傀儡師は夜に眠らない 7

「超能力の中には、それ自体が理そのものであるような能力が存在する。」
3体の人形を宙に浮かべながら、ギルは不気味な笑みを浮かべていました。
「封じることも、惑わすことも、奪うことも出来ない、そんな能力がある。」
「俺の能力が、それだってのか。」
それは、後に“神化系能力”と呼ばれる概念でした。当時のわたくしは、そんな知識はありませんでした。
「認めたね、アナタも超能力者だって。」
「隠していたつもりは無えよ。言わなかっただけでな。」
わたくしの能力は、人に怯えるような類のものではありません。ですが、荒っぽい言葉遣いをしていたということは、どこかで恐れていたのでしょうか。暴力ではなく、孤独に怯えていたのかもしれません。
「ボクを殺すかい?」
「いや・・・。そもそも俺の能力は、人を殺せる類じゃねえ。“絶対防御”・・・生まれつき無敵ってやつだ。」
“神化系能力”のカテゴリでは、“絶神”(リジェクト)と呼ばれる能力です。
いかなる攻撃も受け付けないのですが、当時のわたくしの技量では、この能力の真価を発揮できておらず、言う通りの性能しか持っていませんでした。
「人形どもの殺戮は、俺には通じねえ。だが、俺は誰も守れなかった。俺は孤独だ。」
「ボクがいるじゃないか。ボクを殺せばいい。アナタの中でボクは永遠だ。」
「お前は、他の誰とも違う。誰の代わりにもなれねえ。」
しかし、またしても言葉は行動を裏切りました。いえ、行動が言葉を裏切ったと言うべきでしょう。

わたくしの手に、温かい感触がありました。
柔らかい感触と、硬いものが砕ける感触がありました。
冷たくなっていく感触がありました。

夜明けが来ていました。
わたくしはギルを抱いて、街を去りました。
遠くの丘で、彼を埋葬しました。

“女神”ミセス・ジュエルに出会う、10年前の話です。





   傀儡師は夜に眠らない   完

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