亡霊たちへの鎮魂歌 81

十島育生と花咲瞭が白石家に辿り着いたのは、その少し後だった。
鍵の壊れた家の中は、メチャクチャに荒らされていて、静かだった。
白石楷の両親は、息子より先に殺されていた。
「遅かった・・・!」
だが、膝をついている暇さえ無い。
きりきり痛む腹を押さえて、死んだ世界のコメディアンにでもなった気分で、十島育生は病院に電話した。
間に合わないとはわかっていても。
生き返らないとはわかっていても。
「くそったれ! そんなに超能力者が憎いかよ! 超能力者に関わった人間まで憎いか!? てめえら何者だってんだ!? かかってきやがれ! オレは殺されてなんかやんねえぞ!!」

それと殆ど同時刻。
宮白渚は、襲ってきた男たちを薙ぎ払い、その場を去っていた。
(真由良! 希揃! 無事でいてくれ!)
背景に心当たりは無いが、無事でいてほしい相手は10年前から決まっている。
もしや“奴ら”かと考えたが、すぐに首を振った。
今更“奴ら”に動機などあるはずもないし、万が一あるとしたら、人任せにはしない。する意味が無い。
“奴ら”は、“京狐一族”は、二重三重の意味で、こんなことをする人たちではない。
影宮一族と京狐一族の諍いなどは、とうの昔に終わっているのだ。
(そうだ)(終わっている)(なのに)(誰が)
ひとつの争いが終わっても、別の争いがある。
だが、今は争いの絶えない世界に悲観している場合ではない。
愛しい女と、愛しい息子。2人を守る為に、走る。

同じく、夜中。
宮白家の近くで、蛹田蛭巳の護衛をしていた2人が、拳銃で頭を撃ち抜かれて、殺されていた。
「はあ、どうも拳銃ってやつは扱いにくいわ。」
1人の女が溜息をつく。
彼女の他に、4人の男たちが、それぞれ銃を持っていた。
5人は少し考えを巡らせてから、病院へ向かった。


ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

2014年11月21日 20:44
火剣「むごい」
コング「間に合わなかったか」
ゴリーレッド「無差別殺戮に近い。緑里や白石家を殺す理由があるのか?」
火剣「奴ら・・・京狐一族!」
コング「そこに繋がるのか!」
ゴリーレッド「落ち着きなさい」
火剣「こんなことをする人たちではない・・・確かにそうだ」
コング「そうか?」
ゴリーレッド「そうだ」
コング「そうだそうだソーダ水」
火剣「滑ったな」
ゴリーレッド「渚強し!」
コング「愛しい女に愛しい息子をt」
ゴリーレッド「ドロップキック!」
コング「だあああ!」
火剣「1人の女と4人の男か」
ゴリーレッド「蛹田蛭巳の護衛までも」
火剣「病院が危険だ。ところで真由良とソロウは?」
コング「浪漫飛行の真っ最中」
ゴリーレッド「これだけの事件が起きているんだ。察知しているはずだ」

2014年11月21日 22:37
>火剣さん
育生の予測は正しかったわけですが、行動する前に既に・・・。
渚は超能力を発揮してピンピンしていますが、果たして真由良と希揃はどうなっているのか。察知しているとすれば、向かった先は病院かもしれません。

佐久間「実は怨恨ではない。」
山田「なに・・・?」
佐久間「利害でもない。」
維澄「本当に無差別殺戮なの?」
佐久間「ある法則で動いているが、無差別と差は小さいかも。」
八武「京狐一族とは、どういう関係・・・影宮、宮白・・・まさか。」
山田「そう言えば、あの能力は。」
維澄「薙ぎ払えたのも納得。」
山田「しかし酷い状況だ。本当に育生みたいに叫びたい。」
維澄「まだ死人は出るの?」
佐久間「出るかも。」
八武「渚は一刻も早く駆けつけたいだろうが、そんなに急ぐと危ないよ。」
山田「恐い恐い顔が恐い。」
神邪「切り抜けたとしても、寝取られの問題が残るわけですね。」
佐久間「まるで源氏物語。」
維澄「どう解決するか。正面から話し合うのも、この場合は残酷すぎる。」
佐久間「・・・。」

この記事へのトラックバック

2019年11月
               1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

過去ログ

テーマ別記事

最近の記事

最近のコメント

QRコード