佐久間と山田のけだるい日常 第七十四話 ~転換~(前編)

ポニーテールを結い直しながら、佐久間闇子は呟いた。
「何だか急にレイプがしたくなってきたな。」
「死ね。」
朝刊を読みながら、山田は顔をしかめる。
「生きたい・・・。」
わざとらしく涙を浮かべる佐久間。
山田は、うんざりしながらパンを齧った。
「あ、そうだ。レイプで思い出したが、死根也に謝礼を払っておくのを忘れていたな。払いに行こう。」
「どういう風の吹き回しだ? お前が人にカネを払うなんて。」
言ってて嫌になってくるが、それが佐久間闇子の習性なのだ。
「ここ数日、どうも体の調子が変でな。ついでに無料で診察してもらう。」
「素直に診察費として払えよ・・・。」
「お前は何を言ってるんだ。感動した死根也をガッカリさせるのが楽しいんじゃないか。」
「俺がガッカリだよ。」
「それは楽しい。」
「人間として終わってるな。」
「何を今更・・・。しかし最高の褒め言葉だ。ありがとう。」
そう言って佐久間は、ようやくジーンズを穿いて外出した。


- - - - - -


「というわけなんだ、死根也。」
シャツを捲って、くびれた胴を晒し、佐久間は山田との会話を再現した。
「ああ、今更ガッカリしないよ私は。」
「そうか。では謝礼は必要ないな。早く診察してくれ。」
「今すぐボディーブローを入れたい・・・!」
しかし八武は聴診器を当てる。医者としての矜持は忘れない。
「・・・んー、具体的に、どう調子が変なの?」
お腹をいやらしく撫でながら、八武は尋ねる。どんなときでもセクハラを忘れない、変態の鑑である。
「男を見ても、レイプしたくならないんだ。」
「なにっ、お前のような変態性欲の塊が、男を見てもレイプしたくならない!?」
「そうなんだ。お前に腹をさすられても、あまり感じない。」
「異常事態だ・・・! しかし治療の必要は無い気がする・・・!」
「そうか。どうやら私は、この病院を跡形も無く破壊する為に生まれてきたようだ。」
「待て、早まるな。ちゃんと検査するから。」
「それならいいんだ。」
無料で診察させられた挙句に、脅迫される。厄日だと八武は思った。


- - - - - -


「結果が出たぞ、佐久間。」
八武は形容しがたい顔をして出てきた。
「どうした、その顔は何だ。」
「・・いや、どう捉えたらいいものか。お前は外見は女のままだが、染色体がXYになってる。現代医学では考えられないから、闇の力でも使ったんだろう。」
「そんな覚えは無いが・・・・あ、記憶喪失のときか? 私め、なんてことを。山田とのラブロマンスも覚えてないし、くそっ、自分だけイイ思いしやがって! 覚えてろ!」
しかし両方とも自分だった。虚しい。
「あれをラブロマンスと言うかはさておいて、闇の力なら元に戻せるだろう。はい、治療完了。」
「ふん、原因がわかってみれば大したことないな。面白くない・・・。どうせだから、体も男になってしまおう。」
「おいやめろ。」
しかし八武の制止も聞かず、佐久間は肉体を変形させる。
みしっ、みしっと音がして、シャツから下着まで破け、細くスマートながらもメリハリのある筋肉が出現する。
優男ながら野性味もあり、鋭い眼光に赤い舌。2メートルを超す身長。
右手の異次元ポケットから服を出して、一瞬で身に纏い、“彼”は言った。
「闇子あらため、闇市(やみいち)と名乗るとしよう。山田のやつ、驚くだろうな。」
「・・・ああ、もう私は何も言うことは無いよ。」
現代医学の敗北を目の当たりにし、八武は聴診器を手に肩を竦めた。




つづく

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この記事へのコメント

2014年08月25日 18:13
火剣「ラブロマンスか。コングの嘘がバレたらあの世行きか?」
コング「ヤバイな。しかも2メートル? 195センチの火剣よりもデカイ」
火剣「198センチの激村よりも大きい」
ゴリーレッド「185センチなんて見下ろされるな」
コング「それよりもっと楽しい話をしよう。八武医院は多くの女子に宣伝したい」
ゴリーレッド「通院を阻止するのが優しさでは」
火剣「でも医師としての矜持はある。一応診察はするんだ」
ゴリーレッド「当たり前だろう」
コング「僕が言いたいのはモンモンモヤモヤしているM女子に八武医院を伝えたいのだ」
ゴリーレッド「さて帰ろう」
コング「八武院長の本性を知ったM女子は、絶対八武医院に来たいはず。そこでアドバイス。くれぐれも普通の素朴な患者を装うのです。目的がバレたら八武院長も萌えない」
火剣「佐久間んが男になった時点でもうコングの望みはティッシュよりも薄いぞ」
コング「うるさい。必ず八武医院に来るM女子はいる。どんなSな意地悪をされるか妄想しただけで期待感が膨らむはずだ!」
ゴリーレッド「佐久間んは天邪鬼だ。願望と違う道をゆくだろう」
コング「いんや、佐久間んはエンターティナーだ」
2014年08月25日 19:16
ええええええ!!!!
タイトルの転換って、何が転換するのかと思ったら、世界の方じゃなくて佐久間さんの性別の話だったとは。八武さんがナチュラルな変態なのは論を待たないとして、闇の力の前では現代医学は敗北するしかないようですね…。夜一さん…じゃなくって闇市さんと化した佐久間さんですが、山田さんはちゃんと「佐久間さん」と認識してくれるのか。また不毛な争いが始まりそうだ…。
2014年08月25日 22:55
>火剣さん
何となく、バイオレンスジャックの影響な気がしてきました。
計算したところ、闇市の身長は約230センチ。でかいです。
ドクターが女子にやらし・・・もとい、やさしいのは論を待たないですが、闇子あらため闇市はエンターテイメントを提供してくれるでしょうか? 次回!

八武「つまり、素朴な患者が来たら、いただいてよし!」
山田「何でそうなるんだ! 殴るぞ!」
八武「大丈夫。目的がバレても、可愛がってあげるから。」
佐久間「問題は、自分に自信が無いと、なかなか来れないことだ。男女でスタンダードな美意識にズレがあるからな。」
八武「心配ご無用! そんな謙虚な女子の為に、出張診療やっております! もちろんMでなくてもOK! 夫に相手されなくなった妻の自信回復にも努めております! へっへっへ、役得よのう。」
山田「最低だ・・・。」
佐久間「何を言う。慈善事業でやってる方が最低だろうが。男が本気だからこそ、女は自信回復するんだ。わかるか?」
八武「世の中には3種類の結婚がある。刺激を求める結婚と、刺激を失う結婚と、愛を育む結婚だ。2番目は不幸なことだ・・・。」
佐久間「3番目は1割くらいだろう。人は見た目が9割だが、結婚は刺激が9割だ。」
山田「うーん、否定したいが、むげに否定も出来ない。」
2014年08月25日 23:05
>千花白龍さん
世界の転換は何度かありましたが、おそらく性転換はこれが初めてかと思われます。特に躊躇もなく転換してのける肝っ玉。
これまで有意義な戦いがどれだけあったかはさておき、また無意味な争いに山田さんの胃が心配になりますね。

佐久間「そうか、猫に変身するという手もあったか。」
山田「お前の場合、四鳳院夜一というより、シスター・ジルだよな。」
佐久間「死根也はマユリのポジションか。」
八武「いやいや、流石の私もスライムには変身できないよ。」
山田「お前ならやりかねない・・・というか、あれは液状化だとツッコミを入れればいいのか?」

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