背後に潜む者

今年も8月15日を迎えた。
なんというか、不謹慎かもしれないが、
「こんなものか・・・」という気持ちである。
いや、もはや現代では、不謹慎とすら思われない、
そもそも何を言ってるのかピンと来ない、
そんな状態かもしれない。


もはや太平洋戦争の話などは“古い”のだろうか?
1995年の段階で既に、一般からの反応は
芳しくない状況であったが、
それでも特殊な(特別ではないが)人々の間では
積極的に話題とされる事柄であると思っていた。

ところが大学時代になり、それすらも危ういと知る。
労働問題には積極的な人々が、戦争に関しては反応が鈍く、
食い下がろうとしても煙たがられるばかりで、
これが本当に左翼かと疑念を抱いたものだった。

新左翼にとっては、目の前の労働問題こそ至上命題であり、
“歴史”などは金持ちの道楽に映っていたのかもしれない。
それもまた(胸糞悪いが)一理あるとは思う。

同時に旧左翼も、戦争に関しては語り合えるのに、
いじめ問題の話になると、途端に話が噛み合わなくなる。
戦争問題と根は同じだというのに、どうしてか鈍い。

旧左翼には、やる気が無い。
新左翼には、スキルが無い。
アッキーには、どちらも無い。

色々こじらせた三行詩は、
この頃の経験に端を発している。

かつて私の友人、それも右寄りの人ですら、
「戦争を語るなら歴史資料館には行くべき」と主張し、
軽薄な連中を左右を問わず批判していた。
どう評価するかはともかく、とりあえず知っておくべきだ、
という丁寧な姿勢は左右を問わず存在する。

左翼でも「古事記」や「日本書紀」を読むし
(アッキーは殆ど読んでないが)
右翼も歴史資料館へ足を運ぶ。
何も不思議はない。“右足”と“左足”は交互に動く。
それだけの話だ。


こじらせた物言いはさておき、
あるいは、わざわざ語るまでもないほど
エッセンスが浸透した面も、あると言えばある。

この百年ほどで、人類一般の価値観は激変した。
もちろん価値観そのものは個人でバラバラだが、
根底にある常識が百年前とは根本的に違う。

例えば現代の基準に照らせば、小林多喜二などは
もはや“極右”であると言える。
少なくとも、所詮は“昔の男”であると思う。
何も多喜二を非難したいわけではなく、
それだけ時代が変わったと言いたいのだ。

ソビエトが、歪み、壊れ、右傾化したのと同様に、
帝国主義国家も“福祉”を取り入れた。
はしりは多分ビスマルクであり、彼は首尾よくは
なかなか無理だったようだが、成功の是非ではない。
要するに「社会主義国家でなくても福祉あるよ!」という
ざっくり言えば左傾化である。

“福祉”だとか、“人権”だとか、“平等”だとかは、
現代は、それを“常識”としたうえで是非を考える。
肯定的であれ、否定的であれ、
まずは常識と置いて、掘り下げたり斜めったりする。
しかし百年前なら根本部分から既に“アカ”だ。

あながち大袈裟な話ではない。
歴史資料館といえば、忘れられない記憶がある。

アッキーが子供の頃。
昔は女性が牛や馬と同じ扱いだったという記述に、
なんと酷いと思っていたら、
横で見ていた老婆が「やっと牛馬と同じ扱いになった」と、
「ありがたいことだ」と言ったのである。

無論、彼女の個人的な体験が、
たまさか他より酷かった可能性は、考えておくべきだが、
そこは話の要ではない。
家畜扱いこそが“最悪”だと思って憤っていた自分の甘さを
痛感させられた、という話である。

こうなってくると、百年どころか五十年前でも怪しい。
内田春菊の体験などは、どこまで“特殊”なケースだろうか。
あるいは私の体験などは。

なんにしても、戦争や迫害への関心の薄さと引き換えに
より洗練された常識が新たな世代に浸透しているならば、
それほど悲観すべきではないとも言える。

だとすれば懸念は、自分の方にこそ向けられるのでは?
かつてのような焦燥感すら諦念に喰われて、
無気力状態になっている自分は、
とても“洗練された常識”などが浸透してるとは思えないし、
かといって碌な活動実績も残せていないのである。

今より活発だった頃でさえ、渡り歩いた左翼組織すべてから
役立たずの烙印を押され続けてきたので、
病気が酷くなってから実績を残せるはずもない。
いちおう左翼、共産主義者を名乗ってはいるが、
それこそ“名乗っている”だけだ。気分だ。
主観だけで、そうなれるなら苦労はない。
実績で見れば、余計者か日和見主義者が精々であろう。

戦争さえ無ければいいと主張する老人の
雑さ無神経さにヘドが出る一方で、
戦争に関心の薄い人を、どこか信用できず線引きし、
それでいて、いずれの世代とも共通の実績を残せない。
「こんなものか・・・」とは、私自身へ向けた失望でもある。


気圧が低いと、どうにも鬱々としてしまうが、
じきに台風も過ぎ去るし、新たなアニメも視聴できる。

とりあえず生きている。まだ生きている。





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