佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘祭!   Act 161 運命−モリンフェン

<<   作成日時 : 2018/08/11 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



僕の強さは、僕の努力によるものだろうか。

僕の勝利は、僕の強さによるものだろうか。

もしも運命というものがあるならば、それは人を縛る悪しき鎖? それとも人を導く未来へのロード?
運命というものは、打ち破れるものだろうか。運命を口にする者を打ち破ることは出来るが。
それも含めて、より大きな運命の輪の中にあるのでは?

僕を奮い立たせるのも、僕を諦めさせるのも、運命という言葉だ。
それなら僕は、自分の運命を試そう。
たとえそれが、禁じられた行いだとしても。



◆ ◆ ◆



無堂無有:LP950、手札0
場:ホーリー・エルフ(守2000)、ナイトメア・ホース(攻500)
場:星見世界(フィールド魔法)

脳堂乃人:LP3999、手札1
場:マハー・ヴァイロ(攻1550)
場:




「おやおや、手札も伏せも無くては《マハー・ヴァイロ》の攻撃を受け切れませんね。“ホーリー・ライトニング”!」

「いいえ、受けますよ・・・!」


《ナイトメア・ホース》 (攻500→780、破壊)
無堂無有:LP950→180



「おやおや? その攻撃力はどこから・・・」

フィールドパワーソースです。僕は聖液を《ホーリー・エルフ》に塗すことによって、擬似的に聖なるフィールドを形成しました。」

「“形成しました”じゃねえよ!?」

何故か玄竜さんが叫んでいた。
エルフが白い液体に塗れている状況に、興奮してしまっているのだろうか・・・。
さっきも大声で逸物の名称を叫んでいたけど、まったく下品な人だ。

「おやおや、その手が残っていましたか。身共の読み負けでございますね。」

「納得すんの!? いや納得してくれて構わねえんだが!」

「800の3割は240・・・すなわち《ホーリー・エルフ》の攻撃力は、8ポイント残っている。《増殖》を引けたらいいですね。カードを1枚伏せてターン終了しましょうか。」


無堂無有:LP180、手札0
場:ホーリー・エルフ(守2600)
場:星見世界(フィールド魔法)

脳堂乃人:LP3999、手札0
場:マハー・ヴァイロ(攻1550)
場:伏せ×1



「僕のターン!」

引いたカードは《増殖》ではなかった。
しかし状況を打破できるかもしれないカードだった。

だけど、たった1枚の伏せカードが僕を躊躇させる。

「おやおや、身共のトラップを恐れているのですか?」

「・・・いいえ、違います。」

そうだ、僕が恐れているのは伏せカードではない。
自分のデュエルが出来なくなることだ。

「マジックカード《右手に盾を 左手に剣を》! そして《ホーリー・エルフ》を攻撃表示に・・・!」

「おやおや、なるほど! 聖液で強化されたエルフ・・・ならば身共も聖なる迎撃です、“ホーリー・ライトニング”!」


《ホーリー・エルフ》 (攻2600→1400、破壊)
《マハー・ヴァイロ》 (攻1550→1400、破壊)



「・・・っ、《あまのじゃくの呪い》ですか・・・!」

攻守を入れ替えたことで、《マハー・ヴァイロ》の攻撃力も下がっていたけど、相撃ちになってしまった。
これで互いにモンスターも手札も尽きた。引き勝負だ。

「君は、どうして射精をするのです?」

カードを引く前に、おもむろに乃人さんが尋ねてきた。

「それは、《ホーリー・エルフ》のステータスを上昇させる為です。このターンは裏目に出ましたが・・・」

「いいえ、違います。デュエル以外でも君は射精をしてきたはずです。自分の子供を残す、その為に。」

「いや乃人オマエ何言ってんだ・・・・・・」

まったくだ。乃人さんは何が言いたいんだろう。
このターンで決着するかもしれないから、冥土の土産とでもいうのだろうか。

「つまるところ人間の欲求とは、子孫を残すことに集約されると思いませんか? この世界に自分の生きた証を残したい。それは生物としての摂理なのです。」

「何が、言いたいんですか・・・?」

玄竜さんと同じことを僕も言う。

「もったいない、という話ですよ。“闇のゲーム”は正義の為だけでなく、もっと私利私欲の為に使うべきだとは思いませんか? 例えば、女です。幼い子供のときに闇のデュエルで勝利し、絶対服従を誓わせる。成長してから自分の種を撒く為の畑にする。それが人生を実らせるというもの。身共の妻は、丁寧に耕した畑でした。」

「・・・っ、なんてことを!」

「おやおや、手段はどうあれ、そこに幸せがあればいいでしょう? 後学の為に聞いておきなさい。奴隷化した子供たちの中から、身共の妻候補を厳選。他の子供たちも使い道は困りません。妻にするには不適格でも、性交の練習台としては丁度いい女もいます。遊んだ後は、ああ、妻候補から脱落した女もですが、それなりの男と見合わせてあげましょう。できることなら身共の子供を仕込んでおき、代わりに育てさせるのです。」

「・・・・・・ヘドが出るぜ、屑野郎がっ!」

「おやおや、拾った少女を、記憶が無いのをいいことに、イイコトをした男の言葉とは、とても思えませんね。所詮それが庶民の限界といったところでしょうか・・・。君のそれは倫理や正義感などではなく、選択肢の少なさを嘆いている嫉妬心に過ぎません。再び身共の命令に縛られてみますか? “伏せ”!」

「んぐっ!?」
「玄竜さんっ!」

床に手を突いた玄竜さんに、あろうことか乃人さんは、背中に乗った。

「よっこらセックス。おやおや、なかなかの座り心地です。」

しかも左足を立てて、頭に載せた。

「やめてください! 玄竜さんは椅子じゃありません!」

「いいえ、身共の椅子でございます。」

「む・・・無堂、俺なんか気にするな! 奴を・・・倒してくれ・・・! 頼む・・・!」

玄竜さんは泣いていた。
僕は歯がカタカタ鳴っていた。

「それでは身共のターンを始めましょう。」


無堂無有:LP180、手札0
場:
場:星見世界(フィールド魔法)

脳堂乃人:LP3999、手札0
場:
場:



「要求されるモンスターの攻撃力は180ポイント以上。引けたらいいですね。」

「庶民が貴族を挑発してきますか。ドロー! ・・・・・・おやおや、君も貴族のようですね。カードを伏せて終了です。」

「・・・僕のターン。《光の援軍》発動!」

「させませんよ。《神の宣告》は、あらゆる魔法・罠を無効化します。」


神の宣告 (カウンター罠)
LPを半分払って、魔法・罠の発動、
モンスターの各種召喚を無効にして破壊する!



無堂無有:LP180、手札2
場:
場:星見世界(フィールド魔法)

脳堂乃人:LP2000、手札0
場:
場:



「おやおや、無効化したはずなのに、どうして手札が増えているのでしょうか。何か特別なカードですか?」

「・・・ただのカードですよ。この時代においては廻天する兵器になり得る1枚ですが!」

僕はカッコつけて、人差し指と中指で墓地からカードを摘もうとしたが、手が滑って床に落としてしまい、慌てて拾おうとしたら手札が落ちそうになったので、玄竜さんが拾ってくれた。いい人だ。


光の援軍 (魔法カード)
デッキの上から3枚墓地へ送って発動!
デッキからレベル4以下のライトロード1体を手札に加える!



「乃人さんはマストカウンターを見誤った。たとえ神といえども、コストは無効化できません。そして《ドラゴンを呼ぶ笛》が墓地に置かれたとき、カードを1枚ドローします。それが2枚。」


ドラゴンを呼ぶ笛 (魔法カード)
ロード・オブ・ドラゴンが旋律を奏でるとき、
手札から2体のドラゴンを特殊召喚する!
(このカードが墓地に置かれたとき1枚ドローする)

ドラゴンを呼ぶ笛 (魔法カード)
ロード・オブ・ドラゴンが旋律を奏でるとき、
手札から2体のドラゴンを特殊召喚する!
(このカードが墓地に置かれたとき1枚ドローする)



「そして墓地に落ちた最後の1枚は、《ヘルウェイ・パトロール》! さぁさ再びおいでなさいませ、相手にとっての地獄を開き、神の御出ましハイウェイを! 召喚、《モリンフェン》様まままままままままままま!!!」

「・・・・・・おやおや、都合よくカードを引くものですね。それも当然でしょうか。これは君の見ている夢なのですから。

「!?」

「おやおや、君は“引きの強さ”などというオカルトを信じているのでしょうか。そんなものは実力以外の何かに縋りたがる庶民の発想ですよ。」

「・・・っ、これが、夢・・・?」

言われてみれば、どうして僕ごとき矮小な一般人が、偉大なるモリンフェン様に導かれている?
僕に特別な運命や才能があると考えるよりは、これが僕の妄想であると考えた方が自然だ。
あまりにも肥大した劣等感と虚栄心は、時として果てしなくリアルな幻覚を見せるという。

合ってしまう、辻褄が。

「無有! くだんねえブラフに惑わされんじゃねえ!」

「はい、嘘でございます。」

「嘘だったのか! 《ホーリー・エルフ》召喚!」


《モリンフェン》 (攻1550→2000・攻撃)

脳堂乃人:LP2000→0



「・・・おやおや、負けてしまいました。お見事です。」

「約束ですよ。玄竜さんにかけた洗脳は解いてもらいます。」

「はい。よっこらしょういち。」

乃人さんは、椅子にしていた玄竜さんから立ち上がり、付き物が落ちたように晴れやかな顔になっていた。

「無堂くん。いずれ君も身共と同じことをするときが来ます。絵画や音楽、小説や映画を、作家は我が子のように言う。そう、我が子なのです。比喩ではない。人間は何かを残さずにはいられない生き物である。いかなる人間も、この摂理からは逃れられません。・・・それでは、さらばです。」

乃人さんは不吉な予言を残して消えていった。
僕は決して同じことはしない。そう思っているのに、嫌な胸騒ぎが消えない。

「気にすんな無有! あんなもんは捨て台詞だ! 俺が言えた義理じゃねえが、先を急ぐぞ!」

「・・・ええ、そうですね。」

僕は運命に導かれている。

勝てるように作られている、予定調和の人形芝居。
その運命に、今は感謝する。彼女を助け出せるなら。



◆ ◆ ◆



夜光(コンバットナイト) レベル3能力(所有者:脳堂乃人)
自軍のモンスターは★の数によって以下の効果を得る。
1:戦闘で破壊されたとき自分のダメージは0になる。
2:戦闘で相手モンスターを破壊したとき700ダメージを与える。
3:召喚ターンに攻撃できる。
4:このターンの召喚権が2回になる。
5:モンスターに攻撃されるごとに、互いの手札×100ポイント攻撃力アップ。
6:モンスターに攻撃するごとに、攻撃力300ポイントアップ。
7:守備モンスターに超過分の貫通ダメージを与える。
8:守備モンスターを破壊したとき、相手のライフを半分にする。




◆ ◆ ◆



「あらら? ここまで来たってことは、乃人くんは倒されたってことか。」

前傾姿勢で舌を出しているのは、見たこともない女性だった。
いや、見たことはないけど知っている。この人は。

「誇大さん、そこを通してくれませんか?」
「やだよ。どんな理由があるか知らないけど、私の答えは“やだね”だ。いつでも・どこでも・どなたでも。」

しっちゃかめっちゃかに掻き乱したようなボンバーヘッド。
虹色というには乱雑すぎるヘアカラーは、そのままファッションセンスにも現れていた。
シルバーを巻きすぎた腕は鬱血しかかっていて、左右で色違いのサングラス、縦縞フリルのシャツ。
短めのダメージジーンズ、編み上げブーツ、ローラースケート。

この時代の女性としても背丈が低く、小動物のような印象だ。

「・・・なあ、無有。オマエ今、無難な印象でまとめようとしなかったか?」
「何のことでしょう! 僕には見当もつかないですね!」

見当がつかない僕の前で、誇大さんはサングラスにバイザーを重ね、風見鶏つきの帽子を被った。

「これで完☆成。デュエル開始ィ!」
「するしかありませんか・・・。」

僕は服を脱いで全裸になった。

「何故に!?」

少し遅れて玄竜さんのツッコミが入った。
やはり玄竜さんも、誇大さんの恰好には疑問を持っているらしい。
だけど身内のファッションには言及しづらいのは仕方ないな。


「デュエルだよん?」「ケルターメン・シングラーレ!」


無堂無有:LP4000
無堂誇大:LP4000



「シュールってレベルじゃねえぞ・・・。真面目にやれよオマエら・・・。」

言われるまでもない。
ふざけた格好でも、シュライン・ファミリーの序列4位だ。
時代のアドバンテージに依存する時間は終わっている。

「えへへのへ、私の先攻。ここまで来れた君に敬意を表して、早速デッキの正体を、見せてあげるが世の情け。応えてやろう、ビーバーン! 《素早いビーバー》召喚だ! ついでにマンタも召喚だ!」


素早いビーバー レベル2 水属性・獣族
攻撃力400 守備力100
召喚時、デッキからレベル3以下の
「素早い」モンスター1体を選んで特殊召喚する!

素早いマンタ レベル2 水属性・魚族
攻撃力800 守備力100
フィールドからカードの効果によって墓地へ送られた時、
デッキから「素早いマンタ」を任意の数だけ特殊召喚できる!



「カードを1枚伏せて〜〜〜ターンエンドかな? あらら【素早い】デッキに勝てるかな?」



無堂無有:LP4000、手札5
場:
場:

無堂誇大:LP4000、手札4
場:素早いビーバー(攻400)、素早いマンタ(攻800)
場:伏せ×1




「僕のターン、ドロー! 《洗脳−ブレインコントロール》で《素早いマンタ》を僕のしもべとします!」

「あらら、これは来るのかな? 生贄召喚しちゃう?」

「はい、《邪帝ガイウス》です。」


邪帝ガイウス レベル6 闇属性・悪魔族
攻撃力2400 守備力1000
生贄召喚したとき、フィールドのカード1枚を除外する!
(除外したのが闇属性であれば相手に1000ダメージ!)



《聖なるバリア−ミラーフォース−》 (除外)



「ある意味、脳堂の予言が当たってるな・・・。」

「!?」

玄竜さんに言われて気が付いた。
ゲームとはいえ、いたいけなマンタを洗脳して生贄にするなんて、僕は罪深い。

「しかし、モリンフェン様と属性・種族を等しくするガイウスの贄となれたのも、また名誉・・・。《素早いビーバー》に攻撃を開始します!」

「んーーーーー!」



無堂無有:LP4000、手札4
場:邪帝ガイウス(攻2400)
場:

無堂誇大:LP4000、手札4
場:素早いビーバー(攻400)
場:




「・・・・・・あれ?」

目の錯覚かな。《素早いビーバー》が《邪帝ガイウス》の攻撃を躱したように見えたけど・・・。
もしかしてこれは《砦を守る翼竜》と同じ―――



「回☆避☆率」



「・・・っ、やはりそうですか!」

「ムームー君、ネズミは弱い生き物だと思う? そうかな? どうかな? モグラはどうかな。イワシは弱い魚って書くけど本当に弱いかな。ゴキブリは? 種族の強さは個体の多さで、個体の強さは生き延びる能力にある。自然界において、逃げることは戦うことより一般的だ。鼠の時間は君より捷い。ついてこれるかな・・・?


敏捷(クロックマウス) レベル2@能力(所有者:無堂誇大)
位階の低い側に、位階の差×20パーセントの回避率を付与する!





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