフを覚えているんだと思います。
いつも感じるのはカストロ議長の名前が出てくるところ。
ガンジーやキングのように偉人として世界でも日本でも有名な人物の名前が出るのはよくあることですが、カストロ議長に関しては、日本で偉人扱いはされていません。そういう人の実力や魅力を見抜き、言い切る。賛嘆する。これこそ表現者の醍醐味です。
私もカストロ議長のことは本物の戦人として尊敬しています。日本のマスコミは世界の偉人をあまり紹介したがらない。

2011年10月31日 00:46
火剣「短けえ夢だったな・・・殿下!」
ゴリーレッド「そう急くなよ」
コング「クリーンチュルナイ」
火剣「風がない!」
ゴリーレッド「ふかいに手を出してはならん」
火剣「何だこのババーは?」
コング「テーガン!」
火剣「さっきからコングだけ違うじゃねえか」
ゴリーレッド「それよりハービスの思いに感動する。守られたいじゃなく、ともに闘いたい。まあ、そういうヒロインじゃないとコムザインには認めてもらえないが」
火剣「でもマッパじゃかわいそうだから、さりげなくジャケットか。ケッ、やってくれるじゃねえか」
コング「チラリズム」
ゴリーレッド「全然違う。格闘ロマンを汚すな。コングの次元まで落とすな」
火剣「メシねえ・・・」
ゴリーレッド「もう終わったんだよ!」
2011年10月31日 04:28
>ブラックホークさん
言われてみれば、文章を書くときは数学的感覚がはたらくときがありますね。数学の証明問題では、証明を読む人の立場になりながらも、実際に証明を書くのは自分。文章を書くときでは、筆者と読者の目線を同時に持つことに繋がると思います。
そして多くの作品に触れていること。これも強みですね。面白い作品は何度も読み返しますし、様々なシーンやセリフが自然と印象に残ります。そして、読んでいるときに小説のアイデアが閃くことが多いです。
様々な作品に触れるとき、面白いかどうかだけでなく、分析をするのが癖になっています。これも数学的かもしれません。おそらく父親の影響という気がします。
ホークさんもカストロ議長のことを評価しているんですね。嬉しい限りです。キューバはアメリカ政府と敵対していて、アメリカと日本の政府は仲が良い。だから日本の大手メディアは紹介しないんでしょう。紹介しても良くは言いませんね。
かつてキューバ革命政権は激闘の末に樹立しましたが、ではキューバ革命が暴力に満ちているかというと実は真逆。アメリカの挑発に耐え続け、全面戦争を回避し続けているし、政治家とサラリーマンの給料も同じ。アルカディアのモデルの1つが、まさにキューバなんです。
日本こそ暴力に満ちた国だと痛感させられます。確かに一般人が拳銃を所持しているわけではないですが、年間の自殺者は数万人。餓死者まで出る始末。その一方で贅沢三昧の金持ち。こちらの方が、よっぽど暴力的に見えます。人を自殺に追い込むのも暴力のはず。殴る蹴るをしてないからといって非暴力主義者にはならない。

ちなみに・・・はい、実はドーナツ好きです。本当に。おやつに10個くらい食べることもあったり・・・。(←食いすぎ)
2011年10月31日 04:55
>火剣さん
コムザインって結構キザですよね。でも意識してキザなわけではなく自然体。恋人よりも共に戦うパートナーが欲しいタイプ。
山田「コムザインの戦闘能力は、まさに巨神兵を髣髴とさせる。」
佐久間「薙ぎ払え!」
山田「念力大砲も、巨神兵のビーム砲ほどではないにしろ、かなりの威力だ。」
佐久間「どうした壊帝・・・さっさと撃たんか!」
八武「ハービス、随分と可愛くなっちゃって・・・元から可愛いか。」
佐久間「30秒待ってやる。これも多分ムスカのセリフが元だ。」
山田「ジブリ作品の浸透は半端じゃないな。コムザインとサグの空中戦にも影響を与えていると思う。」
佐久間「コムザインの妻となる女は、更におぞましき戦場を体験するだろう。半端な覚悟では付いていけない。」
山田「結婚しそうにないな、コムザインは。戦いが生き甲斐。」
八武「ではハービスは私が美味しく・・」
山田「クリーン・チュルナイ!」
2011年11月03日 11:19
とても読み応えのある話でした。
私はジョルジュが「いい人」すぎてかえってあやしいと思っていたのですが(何の根拠もなく)、まさか、パトリシアも!だったとは思ってもみませんでした。可愛い姿にうかうかとだまされてしまいました。
2011年11月03日 22:30
>すずなさん
ありがとうございます、執筆した甲斐があります。
一見いい人に見える人物を疑う・・・ミステリーの定跡ですね。(←おい)
騙し通せたということは、パトナの“なるべく喋らない作戦”が功を奏したということですね。あの作戦、地味に強い・・・。
佐久間「すずなさんがアドバイザーに付いてれば良かったんじゃないかな。ジョルジュから芋づる式にパトナまで正体を暴けた。」
山田「年代的に無理がありそうだが。」
奄美の黒兎
2011年11月23日 14:20
何とも迫力のある小説でした。気が付くと夜更かしして読んでいました。様々に張り巡らされた伏線も見事だし、空中戦も迫力満点。素晴らしい小説をありがとうございます。
2011年11月23日 21:15
>奄美さん
こちらこそ、ありがとうございます! 夜更かしさせてしまうとは、嬉しいやら申し訳ないやら。
ミステリーと超能力バトルの組み合わせは、自分で書いていて凄く楽しいですし、気合が入ります。この力がコンスタントに出せればいいのですけれどね。
佐久間「いかん、アッキーは誉められると増長するタイプだぞ。」
山田「それはお前だろ。」
佐久間「私は誉められなくても増長する。一緒にするな。」
山田「より悪い!」

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    Excerpt: 小さな国が壊滅の危機に瀕していた。圧倒的な力を持つ敵の軍勢に対し、首脳部が救援を求めたのは、エスパー組織アルカディア。送られてきた部隊は僅かに41名。されど一騎当千の強兵揃い。 アルカディアの若き獅.. Weblog: 佐久間闇子と奇妙な世界 racked: 2011-10-31 00:01
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